2018年度 沖縄県の産業振興・中小企業政策に対する中小企業家の要望と提言

 

 

 

I.中小企業の振興について

1.県の中小企業支援計画について
2.中小企業のIT活用支援について
 

Ⅱ.働く環境づくり

1.人材確保・育成について

2.女性の活躍及び多様な働き方の推進について
3.誰もが働きやすい職場環境をめざして
 

Ⅲ.産業振興について

1.観光産業の振興について

 
 
 

 

(2018年6月13日)

 

Ⅰ.中小企業の振興について

 沖縄県は立地する99.9%が中小企業・小規模事業者であり、中小企業の振興がイコール経済振興となります。中小企業が元気になり、県経済、地域経済が活性化し、県民の暮らしと豊かな生活に繋げていくためには、中小企業振興基本条例の実効性を高め、全市町村での条例制定をめざすこと。さらに、中小企業の自立・発展につながる支援施策を立案することが求められます。また、国においては働き方改革を強力に推進するため、ITの活用による経営力強化に関する取り組みを積極的に進めています。これらを推進していくためには、中小企業家をはじめ、県民一人ひとりが主体的に関わっていかなければなりません。

 

 

1.中小企業政策について

(1)県の中小企業支援計画について

 会員へのアンケートで、県の中小企業支援計画の5つの方針の内、どの方針に関心があるのかの質問では、第1位「経営基盤の強化」(69.3%)、第2位「経営革新の促進」(48.9%)、第3位「環境変化への適応の円滑化」(38.6%)、第4位「資金調達の円滑化」(35.2%)、第5位「創業の促進」(14.8%)という結果になりました。その中で、前年に33.3%で第4位だった「環境変化への適応の円滑化」が第3位へ、37.6%で第3位だった「資金調達の円滑化」が第4位へと変わったことが注目されます。そして、会社の経営資源(経営力)の中で、どこが課題なのかを質問したところ、第1位「人」(71.4%)、第2位「人材活用・組織力」(40.7%)と「人材確保・育成」に関する項目が上位に位置しています。続いて、第3位「マーケティング力」(37.4%)、第4位「情報・ノウハウ」(35.2%)、第5位「カネ」(32.4%)となっています。また、ITをどのように活用したいですかの質問では、第1位「財務会計・販売管理」(51.7%)、第2位「社内の情報共有・ペーパーレス化」(48.3%)、第3位「データ分析・マーケット分析」(46.1%)、第4位「情報発信・SNS活用」(43.3%)、第5位「営業支援・顧客満足度向上」(40.0%)となっており、中小企業の経営実態・課題に沿った政策展開が必要になっています。加えて、アンケートの中で、県の中小企業政策に対する個別意見を求めたところ、「中小企業のIT活用促進」に関する意見が多く、「県との意見交換の回数を増やして支援策を策定した方がよい」「県と共に経済政策を推進していく必要がある」との意見もあり、県との協力体制の強化が求められています。
 これらのことを踏まえて、以下のことを要望・提言します。
 
①下記の内容を中心に中小企業の経営実態調査を実施すること。
ア)経営基盤について 
イ)未就業者について 
ウ)IT成熟度について
②中小企業のIT活用支援を積極的に行うこと
 
③下記のような取り組みを行いながら、県と沖縄同友会の中小企業政策に関する協力体制を強
化すること。
ア)県の中小企業支援計画についての勉強会開催 
イ)県の中小企業支援策による成功事例の情報共有
 
④県と沖縄同友会で中小企業支援計画の周知と支援策利用促進のためのイベントを共催で開催
すること。
ア)中小企業シンポジウム 
イ)沖縄の産業まつり等のイベントへの共同出展
 
 
 

2.中小企業のIT活用支援について

 

 AI、IoTなどの先端ITが比較的安価に利用できるようになりつつある現在、未だにパソコン財務会計やインターネットも満足に整備されていない企業もあります。企業の生産性向上に直結するIT活用の手段は多岐に渡るため、企業の実情に合わせたIT化の促進が求められています。
(1)中小・小規模事業者のIT経営成熟度診断について
アンケート(資料参照)で示された通り、94%が自社のITのレベル(成熟度)に関する調査を受けていないと回答しており、県内企業のIT成熟度の実態はおおよそ不明のままです。一方、AI、IoTなどの先端技術を含むIT化によって様々な最適化の手段、課題解決手段が提供されるようになりました。企業の成熟度の実態に即した対応が必要となります。まずは支機関等による企業のIT診断(IT成熟度診断)の実施が、生産性を高めるファーストステップです。これらを踏まえ、以下のことを要望・提言します。
○ 中小・小規模事業者のIT経営成熟度診断を実施すること
 
(2)IT経営全般の研修実施について
アンケート調査では人手不足の中、AI化に肯定的な経営者が多いものの、未だに活用方法を見いだせていないのが現状です。県内の経営者を対象としたAI,IoTを含むIT経営全般の研修の網羅的、恒常的な実施が必要となります。これらを踏まえ、以下のことを要望・提言します。
○ 経営者へ網羅的、恒常的にIT経営全般の研修を実施し、経営者の思考の変化促進に取り組む
こと
 
(3)支援機関担当者のIT活用指導スキルの向上に向けて
指数関数的なIT化の進展によりAI、IoT以外にもフィンテック、ブロックチェーン、シェアリングエコノミー、API、データドリブンなど多数のバズワードが飛び交っています。正しく理解し解説する知識の獲得が求められます。支援機関担当者はITのスペシャリストである必要はありませんが、広く知識を披露できるゼネラリストである必要があります。経営者の多様なリクエストにこたえるためにも「ITのわかる経営指導員=ITゼネラリスト」の育成が必要となります。これらを踏まえ、以下のことを要望・提言します。
○ 支援機関担当者をITゼネラリストへ育成するための取り組みを実施すること
 
(4)県、国、市町村の連携強化について
ITを活用しながら国内最低の県経済の生産性を高めるためには、これまで以上の横の連携が必要です。県が主導して、横ぐしをさすことが必要となります。これらを踏まえ、以下のことを要望・提言します。
○ IT活用支援について県、国、市町村の連携を強化すること。
 
 
 
Ⅱ.働く環境づくり
 
 好調を持続する県経済において、喫緊の大きな課題となっているのが、「人材」の問題です。この間、沖縄同友会では、地域の若者を地域で雇用するための「共同求人」、障がい者雇用の促進をはじめ、誰もが働きやすい社会づくりをめざす「健障者委員会」、女性の社会進出・地位向上をめざす取り組みを進める「碧の会」など、人材の問題や働く環境づくりについて、積極的な活動を展開してきました。さらに、新たな社会問題である「子どもの貧困」については、行政や福祉施設と連携し、中小企業の立場から課題解決に向けたアプローチをスタートしました。
 しかし、根本的な課題解決にあたっては、中小企業、行政を含む関係者の連携が不可欠です。
 

1.人材確保・育成について

 
(1)人材確保について
人材確保に関するアンケート調査によると、正規従業員の「不足」が15.7%(昨年17.3%)、「やや不足」47.0%(昨年37.3%)、合わせて62.7%(昨年54.6%)と人手不足に対する実感が年々強まっています。臨時・パート等従業員についても、「不足」が11.2%(昨年15.6%)、「やや不足」が28.2%(昨年23.0%)、合わせて39.4%(昨年38.6%)となっています。また、採用活動の状況として「うまくいっている」の26.2%に対し、うまくいっていないが51.8%と、人材不足を痛感しながらも採用活動の難航も起こっている状況です。
 沖縄同友会の共同求人委員会では、年4回の合同企業説明会を大学、短大、高専、専門学校生、高校生等を対象に30年に渡り開催してきましたが、ここ数年は説明会の来場学生数も減少傾向にあり、若年者に対して地元企業の魅力、ふるさとで働くことの魅力を啓発し、県外への労働力の過剰な流出も防がなければなりません。同時に県内の未就業者に対しての労働意欲の啓発も行う必要があります。
また、外国人材の雇用については「雇用していない」が85.0%ですが、雇用にあたっての課題としてあがっている「コミュニケーション能力」76.5%、「社員教育の方法」39.3%、「相談先がわからない」19.1%等の課題を解決することで外国人材の雇用の可能性も見えてきます。
  これらを踏まえ、以下のとおり要望・提言します。
 
① 沖縄県と沖縄同友会共同求人委員会で、定期的な情報交換を行う場を設け、下記の課題について、検討を行うこと。
ア)現在既に行なっている県内各高校と沖縄同友会との意見交換会を、沖縄県側からも推進し、活発な場とする後押しを行うことについて。
イ)中小企業の魅力、ふるさとで働くことの魅力を伝える方策の強化と実施について。
ウ)奨学金減免制度の導入および奨学金返済制度の研究について。
エ)未就業者に対する就労意欲の啓発方策の開発について。
オ)沖縄県の外国人材に対する方針の明確化、求人機会の拡大について。
   ② 未就業者や求職者を対象とした仕事に関する意識調査(教育機関や市町村などと連携)、企業
に対しては求める人材に関する意識調査(経済団体や人材関係の民間企業などと連携)を実
施、公表し、雇用のミスマッチ解消を図ること。
③ 奨学金減免制度を導入すること。
 
(2)人材育成について
 人材育成に関するアンケート調査によると、その課題として「自社で育成をできる担当者の不足」が60.7%、「自社のノウハウ不足」が48.6%と、ようやく採用までこぎつけても、育成についての難しさを挙げ、人材育成支援への必要性が高まっています。特に小規模事業者においては、こうした課題が顕著に見られます。県経済活性化のために、人材確保と育成を両輪と捉えた施策が求められています。沖縄県でも人材育成に関する施策が行われていますが、幅広い業種、小規模事業者にも活用しやすいフォローアップがあることで人材の定着、生産性の向上に繋がります。県内中小企業の活性化は、県経済のそれに直結しています。沖縄県においては、働きがい、魅力ある職場づくりに向けて、企業の人材育成リーダーを育てるための「沖縄県人材育成企業認証制度」を実施し、成果をあげていますが、今後はより多くの企業が利用できるよう、施策の改善を図っていく必要があります。
これらを踏まえ、以下のことを要望・提言します
○より多くの小規模事業者が、企業内で人材育成プログラムの作成や人材育成担当者の養成が
行なえるよう、既存の「沖縄県人材育成企業認証制度」の改善や新たに『小規模事業者版沖
縄県人材育成企業認証制度(仮称)』の創設を検討すること。
 

 

2.女性の活躍及び多様な働き方の推進について

 
  アンケートで企業の女性管理職の推移について3年前と比較した結果、「増えている」(19.4%)、「増えてはいないが増えるように取り組んでいる」(14.8%)となり、3割以上の企業で女性管理職の登用に積極的に取り組んでいることが明らかになりました。沖縄同友会の会員企業には多くの女性が管理職として活躍しており、女性にとってチャンスと可能性の高い場所であると言えます。
一方で、出産・育児・介護とステージが変わっていく社員達への働きやすい労働環境づくりは、経営者にとって大きな悩みです。社員が働きやすい職場づくりに必要と思うことについては、第1位が「社内の意識改革」(58.0%)で、社内の理解不足や社内教育の課題が見えました。第2位に「生産性を高める仕組みづくり」(55.4%)と具体的な取り組みへのノウハウ不足、第3位「休業後の復帰をスムーズにするための就業規則や制度整備」(51.8%)と続き、企業内規則や制度整備のニーズも高いことが分かりました。さらに、育児介護休業法の改正に伴い、対応していない企業は54.2%と半数以上を占めています。
以上のことから、現行の沖縄県女性就労・労働相談センター事業の「女性が働き続けられる環境整備に向けたプログラム」におけるモデル事業の継続及び拡充と、沖縄同友会との連携・協働について、以下の通り要望・提言します。
 
①女性が働きやすい職場づくりを推進するための総合的な支援体制強化と情報共有の仕組みを構築
すること
ニーズの高い「生産性を高める仕組みづくり」については、切れ目なく支援側が連携することが求められます。沖縄県女性就労・労働相談センター事業の範囲を超える、財務、戦略、業務改善、IT活用支援等については、商工会やよろず支援事業等の他支援機関へ診断表や改善策実施後の評価等の共有化を図ることが必要です。
②小規模事業者が活用しやすい女性が働き続けられる環境整備に向けたプログラムを実施すること
課題となっている企業向け意識改革に関する講習会や女性管理者向けのキャリア形成支援について実施する必要があります。
③新たな啓発イベント事業、小中学生に向けた「女性のおシゴト図鑑(仮)」を開催すること
沖縄同友会「碧の会」と「女性就労支援センター」が連携し、多様な働き方や職種、家庭と両立しながらキャリアアップした企業の女性から直接、話が聞ける機会を提供することが目的です。
 
 
 

3.誰もが働きやすい職場環境をめざして(福祉)

  (1)障がい者雇用の促進を

 障がい者と健常者が垣根なく共生できる社会の実現こそ真に豊かな社会といえます。

法定未満の中小企業が多数を占める中、「雇用している」(21.6%)で「今後は雇用したい」(34.0%)と「過去に雇用していたことがあり、雇用を検討している」(9.3%)を合わせて(43.3%)となっており、積極的に障がい者雇用に取り組み、今後雇用を検討していることがわかります。その一方で、「雇用できない」(31.4%)と「過去に雇用していたことがあるが、今は受け入れたくない」(3.6%)を合わせて(35.0%)と、多くの中小企業が障がい者雇用について、躊躇している現状も少なくありません。

 その躊躇している理由の設問として、「障がい者雇用を行う上で不安に思うこと(複数回答)」では、「どの程度仕事が出来るか」が(70.2%)もあり、障がい特性と仕事内容のマッチングの見通しが立たない不安な現状が浮き彫りになりました。重ねて「社内の理解が得られるか」も(27.5%)あり、社員の障がい理解・啓発のための取り組みの必要性も見られます。

 障がい者雇用支援制度の助成金の認知や活用状況については「活用している」が(17.5%)と低く、活用されていない状況が浮き彫りとなり、積極的な周知・広報策を講ずることが求められます。

 また、特別支援学校、訓練施設等のインターンシップの受け入れについては、「受け入れたことがあり、今後も受け入れたい」(15.1%)と「受け入れを検討したい」(36.8%)と合わせて51.9%と過半数あることから、社内理解の促進として活用する方向も検討することが求められます。

 発達障がい者の雇用について、障がい特性の判断が難しく社会的理解が進んでいない状況から、今回新たに設問設定したところ、「雇用している」が(4.8%)と他の障がい種別と比較しても低く、「発達障がいと思われるが判断できない社員がいる」は(13.2%)と本人も会社も障がい判定できなくて戸惑っている状況がみられます。

 上記のアンケート結果から『障がい者特性の理解による仕事内容のマッチング』がポイントと考えます。これらを踏まえ、以下のことを要望・提言します。

 

① 企業への「沖縄県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例」及び「障害者差別解消法」の理解促進として、企業の役員・社員双方に障がい特性理解、特に発達障害の理解を目的とした、出前研修等の理解促進事業を行うこと。

② 各種助成金制度の活用促進策として、企業や企業支援機関等に出向き説明機会を増やすことや、周知・広報策の目標を設定するなど、具体的取り組みを行うこと。

③ 障がい者雇用支援機関(雇用、福祉保健、教育)の連携協議の場で、障がい者雇用相談窓口の充実、拡充についての方策を講じること。

④ 県内の障がい者雇用について、その半数以上が50人未満の中小企業による雇用である実態を

踏まえ、その継続に向けた支援体制を整えること。

⑤ 障がい者雇用の促進につながるよう、シルバー人材派遣センターのような登録制の障がい者人材バンクを設立すること。

⑥ 沖縄同友会が主催し、市町村を変えながら毎年実施している、障がい者問題を考える「雇用・就労支援フォーラム」について、沖縄県としても労働、福祉保健、教育の各部局で連携しながら積極的な参加を行い、各市町村に対しても連携及び協力するよう周知・伝達すること。

⑦ 障がい者が自立して働くための施策を、関係団体や企業も交えて検討する場を各市町村の中

でも実施できるように助言・伝達を図ること。

⑧「障がい者が働き続けられる環境整備に向けたプログラム」を策定すること。

⑨ 就労継続支援A型事業所の経営実態調査を行いながら、就労者の継続雇用の積極的な支援対策

を行うこと。

(2)子どもの貧困対策について

沖縄県が推計した2014年の子どもの相対的貧困率は29.9%。子ども3人に1人が貧困状態にあると考えられています。そして、貧困が子どもの生活と成長に影響を及ぼしていることが強く懸念される状況にあります。このような深刻な沖縄の子どもの貧困の状況をふまえ、沖縄県においては、平成28年3月に「沖縄県子どもの貧困対策計画」が策定され、同年6月には、県民一体となって子どもの貧困問題に取り組むべく「沖縄子どもの未来県民会議」が発足し、沖縄同友会もその一員となっています。今や「子どもの貧困」は、全県挙げて取り組むべき喫緊の課題となっています。この問題を根本的に解決するためには、経済界が果たす役割も大きく、同友会も引き続き積極的に取り組んでいく所存です。

貧困の解消のためには賃金の向上が必要なところですが、会員へのアンケート調査では、現在737円の最低賃金を上げることについて、賛成が61.3%を占め(どちらでもないが33.9%)、多くの中小企業が最低賃金を上げることに賛成しています。また、定期的に従業員の昇給(ベースアップ)をしている企業が78%となっており、多くの中小企業が従業員の昇給を行っている状況です。

さらに、非正規雇用率の高さ(沖縄県44.5%、全国38.2%、2012年総務省就業構造基本調査)が、所得が低いことの要因の一つと考えられているところ、非正規雇用者を正規雇用に転換する仕組みがある企業が66.9%あり、多くの中小企業が従業員の正規雇用化への取組みを行っている状況です。

このようなアンケート調査結果から、中小企業において、従業員の賃金向上、昇給促進、正規雇用化促進をさらに進めるためのインセンティブとなるよう、以下のことを要望・提言します。

 

①賃金向上や昇給促進、正規雇用化促進に向けて下記の取り組みの検討や実施を行うこと。

ア)各種助成金制度の周知徹底、相談窓口の拡充。

イ)既存の税制上の優遇措置の周知徹底。

②貧困解消に向けて特段の措置を行った企業に対して、下記のようなインセンティブを検討すること。

ア)法人事業税、固定資産税、償却資産税などの地方税を減税するなどの新たな税制上の優遇

措置。

イ)新たな補助金の創設。

ウ)正規雇用化促進等の貧困解消に向けた取組みを行っている企業を評価、認定し、認定企業

優遇措置を講ずる制度(企業認定制度)の導入。

 

 

 

 

 

 
 
Ⅲ.産業振興について
 
 沖縄県中小企業家同友会には、沖縄県の基幹産業にも位置づけられる、「観光」、「建設」、「情報」、そして環境問題の解決や環境ビジネス等に取り組む「環境」関連の4業種委員会がビジネス連携部会「ゆいま~る」の中にあり、各々の業界の課題解決や発展に向けた取り組みはもちろんのこと、業界の垣根を越えたビジネス連携についても研究を進めています。 
 
 

1.観光産業の振興について

 
(1)観光客1000万人時代に対応できる交通網の整備を
 今後の沖縄観光産業振興に向けた課題の自由記述アンケートでは全体の半分近くを交通問題が占めています。とりわけ「沖縄観光では、交通状況が大きなネック」、「あまりにも交通インフラが整っていない」という意見に代表されるように、「交通渋滞の解消」と「交通インフラの整備」を要望する意見が数多く出されています。具体的には「ハワイやグアムのように巡回するトロリーバス」や「モノレール」、「LRT」、「鉄軌道とバスでどこの観光地にも行けるような交通網の整備」が要望されています。観光客1000万人時代に対応できる交通網の整備を行うことは喫緊の課題となっています。
 「那覇空港からMICEまでの間に導入すべき公共交通機関」の設問では、「LRT(軽量軌道交通)」が35.5%、「地下・高架鉄道」が20.2%、「モノレール」が19.7%、「BRT(バス高速輸送システム)」が13.7%となっています。沖縄はアジアや本土のMICE先進地と比べても優位な点が多くあり、計画されている大型MICE施設が成功する条件は十分にあります。ただしアジアや世界のMICE施設には必ず鉄道が隣接しています。沖縄MICEの成功のためにも那覇空港-MICE施設間の交通アクセス整備は必須であり、LRTやBRTの導入、モノレールの延伸なども含めて検討していくことが求められます。
 また、「那覇市から名護間に導入すべき公共交通機関」の設問では、「地下・高架鉄道」が39.3%、「LRT」が29.0%と、この2つでほぼ7割を占めています。「地下・高架鉄道」が1位ですが、「LRT」を要望する声も多いことがわかりました。また「モノレール」の要望は12%、「BRT」も9.3%あります。那覇-名護間の鉄軌道計画ではC派生案が推奨ルート案として選定されたところですが、1キロ当たりの事業費が87億円を超え、どの整備新幹線よりも高価な普通鉄道計画となっています。他方でLRTだと事業費は1キロ当たり約30億円、BRTだと1キロ当たり10~15億円と安価です。これだとルート案を1つに絞ることなく西海岸線も東海岸線も、さらには南部環状線も中部環状線も整備できるのではないでしょうか。観光客は乗って楽しく、地域住民にとっては安くて交通弱者にも乗りやすく、またより広い地域をカバーできるLRTやBRTも、新たな選択肢として考えられます。
 これらを踏まえ、以下のとおり要望・提言します。
 
那覇空港―MICE施設間のLRTや地下・高架鉄道、BRTの導入事業、モノレールの延伸事業の採算試算を行うこと。
那覇-名護間のLRTやBRTの導入事業の採算試算を行うこと。
上記①②以外の地域でも観光客や地域の交通弱者が利用しやすい公共交通機関の在り方を研究し、整備を行うこと。(路線バスの無料化、LRTやBRTの導入等)
 
 
(2)外国人材活用によるインバウンド対応力の向上について
沖縄県を訪れる外国人観光客にリピーターになってもらうためには、各観光施設での接客・接遇など、満足いくおもてなしが求められます。そのためには、語学力はもちろんのこと、その国の文化・風習等を踏まえた高度な対応力が必要です。対応力向上のためには、継続的な研修はもちろんのこと、現場に外国人を配置し、生きた事例から学ぶことが最も効果的です。これまで以上に外国人を雇用しやすい環境づくりが求められます。
つきましては、これらを踏まえ、以下のことを要望・提言します。 
① 外国人材の雇用促進のため、就労ビザ取得緩和の方法や現状の法律の運用改善の状況を適宜事
業者に発信すること。
  ② 外国人雇用に関して、沖縄県としての方向性を明確にするとともに、行政と関係団体による検
討会議を設置し、具体的な取り組みを実施すること。
③ ワーキングホリデイの誘致など、多様な外国人材誘致の方策を検討すること。
 
(3)留学生の就労時間延長について
現在、沖縄県においては、各業界で人材不足が深刻な課題となっています。とりわけ、飲食業や
コンビニエンスストア、宿泊業などでは、外国人材がいないと事業が成り立たないほど、深刻な
状況です。外国人材の中でも、就労ビザを持たない留学生は、経済力が十分でないことも多く、学
費や生活費が賄えず、ダブルワークなど、違法な就労の横行といった課題も表面化してきました。
こうした留学生が、適正に日本での留学を続けるためにも、就労時間の規制緩和が求められます。
沖縄同友会の人材確保・育成アンケートの結果では、どのような人材を採用したいかの問いに対
して「外国人材」と回答したのは6.1%にとどまっているものの、観光関係やサービス業などでは、比較的、高い需要となっています。
今後、沖縄県においても、労働人口の減少は確実な状況となっており、外国人材の活用は今後の沖縄観光発展のカギとなります。
 つきましては、これらを踏まえ、以下のことを要望・提言します。
 ○ 国と連携して、留学生の就労時間週28時間を35時間程度まで緩和する方策を検討すること。また、特例での就労時間延長などの情報を適宜事業者に発信すること。
 
(4)民泊(商業型民泊)問題について
一般の住宅に有料で旅行者等を宿泊させる「民泊」が2018年6月より全国で解禁されます。
沖縄同友会では、この状況を踏まえ、昨年に続き民泊ビジネスに関するアンケートを行いました。
民泊ビジネスへの参入については「興味がある」(35.0%)、「興味はない」(61.7%)、「すでに始め
ている」(3.3%)となりました。また、「興味がある」、「すでに始めている」との回答者に対して民泊ビジネスを営業するにあたっての法律やガイドラインの認知度について聞いたところ「知らない」の回答が41.4%となりました。民泊ビジネスのイメージについては、「利用者の選択肢が増えて好影響が出る」(37.1%)、「空家・空室問題の解消につながる」(56.0%)、「宿泊施設不足の解消になる」(48.0%)と好意的な回答の比率が高いものの、「不安がある(ゴミ、治安・セキュリティー、騒音等)」(69.1%)の回答の比率が最も高いことから、特に新規参入業者に対し、法律やガイドラインの周知を徹底することが求められます。民泊が沖縄観光のイメージダウンにならないよう、早急な対策が必要です。
安全が確保されていない施設を増やすことによって、既存の良質な施設が淘汰され、サービスの質の低下や県民の雇用の場が奪われることがあってはなりません。
 つきましては、これらを踏まえ、以下のことを要望・提言します。
① 沖縄県内全域の民泊事業者の実態把握を行うこと
② 特に新規参入業者に対し、住宅宿泊事業法(民泊新法)および住宅宿泊事業法施行要領(ガイ
ドライン)の周知・徹底を図ること。
   ③ 無届出の違法な民泊業者を公表できる総合的な仕組みを整備すること。
 
 
 
 
 
 
 

2.建設産業(主に建築関連)の振興について

 
 建設業界においては、東日本大震災、東京オリンピック開催による影響により、急激な工事量の増加による技能労働者及び技術者不足による人件費増加、資材価格高騰など、業界を取り巻く環境は厳しい状況であり、また、若手入職者の減少による建設業就業者の高齢化が進行していることから、持続的な生産体制の確立の為の女性や若手の入職促進、及び人材育成が喫緊の課題となっています。今回、入職者増に向けたアンケート調査を実施し、(1)将来に向けた担い手確保の課題、(2)現在の人材不足に対する課題、(3)働き方改革など建設業の持続的な発展に向けた課題の3つについて回答を募りました。結果は以下の通りです。
(1)の担い手確保については、高校生のインターンシップ、女性技能者・技術者による職業講話、建設業体験イベント等の入職促進に繋がる機会がまだまだ少ないことや、建設業のイメージアップのためには、労働時間や賃金・保険等の労働条件および労働環境の課題があるという回答が得られました。
(2)の現在の人材不足については、外国人技能実習生の受け入れについて、採用手続き、研修制度、雇用条件についての課題があるとの結果が得られ、また女性技能者・技術者の雇用については、就業規則の整備の他、現場における安全衛生面の環境の未整備が課題となっているとの回答が得られました。
(3)の建設業の持続的な発展については、長時間労働の是正、週休2日制工事、処遇の改善が不可欠であるとの回答が得られました。
つきましては、建設産業が地域の基幹産業として社会資本の基盤整備や防災、経済を先導する中核を担い、地域の活性化をもたらす重要な立場にあることを考慮し、以下のことを要望・提言します。
(1)将来の建設業入職者増(担い手確保)に向けた取り組みについて
小・中・高校生の建設業へのジョブシャドウイング及びインターンシップの促進
女性技能者・技術者による職業講話等、女性の就労促進
建設業とタイアップした仕事体験イベントの開催(グッジョブ運動等)
 
(2)建設業における外国人および女性の活躍促進について
外国人技能実習生受入れ時の助成制度、および滞在時に必要な環境整備サポート
現場における安全衛生費として、女性専用トイレの設置義務付け
入札参加申請時の県独自評価における、「ワークライフバランス企業認証制度」および「女性の活躍推進認定」(厚生労働省による「えるぼし」等)を受けた企業の加点
 
(3)建設業の働き方改革について
工事量の平準化
週休2日制工事の導入(日給の職人の処遇が下がらないよう労務単価を上げることが前提)
適正な工期設定
社会保険未加入対策に伴う法定福利費確保のための予算計上
 
 
 

 

3.情報産業の振興について

 
(1)県内産業の基盤整備としてのデータプラットホーム構築について
AI、Io Tが叫ばれる昨今、データに基づく経営が今ほど重要になっている時はありません。県内の某てんぷら店も、データ経営で急成長を遂げています。日本一生産性の低い県内中小零細企業に最も必要性があるにも関わらず、最も欠けているのが、このデータに基づく(データドリブン)経営です。中小・小規模事業者がデータに基づく経営を目指す際に行政でのデータプラットホームの整備が大きな側面援助となります。例えば観光客を例に取ります。①インバウンド観光客の買い物消費動向のビッグデータ、②帰国後の越境ECなどの県産品購入のビッグデータが適切に収集、分析されれば、マーケティングに活用できるだけでなく、③県産品製造の原材料(農畜産物等)へのフィードバックを通じて県産品のサプライチェーン全体の最適化、生産性向上に大きく寄与することは必須です。これらを踏まえ、以下のことを要望・提言します。
○沖縄ITイノベーション戦略センターや各機関と連携して、県内産業の基盤整備としてデー
タプラットホームを構築すること。
 
(2)沖縄同友会等、県内企業との交流連携について
前述のサプライチェーンの中には同友会企業も多数含まれます。昨年発足した沖縄県中小企業家同友会ビジネス連携部会は、異業種間の連携でビジネスを志向する新たな部会です。県や他の行政機関とも連携してデータ提供など様々な協力が可能です。これらを踏まえ、以下のことを要望・提言します
○県担当者と中小企業家同友会との定期的な意見交換の場の設置など、緊密な相互交流、連携
を図ること。
 
(3)県内中小IT事業者の育成・支援について
県内の雇用を守り地域の主体を育てているのは圧倒的多数を占める県内の中小・小規模事業者です。それはIT企業においても同様です。中国のグレートファイアウォールが中国のIT産業育成に大きな役割を果たしたのは有名な話です。これらを踏まえ、以下のことを要望・提言します、
○地域の芽は地域で生み育てる視点から、県内中小IT事業者の育成・支援を行うこと。
 
(4)AI人材育成とプログラミング素養の育成について
世界的に広がるSTEM教育。AI、IoT時代の人材育成には、学校教育を補完する仕組みが必要です。県内でもボランティアを中心にSTEM教育を実施する社団法人の発足など、いくつかの動きがあります。公教育の手が届きにくい、こうした動きへの支援を先んじて行うことが将来のIT立県沖縄を創りだす大切な先行投資です。中小企業の人材確保にとっても大事な課題です。これらを踏まえ、以下のことを要望・提言します。
①無償ボランティアで運営されている県内のcoderDojoへの支援
県内数か所にあるCoderDojoを県内市町村全域に拡大するための支援を要望・提言します。
②大学と連携した高等学校教員へのAI、IoT教育の継続的実施
指導者の先端ITへの理解が立ち遅れています。ポリテクやその他の大学と連携した工業高校や普通高校の教員へのAI、IoT等の研修の網羅的継続的実施を要望・提言します。
③IT津梁まつり参加高校、大学、専門学校、企業とのコネクテッド=ネットワーク形成
専門性の高い大学や高校は、ともすれば組織や教科(専門分野)による縦割りに陥りがちです。しかし時代は横の連携を要請しています。せっかくできたIT津梁まつりによるつながりを継続的な連携=ネットワークに高めるための県の主導性を要望・提言します。
(補足説明)
例年実施しているIT津梁まつりは、2016年度は5000名。2017年度は1万人を超す盛況でした。学生や教育関係者のみならず一般企業のITに対する認識の向上に大きく貢献し、また企業と学生が同じ会場に出展することにより、企業の生の姿を見ることができ、キャリア教育の点からも有意義でした。2017年度は各ブースとも、プログラミングや電子工作などのワークショップが多数で、来場者の評判も極めて良好でした。AIやロボットなどの先端技術のデモ展示も有り、学生や来場者の興味を喚起したのも特徴の一つです。
一方、企業と学校との交流会の中で、現場の教師から、教科の教育と事務作業で時間に追われ、ITの新しいトレンドを学習する時間がなかなか取れないとの悩みも報告されました。教師が先端のITにふれ理解を深めることがAIやIoT人材を育成する第一歩です。普通高校でプログラムを教えない、工業高校では要素技術は教えるがIoTのようなセンサ、マイコン、ネットワーク、クラウド、サーバー全体にまたがる総合的な教育は行われない、といった現実を打破することがAI、IoTに対応する新たな人材の育成につながります。
またAIの基礎であるニューラルネットワークは、高校の数ⅡB、数Ⅲの知識があれば理解できます。決して超難解な高等数学は必ずしも必要ありません。社会人エンジニアにAIのプログラムを教える際に最も苦労するのは高校時代の数学の再学習です。微分、行列、漸化式など、社会に出たら忘れたい数学を再度学習することの難儀さ、文系出身のエンジニアだと一から勉強しなおさなければならない苦痛などです。頭の柔らかい高校時代に数学の理解とニューラルネットワークの学習を積めば、AIを駆使する人材を育成することができます。指導要領に則った授業が基本ですが、沖縄県がIT立県を目指すならば、こうした視点での課外活動の推進や企業との連携、教師への先端技術の教育など様々な手段が講じられても良いのではないでしょうか?
 人材育成と教育は中小企業の課題でもあります。教育委員会だけではなく商工労働部や他の組織を挙げて県全体で取り組むべき課題でもあります。未来を担う子供たちの教育には特に総力を結集すべきです。人材育成にけるオール沖縄体制を要望します。
また、IT津梁まつりなどの一過性のイベントだけでは興味を引くことはあっても、継続的なプログラミング教育、STEM教育などが課題として残ります。
県内においても民間による学生向けのプログラミング教室が開催されており、南風原、嘉手納、宮古の3つのCoderDojo(※)、テックキッズ、デジラボおきなわ等が精力的に活動しています。
これからのグローバル人材に必要なスキルの一つがプログラミング能力です。県の積極的な取り組みも課題の一つと考えます。
 
※CoderDojoとは?
CoderDojoは、7〜17歳の子どもを対象にしたプログラミング道場です。2011年にアイルランドで始まり、世界では70カ国・1,200の道場、日本では全国に83以上の道場があります。沖縄県には、南風原・嘉手納・宮古島の3か所に道場が開設されています。
CoderDojo で学べる内容は道場ごとに異なります。例えば、次の内容を学べる道場があります。Scratch, Hour of Code,HTML, CSS, JavaScript,PHP, Python, Ruby, Unity,Arduino, Raspberry Pi など。
道場の運営は、基本的にボランティアで成り立っており、子どもたちは、無料でプログラミングやテクノロジーに触れることが出来るようになっています。
例えば、南風原のCoderDojoは、協力企業から減価償却済みのPCを30台無償で譲り受け、PCを持っていない子どもたちでも通えるように、プログラミング環境を整えており、ほぼ毎週、週末の土曜日に10名前後の子どもたちがプログラミングを学びに来ています。
なお、全世界のCoderDojoの運営者は、Facebook上のコミュニティでつながっており、インターネット上で、国境を越えて、プログラミングイベントなどを開催する素地が整っています。
 
(参考)行政が後押しするCoderDojo
コーダー道場こだいら 東京都小平市教育委員会が支援
https://coderdojo-kodaira.github.io/spcourse4adults2016.html
 
 
 
補足資料
(1)アンケート集計
①「今後、5年から10年の間に、自動運転やロボット、AIによって人手不足の解消に寄与す
ると同時に、特定業種、職種において雇用を奪うとも言われています。あなたはどう思われますか? ご意見をお聞かせ下さい。」という自由記述にも関わらず、回答総数 197件中、6割以上の122件の回答を頂きました。AIやIoT、ロボットなどに対する関心の高さを示しています。多少恣意的ですが回答をいくつかのカテゴリーに分類しました。
 
意見 比率(重複有)
AIなどに肯定的意見70件、消極的肯定25件、計95件 77%
否定的 意見 17件 14%
 
●肯定派の理由
新しいビジネスモデルが必要 17%
単純労働はロボット化される 15%
人手不足の解消に必要 14%
⓺生産性の向上につながる 12%
対応できる人材育成が必要 7%
 
●その他
人間にしかできない仕事もある(残る) 12%
人とロボットが協調をすべき 4%
(結果考察)
昨今のAIなどの目覚ましい発展の中、沖縄ではまだ実装されておらず、どれくらい効果があるのか、どのように取りくむのかも未知数です。しかしそうであるにも関わらず、中小企業においても避けて通れず、むしろ積極的に取り入れるべきとしている経営者が大半を占めています。特に人手不足の問題は深刻で、その解決策として期待していること、AIやIoTの導入によって、生産性の向上を図り、新たなビジネスモデルの創出を期待していることなどが示されています。 またAIが単純労働や事務のルーチンワークを代替していくであろうこと、一方で、人間にしか出来ない仕事に雇用は純化していくことなどが予想されており、新しい時代の人材育成が必要であると考えていることなどが示されています。少なくとも同友会の経営者は、トレンドに対するアンテナを立て、時代に敏感であることが示されています。
②「あなたは商工会/商工会議所やその他の機関から自社のITレベル(成熟度合)についてヒアリング、アンケートなどの調査を受けたことがありますか?(1つ選択)」との問いに、180社中170社(94%)が「ない」と回答しており、そのうち31件(17%)が自社のレベルを知りたいと回答しています。「ある」と答えたのはわずか6%に過ぎません。県内企業のIT化の客観的実態は把握されていないこと明らかですし、今ほど、その必要性が求められているときはありません。
 
 
 
 
 
 

4.環境問題について

 環境問題への対応は、私達の世代が次の世代へ、より良い形で「地球環境」を引き継いで行くための極めて重要な取り組みです。沖縄県においても「第2次沖縄県環境基本計画」など基本的な取り組みの枠組みを示し、多くの施策が展開されています。私達沖縄同友会も①低炭素型社会②循環型社会③自然共生型社会を基本に環境保全型企業づくりを目指し、環境問題に取り組んでいます。
つきましては、これらを踏まえ、以下のことについて要望・提言します。
 
(1)エネルギー政策について
中小企業家同友会では、再生可能エネルギー中心の経済へ転換し、新たな中小企業の仕事と雇用を生み出し、持続可能な地域づくりをめざす「エネルギーシフト」(エネルギーの地消地産)の実現に向けて、全国で取り組みを進めています。県内においてもバイオマス発電等の分野で参画するチャンスを探っていきたいと考えています。会員アンケートでは、「再生可能エネルギーの開発について地元企業が関わることを期待する」などの意見があります。これらを踏まえ、以下のことを要望・提言します。
 ① 沖縄県と沖縄総合事務局の再生可能エネルギー活用に関する方針、取り組み姿勢など県民向
けの説明会を開催すること。
② 県は上記の①を踏まえ、中小企業の再生可能エネルギー活用に関する新しいビジネスの創出に繋がる仕組みづくりに取り組むこと。
 
(2)電力自由化について
会員アンケートで県内の電力自由化の状況理解について質問したところ、良く理解できているが7%、少しは理解できているが47%、ほとんど理解できていないが46%となっています。また、本土に比べ県内の電力自由化が進展してないことについては、県議会の一般質問なども取り上げられ、県答弁は「制度の周知を図ります」としています。これらを踏まえ、以下のことを要望・提言します。
○ 県は電力自由化の目的や制度について、電力自由化が進展するよう、広報の強化を図ること。
 
(3)廃棄物政策について
会員アンケートで事業系一般廃棄物と産業廃棄物の排出・処分や産廃のマニフェスト発行について質問したところ、産業廃棄物のマニフェスト発行の不徹底や事業系一般廃棄物と産業廃棄物の減量化、再資源化の取り組みが弱い結果となっています。これらを踏まえ、以下のことを要望・提言します。
① 県は事業者向けの産業廃棄物のマニフェスト発行を徹底するための広報活動を強化すること
② 県は市町村と連携して事業系一般廃棄物の減量化、再資源化を図ること及び産業廃棄物の
減量化、再資源化についても一層の取り組み強化を図ること。
 
(4)環境マネジメントシステムの導入促進について
会員アンケートで環境マネジメントシステムの導入について質問したところ、環境マネジメントシステムは導入してないが80%、エコアクション21(EA21)の導入が7%、ISO14001導入が6%、その他が5%となっています。沖縄同友会では中小企業向けの環境マネジメントシステムとしてEA21導入は有効であるとの考えで、従来からEA21の普及・啓発を行っています。また、県環境部においてもEA21の普及・啓発活動が継続されています。これらを踏まえ、以下のことを要望・提言します。
 ① 中小企業に対してEA21認証取得に向けた普及活動の取り組みを強化すること。
② 事業系一般廃棄物、産業廃棄物の中間処理業者、収集運搬業者の許可申請や許可更新の時に、EA21の普及を勧めること。また、公共工事の工事成績評定(考査項目運用表)において、ISOもしくはEA21を取得している下請(協力)企業の活動を評価すること。
 

 

 

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