「消費税増税の影響アンケート」の結果について

沖縄県中小企業家同友会が加入する中小企業家同友会全国協議会(略称:中同協、会長・鋤柄修、47都道府県の中小企業家同友会の協議体、会員数:中小企業経営者43,229名(6月1日現在))は、4月1日に消費税率が8%となったことの中小企業への影響について会員企業を5月に調査し、43都道府県5216社が回答し、4780社(41道府県)分の速報値をまとめました。全国的には6割超える企業に影響があり、4割近い企業が全額を価格転嫁できていないこと、不当な値引きなどを強制されるなどした企業が360社ありました。
この結果については、各ブロック(九州・沖縄ブロック)と各地同友会で同時に発表することになり、以下のとおり、全国、九州・沖縄ブロック、沖縄の結果について、発表します。
(2014年6月10日)

回答企業の概要(データ、図表参照)

全国の結果(データ、図表参照)

消費増税の影響あり64%

  1. 64%企業に増税の影響
    「大きな影響が出ている」10%、「若干の影響が出ている」38%、「今後、影響が出る」16%と会員企業の64%に影響が出ていることがわかりました。
    またその影響の内容(複数回答)では「駆け込み反動による売上減少」が41%、「仕入れ金額の高騰」36%となっています。記述式では社会保障費の負担増もあり、社員の生活を心配する声が多くあがっています。
  2. 事前対応にコストかかった53%
    事前対策(複数回答)の「レジや会計ソフトの入れ替え」43%「在庫品の管理や値付け変更」24%などの負担増が53%の企業で出ています。
  3. 4割の企業で売上減、流通業では5割(前期比)
    売上高は前期(1-3月)比で4割が「減少」し、特に流通業では5割が「減少」と影響が大きく、前期に比べ採算が悪化している企業が4割で、流通業では5割が「悪化」となっています。小規模企業ほど次期見通しで悪化の傾向があり、採算悪化が拡大する可能性があります。
  4. 価格転嫁できない企業が4割
    事前の取引先との交渉などで同友会会員企業は6割が価格転嫁できています。しかし、部分的にしかできていない企業を含め4割の中小企業が転嫁し切れておらず、特に建設業は5割が転嫁しきれておらず、納税時に負担増となることが見込まれます。
  5. 不当な値引きなどを要請された企業が360社
    消費税に関して、不当な値引きや買い叩きの有無などを聞いたところ、値引きや買い叩きにあった企業が176社、本体価格(税抜価格)での交渉の拒否にあった企業が89社など合計で360社となっており、特に建設業の割合が多くなっています。
  6. 10%への増税は中止と延期あわせて5割超
    消費税率10%については「中止すべき」24%、「延期すべき」28%とあわせて52%となっており、現在のところ様子見である「わからない」23%もあり、否定的です。

九州・沖縄ブロックの結果 (データ、図表参照)

■構 成 福岡県中小企業家同友会、佐賀県中小企業家同友会、長崎県中小企業家同友会、熊本県中小企業家同友会、大分県中小企業家同友会、宮崎県中小企業家同友会、鹿児島県中小企業家同友会、沖縄県中小企業家同友会
■会員数 5,875名(2014年6月1日現在)

「消費増税の影響あり3社に2社あり」

  1. 66.6%の企業に増税の影響
    「大きな影響が出ている」9.6%、「若干の影響が出ている」40.0%、「今後影響がある」17.0%で、66.6%と3社に2社が影響があると回答しています。記述式では、「改善という名で売上値引きの要請」という声もだされており、影響は決して小さくありません。
    影響の内容では、「駆け込み需要発生」が15.0%あるものの、「駆け込み反動による売り上げ減少」が29.2%、「仕入れ金額の高騰」が34.5%の回答があり、厳しい影響があげられました。
  2. 事前対策(複数回答)では負担かかった企業57%
    「価格変更の顧客への周知徹底」で、33.5%。続いて、「レジや会計ソフトの入替え」26.9%、「顧客対応方針の策定・見直し」19.4%、「在庫管理や値つけ変更」15.2%とづづいています。
  3. 3月に比べて40.5%の企業で売り上げ減、利益は43.9%の企業で減少、反動減明らか!
    昨年4月に比較しても、売り上げ、利益とも減少しているとともに、5月の見通しもDIはマイナスとなっており、さらに厳しい状況がつづくとみています。また、半年先(2014年11月ごろ)の見通しでは、「増える」との回答が30.1%あるものの、「減る」 18.8%、「わからない」24.0%と先行き不透明感が否めません。
  4. 価格転嫁できない企業4割超
    「ほぼできた」との回答が53.8%あるものの、「部分的にできた」34.3%、「まったくできていない」11.9%となっており、中小企業へのしわ寄せ意があったことが伺えます。
  5. 値引きまたは買い叩きなどをうけた企業54社(全国360社)
  6. 消費税率10%への増税は、「中止すべき」「延期すべき」併せてほぼ半数
    「中止すべき」23.1%、「延期すべき」26.3%で併せて49.5%となり、「わからない」23.3%と否定的な見方が出ています。記述式では、行政改革を徹底して行ったうえで、応能負担を原則として公平、公正な税制と中小企業を元気にして日本経済全体の底上げを望む声が出されています。

沖縄の結果と特徴 (データ、図表参照)

「消費増税の影響あり」全国より4ポイント高く68%

  1. 68%企業に増税の影響
    「大きな影響が出ている」8.9%、「若干の影響が出ている」34.7%、「今後、影響が出る」24.8%と会員企業の68.4%に影響が出ており、全国の64%に比べて4ポイント高いことがわかりました。また、その影響の内容(複数回答)では「駆け込み反動による売上減少」が22.0%、「仕入れ金額の高騰」48.4%となっており、特に「仕入れ金額の高騰」は、全国(35.6%)、九州・沖縄(42.4%)に比べても高くなっています。
  2. 55%が事前対策の負担感あり
    事前対策の負担感については、「とても大きかった」(5.2%)と「多少あった」(50.0%)をあわせると、55.2%が負担を感じており、九州・沖縄(57.0%)より若干低く、全国(52.8%)比べて2ポイント高い。事前対策(複数回答)では、「価格変更の顧客への周知徹底」(50.0%)が一番高く、次いで「顧客対応方針の策定・見直し」(46.2%)、「レジや会計ソフトの入れ替え」(28.2%)となっています。沖縄は、全国や九州に比べて「レジや会計ソフトの入れ替え」が比較的低いのが特徴です。
  3. 4割の企業で売上減、採算(前期比)DIマイナス28
    売上高は前期(1-3月)比で4割が「減少」し、前期に比べ採算が悪化している企業が4割強で、DIはマイナス28と、全国、九州に比べても悪化しています。
  4. 価格転嫁できない企業が5割
    事前の取引先との交渉などで同友会会員企業は5割が価格転嫁できています。しかし、部分的にしかできていない企業を含め5割の中小企業が転嫁し切れておらず、沖縄は、全国、九州に比べて10ポイント高く、特に「全くできていない」(17.8%)は、全国、九州に比べて高いことがわかります。
  5. 不当な値引きなどを要請された企業が6社(6.5%)
    消費税に関して、不当な値引きや買い叩きの有無などを聞いたところ、値引きや買い叩きにあった企業や本体価格(税抜価格)での交渉の拒否にあった企業など合計で6社ありました。全国、九州に比べて沖縄の場合、数、比率とも低いことがうかがえます。
  6. 10%への増税は中止と延期あわせて58.1%と、全国、九州に比べて高い
    消費税率10%については「中止すべき」(27.6%)、「延期すべき」(30.2%)とあわせて58.1%となっており、全国(52.0%)、九州(49.4%)に比べて高いことがわかります。

    以上。

回答企業の概要