2014年度 沖縄県の産業振興・中小企業政策に対する中小企業家の要望と提言

 

■ はじめに
1.金融・円安・消費税問題について
2.県の中小企業支援施策等、諸施策について
3.沖縄21世紀ビジョン、中小企業憲章・条例について
4.一括交付金について
5.観光産業の振興について
6.建設産業の振興について
7.情報産業の振興について
8.環境問題について
9.女性の地位向上・社会参画について

10.福祉について

 

■ はじめに

 私たち沖縄県中小企業家同友会は、会員企業を対象に2月26日から3月31日の期間、1「金融・円安・消費税問題」、2「県の中小企業支援計画や県単融資等の諸施策」、3「沖縄21世紀ビジョン」、4「中小企業憲章・中小企業振興基本条例」5「一括交付金」、6「産業振興-観光・建設・情報・環境」、7「女性の地位向上」、8「福祉」の8項目について、アンケート調査を実施しました。
私たちは、このアンケート結果をふまえ、さらに各々の部会(観光・建設・情報・環境・女性)、専門委員会等で検討を重ねてきました。
つきましては、以下の通り「沖縄県の産業振興・中小企業政策に対する中小企業家の要望と提言」を行います。
 
 

(2014年6月5日)

 

 

 

1.金融・円安・消費税問題について

 

(1)中小企業に対する金融機関の融資について
 中小企業に対する金融機関の融資姿勢について、昨年と比較すると「これまでと変わらない」が昨年の72.2%に対し、今回は73.9%と1.7ポイント上昇、さらに「これまで以上に親切に対応してくれる」という回答も17.0%と3.4ポイント上昇し、「これまでと変わらない」と「これまで以上に親切に対応してくれる」を合計すると90.9%となります。「貸し渋り」についても2.3%から1.8%と減少しています。金融機関の姿勢が厳しくなった時期と比べ、昨年、今年と中小企業への対応が改善されています。
 
一方、金融機関に対する主な意見では
・「融資基準を『担保の有無』だけでなく『経営者の資質』や『経営理念』、『事業の将来性』なども重視してほしい」
・「単なる金貸し業でなく課題解決型の『事業創造支援業』への転換が必要」「事業情報や海外展開などの専門家の育成」
・「経営者保証をなくしてほしい」などです。
県信用保証協会に対する主な意見では、
・「保証料が高い」「前払金を多くしてほしい」
・「一定期間で何度も同じ書類を提出するのは大変。工夫してほしい」
・「ベンチャー企業は高い保証料を取られているが、返済が出来た場合は高く取った保証料を返還してほしい」
・「信用保証協会はマンパワー不足。業種によって認識不足から、迅速な資金提供が実施できず、産業振興の足を引っ張っている」などです。
こうした中小企業、利用者の声をふまえて、以下のことを要望・提言します。
①金融円滑化法の終了を受けて発足した「おきなわ中小企業経営支援連携会議」、「沖縄経営サポート会議」の目的を、「経営改善」、「事業再生」にとどめず、「事業創造支援」まで拡充するなどして、行政・金融機関一体で、中小企業の経営改善、事業創造を促進すること。
②以下のことを金融機関に対し働きかけること。
・自己査定能力を高め、積極融資を行うこと。
・金融機関と信用保証協会の迅速な審査。業種・業態の変化に対応した柔軟な審査。
 

(2)第三者連帯保証・経営者(個人)の保証について

沖縄同友会で第三者連帯保証・経営者(個人)保証ガイドラインについて調査を行いました。融資
を受ける際、親族等第三者の連帯保証を提供しているかについては、「している」が14.3%、「し
ていない」が75.6%、「わからない」が10.1%という結果になりました。また、融資を受ける
際、経営者保証、あなたの個人保証を提供しているかについては、「している」が62.5%、「して
いない」が26.8%、「わからない」が10.7%という結果となり、6割強の企業で個人保証を提供している現状が明らかになりました。また、2014年2月1日から適用された「経営者の個人保証に関するガイドライン」については、71.0%が「知らない」と回答しています。
つきましては、これらを踏まえ、以下のことを要望・提言します。
①「経営者の個人保証に関するガイドライン」を、県内企業に広く広報・周知を行うこと。
②上記ガイドラインに基づき、一定の条件を満たした企業については、経営者の個人保証を求めな
いことを実行するよう、金融機関へ働きかけること。
 
 
(3)円安に対する原材料費補助及び負担軽減について
   円安進行による燃料・原材料及び仕入価格上昇についてアンケート調査を行った結果、影響が「あ
る」50.6%、「ない」23.0%、「今後予想される」26.4%という結果になりました。また、
上記に関して行政に対してどのような支援を実施してほしいかの質問に対しては、主な意見として「燃
料高騰分の補てん」、「燃料高騰をおさえてほしい」などの意見が出されています。また、「離島への負
担がさらに大きくなっている。その辺の支援を考慮してほしい」など、特に離島への支援に関しては、切実な課題として、特に多くの意見が寄せられています。
 つきましては、これらを踏まえ、以下のことを要望・提言します。
①県が昨年7月に実施した円安の進行に伴う原油・原材料の価格高騰に関する影響調査を踏まえ、
 原油高騰の際に県が独自に創設した県単融資(保証料を県が負担)のような制度を設けること。ま
た国のセーフティネット保証の要件を緩和した内容で融資対象を追加したことを、県内中小企
業に向けて積極的に周知すること。
②燃料・原材料高騰による離島への深刻な影響を考慮し、離島企業への助成制度を創設すること。
 
 
(4)消費税増税について
  消費税増税に関するアンケートによると、「消費税増税分を価格転嫁できますか?」の問いに、「できる」64.9%に対して、「出来ない」19.   2%、「わからない」13.5%、「その他」1.9%と34.6%が消費税増税に不安を抱えている状況です。
  つきましては、以下のことを要望・提言します。
①便乗値上げの阻止と相談窓口を設置すること。
②消費税増税分の値下げ要請阻止と対応窓口を設置すること。
 
 

2.県の中小企業支援策等、諸施策について

 

 (1)県の中小企業支援計画等について
 県は、毎年度の「中小企業支援計画」を決定し、ホームページ等で告知しておりますが、多くの中小企業が支援計画や県単融資制度について知らない状況は、改善されていません。同友会会員へのアンケートの結果では、中小企業支援計画について「知っている」のは回答者全体の30.9%で、全体の7割が支援計画自体について「知らない」と答えています。県の中小企業支援計画や県単融資について、「もっと広報に力を入れて欲しい」、「業界団体の勉強会で説明してほしい」とPR方法に工夫することを要望しております。「良い施策を出してくれているが、PRが十分にされていないため、多くの中小企業が活用する機会を逸している」との声もあります。

また、その内容についても、県は中小企業振興会議、地域部会等で中小企業者の声を聞き、施策に反映させる仕組みが出来つつありますが、もっと積極的に「支援計画や融資制度を策定する段階で、中小企業の声を聞く」ことも、例年通り多くの声が上がっています。主な意見では「いいことだと思う。詳しい内容を知りたい」「県の自己満足に終わっている。必要な人には何もやっていない」「実態調査があまりに少なく、施策に独自性がない」、「上から目線でなく中小企業の生の声を聞いてほしい」との声があがっています。
支援計画の5つの基本方針に関する関心度では、「経営基盤の強化」が58.0%で最も関心が高く、次いで「資金調達の円滑化」37.9%、「経営革新の促進」34.9%、「環境変化への適応の円滑化」31.4%と続いています。「大企業との差は販売力の差、マーケティング、販売促進、販路開拓支援に力を入れて欲しい」、「皆が利用しやすい適切な専門家配置、情報の提供など事業創造支援に必要な仕組みを作り、中小企業家が安心してお金を借り、事業を創造・継続出来る制度を作ってほしい」などの声もあります。一方、「消費税増税後の中小企業の経営難に対する施策を検討してほしい」、「施策が多すぎる。簡素化し、生の相談に対応してほしい」との声もあります。
こうしたアンケート結果をふまえ、次年度以降の策定にあたり次のことを要望・提言します。
①次年度の「中小企業支援計画」を策定する段階で、市町村とも連携して、地域の中小企業の生の声
を聞き、計画に反映させる仕組みを構築すること。
②「中小企業支援計画」の内容について、ホームページ等で掲載するだけの待ちの広報から直接地域に出向き説明会を開催するなど、攻めの広報の方法を研究し、周知徹底の強化を図ること。
③中小企業がどのような支援を必要としているのか等について実態調査を実施すること(東京都墨田区の事例等を参考に)。
 
 
 
(2)県単融資について
  沖縄21世紀ビジョンや一括交付金の活用に加え、安倍政権のいわゆる3本の矢戦略による輸出産業を中心とした景気拡大施策などにより、県経済は建設業や観光産業を中心に堅調な推移を示し、それに伴い資金需要も活性化し、県単融資制度の利用率は2012年度の26.2%から2013年度は44.5%と大幅に改善しました。また、中小企業振興会議等での同友会の提案を受け、具体的に制度改善が進められてきています。しかし、同友会では昨年度と同様に、県単融資等の諸施策の利用状況を調査した結果、昨年の6.3%から9.2%と伸びたものの依然として著しく低い利用率であることがわかりました。また、前述のように中小企業支援計画の中で関心のある項目に、「資金調達の円滑化」があげられています。さらに実効性のある制度となるようアンケート調査の意見をふまえ、次のことを要望・提言します。
①県単融資事業等において、中小企業者の負担を軽減するため、沖縄県信用保証協会の保証料を低減すること。もしくは、実質的に利用率の低減につながるよう保証料、利子補給制度などをさらに充実させること。
②「手続の簡素化」を図ること。
③ 融資に関して審査期間を明確化すること。
 
 

 

 

3.沖縄21世紀ビジョン、中小企業憲章・条例について

 

(1)「沖縄21世紀ビジョン基本計画」について

「沖縄21世紀ビジョン基本計画」の内容について、アンケートの結果は、自社の経営に「活かしている」(シッカリ読んで積極的に活かしている+少しは活かしている)が19.0%で昨年の14.6%から4.4ポイント上昇し、「活かしていない」(活かしていない+読んだけど分からない)が39.6%で昨年の44.1%から4.5ポイント減少しています。また「まだ目を通していないので活かせるか分からない」が37.3%(昨年40.3%)となっています。主な意見では、「沖縄県PDCA実施報告書」(2012年度分)については、「ボリュームが多く、とても目を通せない。わかり易い項目や内容で検索できるようにしたり、大別してページ数を大幅に減らした報告書も必要ではないか」、「報告書をベースにした県民説明会等でのPR、マスコミの取り上げを強化してほしい」などが寄せられています。また、同報告書の中で、「中小企業の将来像をどうとらえているのかがわからない。創業率を高めるだけでなく、廃業率を減らし継続率を高めるための施策は、何が一番効果があるのかを示してほしい」などの具体的な要望もありました。 
つきましては、「沖縄21世紀ビジョン基本計画」についても引き続きPDCAを確実に回しながら、年次、中期の結果と評価を県民に広く広報するよう次のことを要望・提言します。
①沖縄21世紀ビジョン基本計画の進捗状況と評価・検証の結果は、ホームページ等で表示し、一括して各部局の進み具合を解りやすく見える仕組みにすること。各部局のまとめは、評価指標や達成度をグラフ化するなど、ビジュアル面で改善してほしい。
②各部局の評価・検証については、各種団体(経済団体・農協・漁協・NPO・教育関係者)等から幅広くアンケートを取るなど庁内だけの評価・検証にとどまらないよう工夫すること。評価・検証には第三者視点を入れるシステムがよい。
③県の担当者が、経済団体の会合等に直接足を運ぶなどして、沖縄21世紀ビジョンのPRを積極
的に行うとともに、現場の声を聞く機会を増やすこと(例:沖縄同友会の経営研究集会等)。
 
 


(2)「沖縄県中小企業の振興に関する条例」について
 2008年3月に「沖縄県中小企業の振興に関する条例」が制定・施行されてから7年目となります。この間、沖縄同友会からの要望・提言等が反映され、「中小企業振興会議」や「地域部会」の運営についての見直しが図られ、中小企業の声を吸い上げ、施策に反映する仕組みが機能しはじめています。昨年に続き、中小企業振興基本条例のメリットについて調査を行った結果、前年度同様、第1位に「中小企業の声が具体的に施策に反映される」(36.8%)、第2位に「行政マンの目線が中小企業者の視点に」(21.7%)、第3位に「地域の実体や課題を把握できる」(19.1%)、第4位に「地域の発展に具体的に寄与できる」(14.5%)、第5位に「自社の経営に活かせる」(7.9%)という結果になりました。

また、まだ中小企業振興基本条例が制定されていない市町村の会員企業に「中小企業振興基本条例」が必要か質問したところ、回答企業のうち、「必要」と回答した企業が68.2%、「不要」は4.7%、「わからない」が27.1%という結果になりました。これまで同友会で取り組んできた条例の普及・啓発の取り組みの成果で過半数以上が「必要」と答えているものの、「わからない」との回答が3割近くもあることは、課題といえます。今後、より多くの中小企業の声を吸い上げ、施策に反映させていくためには、まだ条例が制定されていない市町村での条例制定が不可欠です。
昨年度の懇談会では、中小企業振興会議構成団体の会員企業を対象にした成果報告会の実施に関する要望については、「まずは目玉施策ができてから」との回答でしたが、この間の成果についても、十分評価できる成果であり、広く公表することで、中小企業が主体的に県経済発展を考えるきっかけになるものと考えられます。
つきましては、これらを踏まえ、下記のことを要望・提言します。
①「沖縄県中小企業の振興に関する条例」をさらに多くの中小企業に認知してもらうために、(仮称)
「中小企業月間」を制定し、この期間に、中小企業振興会議議長(知事)による成果報告会や他
府県の事例報告会などの普及・啓発イベントを県と中小企業振興会議構成団体が協力して実施す
ること(同友会では6月を「中小企業憲章・条例」推進月間としている)。
②本条例の実効性をはかる上で、その要の一つである「地域部会」を十分に機能させるために、地
域部会事務局と県による運営改善会議を実施し、下記のテーマ等について検討を行うこと。
・事務局を安定的な運営するために必要なことは何か。
・地域部会で、より密度の濃い有意義な意見交換を行うために必要なことは何か。
③全市町村での条例制定が実現するよう、市町村への働きかけを行うこと。まずは地域部会に市町
村担当者が出席するよう、呼びかけを強化すること。
 
 
(3)「中小企業憲章」について
2010年6月に閣議決定された「中小企業憲章」には、「中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役である」と記されており、政府として初めて中小企業の経済的・社会的役割などについての考え方を示し、政策の理念・考え方を整理した画期的な文書です。同友会では、この「中小企業憲章」を多くの中小企業に認知をしてもらうため、6月を「中小企業憲章・条例推進月間」と位置づけ、イベント開催など、普及・啓発に取り組んでいます。
沖縄同友会では、昨年に続き、憲章で示された8つの行動指針のうち、特に力を入れてほしい取り組みを調査したところ、第1位に「人材育成」(56.3%)、第2位に「経営支援の充実」(52.1%)、第3位に「政策評価に中小企業の声を生かす」(22.8%)という結果となりました。
つきましては、これらを踏まえ、「中小企業憲章」について、次のことを要望・提言します。
①中小企業家同友会で取り組んでいる「中小企業憲章・条例推進月間」の取り組みに、県としても
積極的に協力し、県民への普及・啓発に努めること(「中小企業憲章シンポジウム」への参加等)。
②県担当部局が「中小企業憲章」に基づく国の中小企業支援策を研究し、県として、より効果的な
中小企業支援策づくりを行うこと。
③以下の3点を政府・関係機関に働きかけること。
・中小企業憲章を閣議決定にとどめず、国民の総意とするため、国会決議をめざすこと。
・首相直属の「中小企業支援会議(仮称)」を設置し、省庁横断的機能を発揮して、中小企業を軸
とした経済政策の戦略立案を進めること。
・中小企業担当大臣を設置すること。 
 

 

 

4.一括交付金について

 

平成25年度「一括交付金」1613億円の経済的効果が、『自社の業績に反映されているか』について聞いたところ、「実感あり」と「多少実感あり」を合わせると30.8%で、「実感なし」69.2%の結果となっており、『ハード事業に関し、貴社が受注もしくは、関わった事業がありますか』、の問いに対し、「ある」11.9%、「ない」88.1%となり、多くの企業が「一括交付金」の経済的効果を享受していない実態となっております。また、『沖縄型自立経済の構築に寄与していると思いますか』の問いに対し、ほぼ昨年と変わらない数値で、「寄与している」24.8%、「寄与していない」18.2%、「どちらともいえない」54.5%、「その他」2.4%の結果となっています。

寄与していないと答えた方に、『一括交付金は沖縄の特殊性に起因する課題解決に、最大限活用できると考えますか』の問いに対し、「活用できるとは思わない。交付金に頼らない自立型社会を目指す必要があると考える。今の沖縄は交付金ありきで考えているように思える」、「助成金目当てが多くて自立できていない」という自戒の意味も含め、厳しい意見が寄せられている一方、「可能性はある」、「離島県が抱えるハンディな面を解決することにも活用いただきたい」、「沖縄の地域の農水産物を生かした加工品づくりを支援してほしい」、「活用できると思うが、諸条件のクリアが難しく自由度が低いので、もう少し自由に使えたらいいと思う」と、課題解決に必要だとの意見も多く寄せられました。

「一括交付金」の評価や検証についての意見をみますと、「有識者や県と付き合いのある人だけではなく、学生からお年寄りまで幅広い年齢、業種、地域の人を集め評価するべき」、「評価メンバーを公募したらどうか」等の意見が多数あります。また、「中・長期的な視点での評価・検証も必要」、「県の経済指標の向上(伸長)率の策定」など、中小企業の振興と、「一括交付金」の執行が益々リンクされていくことが望まれています。 

昨年度の懇談会では、事後評価方式により、しっかりとPDCAを回す仕組みが構築されており、ホームページでの公開も実施しているとの報告もありましたが、同友会からの意見として出された、全庁的に横串を通すような部署を設置すれば、さらに有意義な交付金の使い方が見えてくると考えられます。つきましては、「一括交付金」が、より沖縄県民の繁栄と発展につながる施策となるよう、次のことを要望・提言します。

①多岐に渡る分野で、特殊性に起因する課題の抽出と、事業の目出しを行うためのワークショップ

を定期的に開催すること。

②沖縄振興審議会で評価・検証を行う前に、検証シートの内容・事業の執行状況等の説明会を県民

向けに各地で行うこと。

③県民全体で、一括交付金の評価・検証が行える仕組みを構築すること。

④各市町村においても上記①~③を行うよう助言・指導すること。

⑤県の一括交付金事業について、県庁横断的な部署を設置し、コンダクター的な役割を担うこと。
 

 

 

5.観光産業の振興について

 

 2014年2月に行われた観光産業の振興について県担当部局との懇談会の内容を踏まえ、観光客受け入れのためのインフラ整備の中で、県が当面力を入れて取り組むと話のあった公共交通機関(バス・モノレール)の利用状況とMICEに関する意識調査のアンケート調査を実施しました。公共交通機関の利用状況については、「ほとんど利用していない」が74.7%と圧倒的に多い結果となりました。今後、自動車から公共交通機関に切り替えることができるかの質問については、「切り替えられる」が6.3%と低いものの、「一部は切り替えられる」43.4%と併せると49.7%という結果になり、課題としてあげられていることを改善していけば、車社会からの脱却も見えてくると考えられます。「切り替えられない」と回答した方の理由では、バスについては、「渋滞等で定時・定刻運送に課題を残している」、「どこをどう走るか分からない」、モノレールについては「生活圏をカバーしていない」などが多くあげられました。この他、「公共交通から二次交通への連携が進めば利用したい」、「那覇都市圏をLRTなどの低コストな交通機関と、バス・タクシーでカバーする。北部へはLRTを伸ばし、駅を中心としたまちづくりをする」など、利用に向けて、前向きな提案もあげられています。上記の多くは、2月に行われた懇談会で改善に向けて取り組みを行っているところという報告がありましたので、取り組みの成果を広く周知していくことが求められます。

 また、抜本的に渋滞緩和に向けて、県が観光客と県民(地域住民)の両方の視点でグランドデザインを描き、意見交換の場を持つなどして、具体的に取り組みを推進していかなければなりません。これからの高齢化社会が進む中、自身でレンタカーや車など運転しない(出来ない)層が間違いなく増えていきます。障害者もそうです。このような層の観光客が公共交通機関を利用して観光地巡りをする(例えば観光地だけを巡る周遊バス)は勿論、一般の観光客の利用も増えれば、レンタカーも減少し交通渋滞も緩和されていくものと考えます。
MICEに関しての意見・要望について聞いたところ、立地については「空港から近い」や「公共交通機関が使いやすい」、「大型の駐車場が確保できる」などがあげらています。大きさに関しても「シンガポールに負けない」、「アジアで1番の大きさ」などがあげられる一方、「ハードを大きくしすぎて、その後の維持費やコスト倒れにならないことが大切」といった意見も出されています。また、MICE施設整備に伴い、外国人対応ができる人材、コーディネーターの人材育成が必要といった声も多く見られました。つきましては、観光産業の振興に向けて次のことを要望・提言します。
(1)観光客受け入れのためのインフラ整備(交通機関の整備)について
①渋滞緩和に向け、県として、観光客と県民(地域住民)の両方の視点で描いたグランドデザインを公表し、ワークショップを実施すること。
②「わったーバス党」等の公共交通機関利用の啓蒙活動を強化・拡大し、交通渋滞の緩和を促進
すること。また、これまでの取り組みの成果(バス利用者がどの程度増えたのか等)を公表す
ること。
 
(2)MICEについて
 ①より多くの県民の声を取り入れ、県経済発展に寄与できるMICE施設を整備すること。
 ②施設整備と併せて外国人対応やコーディネーターの人材育成などの受入体制を整えること。
(3)全天候型の超大型施設の整備について
現在沖縄県でも多くのライブイベントやスポーツイベント、祭りなどが企画されていますが、
数万人規模を収容する全天候(ドーム)型の施設がなく、天気(特に台風の影響)などで中止とな
るケースが多く見られ、中止になった場合の損失は、はかりしれません。それらを解消するために
も、早急に全天候型の超大型施設の整備が求められます。
①ドイツやシンガポール等の施設を参考にしながら、2万人以上を収容できる全天候(ドーム)
型のスポーツ施設を整備すること。
②既存施設を、各種イベントに対応可能に改修・整備(人口芝や全天候型ドーム設置等)を施す。
併せてその施設を核とした周辺施設(サブ会場や駐車場等)の付帯整備も行う。なお、利用緩
和に向けた規約・規制を検討し、各種イベントに対応可能な内容に改定する。
 

 


6.建設産業の振興について

 
建設業界においては、新政権への交代や東日本大震災、東京オリンピック開催による影響で、急激な仕事の増加による技術者、職人不足による人件費増加、資材価格高騰など、業界を取り巻く環境は厳しい状況となっています。今回、若年労働者の確保と育成のために必要なことは何かについて、アンケート調査を行った結果、「企業への技術者育成期間の助成制度を充実させる」38.0%、「中学校、高校へ建設業の魅力普及活動(職場見学、業務大変等)を行う」30.3%、「県として、専門学校や職業訓練校への進学を促進するための制度を創設する(奨学制度等)」28.9%という結果となりました。
つきましては、建設産業が、地域の基幹産業として社会資本の基盤整備等、経済を先導する中核を担い、地域の活性化をもたらしている重要な立場にある事も考慮し、緊急に人材の確保、業界の労働条件の改善を図る必要があると考え、次のことを要望・提言をします。
 
(1)建設産業の職人不足の解消について
現在県内の建設業界は構造的、慢性的な職人不足により、工事量の急激な増加に建設業界が対応
できず、建設産業の衰退や公共工事における予算の未消化物件の増加が懸念されています。つきまし
ては、現在の職人不足を解消すべく次のことを要望します。
①適正な労務単価、資材単価に極力近づける為に、年2回の県の営繕単価、実施単価の改訂時に
業界団体との意見交換会を持ち反映させること。
②県内の建設産業における各業種の企業数、従業員数、また、県外流出労働者数の実態調査を行
い公表すること。
③県条例にて、外国人労働者の受け入れ緩和規定を創設すること。
 
(2)ものづくり産業(建設産業)を支える技術者・技能者・労働者の確保・育成について
県内の特に建設現場では、技術者・技能者は必要不可欠な存在ですが、現在、若年労働者の建設産
業への新規就職者は減少し、将来の建設産業を支える人材の不足が懸念され、人材の育成・確保が強
く求められています。つきましては、将来の人材不足解消を目指し次のことを要望します。
 
①県立工業高校建築系学生のインターンシップの時間を増やすと共に、授業の一環で公共施設の現
場見学会を実施すること。
②人材育成支援事業を立ち上げ、コンサルや各建築団体に委託する助成制度を創設すること。
③ものづくりを次世代へ継承していく為、中学校から一貫した専門教育が行える学校を設立するこ
と。
 
(3)工事費予算、工期延長に伴う対応について
予算化された工事の予算書の作成、それに伴う予定価格の設定時期は、予算書の作成から設計業
務終了後、半年、1年以上経過する場合があり、発注時期の実勢にそぐわない価格になる恐れがあ
ります。また、当初契約時から工期が延びることで、企業における人件費の増加は経営を圧迫し、
品質低下が懸念されます。つきましては適正な契約事項を実行する為に次のことを要望します。
①設計書作成時の積算金額に応じた予算の上積みを適度に図ること。
②予算書作成時に過去実績の床面積単価のみだけではなく、付随工事、離島価格等の割増し分も考
慮すること。
③工期延長に伴い、その日数に応じた人件費、諸経費等の精算を行うこと。
④建物用途、規模等に応じた適正な標準工期算定書を策定すること。
 
(4)都市計画用途地域の見直しについて
都市計画用途地域の見直しは、都市計画審議会等により審議され決定されていますが、市町村を取り巻く経済情勢や社会状況等の変化に対応しつつ、将来にわたり持続可能な発展を目指すために、より実態にあったものが求められており、見直しが必要だと思慮しますので、次のことを要望します。
①実態調査を行うこと。
②関連する各専門業界団体との意見交換会を持ち、見直し案作成に反映させること。
 


 

 

7.情報産業の振興について

 

(1)「IT津梁まつり2015」実施における県及び教育サイドからの支援について
   当県の経済を支えるIT産業の育成は、県政の大きな課題です。そのIT産業の中核であるソフトウェア産業を発展させるためには、人材確保が重要です。

しかし、若者の間ではIT関連の職場は3Kと呼ばれ敬遠される風潮にあることは否めません。また県内の企業だけではなく、本土から進出する企業からも、沖縄でIT関連の人材が確保しづらいという話も出始めています。沖縄のIT関連の人材育成に関しては危機的な状況にあるといっても過言ではありません。IT産業の魅力を伝え、沖縄のIT産業を発展させるためにオール沖縄で取り組む必要があります。

中小企業家同友会ではこの問題に取り組むために、県内の工業高校や専門学校、大学とIT企業が一緒になって2007年以来5回にわたって「ITまつり」を開催し、お互いの意思疎通を図り、沖縄のIT産業を発展させていくための啓蒙の場と研鑽の場を設けてきました。2013年からは沖縄県の予算もいただいて「IT津梁まつり」として発展させてきました。

これは、今までの産学連携という概念の枠を超えて、高校生と企業が互いに直接協力して行うという全国でもユニークな取り組みです。IT人材育成は指導者育成であるという観点からも高校の先生と現場の企業の連携は大きな効果があるものと考えています。

現状の課題として、専門学校や工業高校、大学だけではなく圧倒的に多い普通高校の参加を促す必要性があります。普通高校の「情報」教科の先生方とも連携をとり、企業と高校生の情報を交換し、互いに研鑽を行う場を提供したいと考えています。中小企業家同友会は、この沖縄から誕生した教師と高校生と企業が取り組むユニークなイベントを発展させ全国に発信し、沖縄のIT産業の興隆を目指し、以下のことを要望・提言します。

①教育委員会や義務教育課からも、各学校(高校、中学校、小学校)へIT津梁まつりへの参加を呼

び掛けること。参加は授業の一環として位置づけること。

②情報関連及び進路指導の先生方(高校、中学校、小学校)が民間と一緒に行うワークショップや勉

強会に参加できるよう、環境作りをしてほしい。教員のための民間IT企業でのインターンシップ

を行えるようにすること。IT人材育成のための、行政、教育関係、企業等を交えた推進委員会を設置すること。
 
(2)ITの利活用の促進とIT産業育成・支援について
    中小企業においても戦略的IT経営が求められており、県が重点的に支援すべき取り組みについて
アンケート調査を行った結果、第1位に「ホームページ等を利用した販売促進、企業PR」56.9%、
第2位に「業務効率化を図るためのソフトハードの導入」43.8%、第3位に「危機管理対策(セ
キュリティ対策、データバックアップ等)」28.1%という結果となり、情報産業発展のために、行
政や支援機関に求められることについての調査では、第1位に「IT技術、実務、沖縄の現状に精通
した人材の登用」49.7%、第2位に「IT人材の育成」33.8%、第3位に「IT化支援の補
助制度の広報活動強化」27.8%という結果が出ました。また、情報産業についての要望・意見で
特徴的なものとしては、1.「海外ITエンジニアとの共同プロジェクトを行政が誘導して行ない、海
外IT人材との連携を高め、グローバルな沖縄の基幹産業へと育て上げる必要がある」、2.「給与水準
アップ、労働時間短縮、フレックスタイムの導入。人材育成のモデルを作り、県内企業に波及させる。
世界に事業展開出来るよう県が支援する」、3.「外国人の雇用比率が低いと感じている。外国の優秀な
人材やシリコンバレーのような機関と技術交流・人的交流などして、ダイナミックは発想の転換をし
てもっと大胆な事業展開をする企業が育つようにしてほしい」などです。
つきましては、上記を踏まえ、県が「沖縄21世紀ビジョン」で掲げる「県内立地企業の高度化・
活性化」をはかるためにも、以下のことを要望・提言します。
①IT化の遅れている県内企業の生産性、競争力を高め、県内のIT需要を掘り起こすため、県内
中小企業のIT導入に対する支援制度を拡充すること。
②少数企業への高額助成金ではなく、小額の開発助成金を多くの企業に機会を与えるなど、地元I
T企業の研究開発および新商品開発にかかる助成制度を充実させること。
③次年度もIT津梁まつり開催のための予算の継続及び増額を行うこと。
④技術習得に時間を要するIT企業が、積極的に新卒を採用できるよう育成費用に対する助成制度を
創設すること。
⑤海外企業との共同プロジェクトなど県内IT企業が海外展開を図るための施策の充実を図ること。
 
 

 


 

 

8.環境問題について

 

 

 環境問題は地球温暖化問題などで近年関心が高まっていますが、今を生きる我々、子や孫、何代も先の子孫が健康で幸せに暮らせるように、持続可能な社会の構築に取り組み続けなければなりません。そのため、環境問題は非常に重要なテーマです。沖縄県においては2012年5月に発表した「沖縄21世紀ビジョン基本計画(沖縄振興計画)」において、環境に関する基本施策として「自然環境の保全・再生・適正利用」「持続可能な循環型社会の構築」「低炭素島しょ社会の実現」を掲げています。素晴らしい内容であり、実現のために着実に施策が実施されることが望まれます。しかしながら、地球温暖化問題の数値は、2013年10月に公表された「沖縄県地球温暖化対策実行計画進捗管理報告書(改定版)」によると、2010年度における県内の温室効果ガスの総排出量は、1,399.5万トンで、基準年度(2000年度)の総排出量1,254.8万トンと比べ、144.7万トン(11.5%)増加し、2020年度の目標である1,251万トンを実現するためには148.5万トン(11.9%)の削減が必要とされています。そのような中、私たち沖縄県中小企業家同友会は、持続可能な環境保全型社会と循環型社会の構築をめざし、①環境保全型企業づくり、②環境ビジネスと市場創造、③環境保全型・循環型地域づくりを基本に環境問題に取り組んでいます。ついては、次のことを要望・提言いたします。

 

(1)「第2次沖縄県環境基本計画」について

 ①当会会員向けアンケート(2014年4月)で同計画の認知度を調べたところ、回答者のうち同計画を知っていると回答したのは17.4%でした。同計画では事業者の参加・連携・協力が求められていますが、同計画を知らなければ参加のしようがありません。ついては、県と当会が協力して認知度を高められる方策を考えていくことを提案します。
②同計画では事業者の環境保全活動への取り組みを求めているので会員の取組状況を調べたところ、上位6位は次のようになりました。①廃棄物の減量化(45.5%) ②従業員への環境教育(29.2%) ③エコドライブ(24.7%) ④再生エネルギーの活用(16.9%) ⑤環境マネージメントシステムの導入(15.6%) ⑥従業員の環境保全活動の支援・促進(14.3%)。同計画において県民の参加も求めているので、県民の一部でもある従業員への環境教育、環境保全活動の支援・促進について支援(助成金、講師派遣など)を要望します。 
 
 
(2)地球温暖化防止対策、クリーンエネルギー推進、低炭素都市づくりの推進について

①2008年に始まった住宅用太陽光発電導入支援対策費補助金、2009年11月から始まった「太陽光発電の余剰電力買取制度」、2012年7月から始まった「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」などの相乗効果により、近年太陽光発電は急速に導入が進んでいますが、一次エネルギー供給量に対する再生可能エネルギーの比率は0.5%(2012年度推計値。沖縄県エネルギービジョン・アクションプラン【報告書】)にしか過ぎません。再生可能エネルギーによるエネルギー供給拡大を進めるために、太陽光発電システム・太陽熱利用設備などへの助成金の拡充、沖縄の気候にあった洋上・陸上風力発電の研究開発、波力・潮力などの海洋エネルギーの研究開発の実施を要望します。

②公共交通システムが脆弱な沖縄では、移動手段として車に頼らざるをえません。そのため、那覇都市圏における渋滞が問題になっています。また、自動車の二酸化炭素排出量は県全体の12.7%にもなり、自動車に代わる環境負荷の低い公共交通システムの導入が必要です。県においては「鉄軌道を含む新たな公共交通システムの導入」を検討されていますが、渋滞緩和が期待できるLRTなどの低コストなシステムを採用し、中南部を広くカバーしつつ北部までつなぐ公共交通システムを実現するよう要望します。

 

(3)資源リサイクル施策の具体化について
 ①「日本の廃棄物処理」(2010年度版)によると、一般廃棄物のリサイクル率は全国平均20.8%に対して沖縄県のリサイクル率は12.7%と全国に比べ資源リサイクルへの取り組みが著しく遅れています。沖縄県廃棄物処理計画(第3期)(2011~2015年度)では、2008年度実績(12.3%)を踏まえた2015年度目標値を22%としていますが、具体的施策が乏しい状況です。打開策としてそのほとんど焼却されている「その他プラスチック製容器包装」について、一括交付金などを活用した市町村での分別・収集の推進策の実施を要望します。
 


(4)エコドライブの推進とエコアクション21(EA21)の普及強化について

①県は2011年度に公共団体、事業者などを対象にした「エコドライブ教習会」を実施しました。受講者は2,000人を超え、教習会前後における燃費比較は、平均値で18%削減が報告されています。今年度は環境省補助により実施されていますが、教習会受講者はまだ県民のほんの一部です。効果的なCO2削減事業、しかも交通事故防止にも繋がる事業ですので、関係部署が連携し、養成したエコドライブインストラクターが活躍、就労継続できるよう、次年度以降も支援策を図ることを要望します。
②県内のEA21の認知度はまだまだ低い状況にあります。県主催によるEA21普及セミナーは、数年実施されていますが、次年度以降も継続的なセミナー開催により中小事業者への一層の普及啓発と、県内市町村へのEA21取得に向けた指導を図ることも要望します。
 
 

9.女性の地位向上・社会参画について

 
 
 県は、将来予測される人口減少に伴う労働力不足や働き方の多様性(人々の生き方の多様性)の課題に対し、様々な施策を打ち出しています。このような課題解決には、女性労働力の活用促進と、母親が育児と仕事を両立できる仕組みづくりが不可欠といえます。
今回のアンケートで、社員の産休や育児休業中に欲しい助成への設問で最も多かったのは、「二人目以降の休業社員の代理もしくは補助要員の人件費等の補助」で57.5%、「保育費の補助」50.3%、「休業する社員のスキルアップ訓練や能力開発または資格取得にかかる経費の補助」42.5%、という順でした。昨年のアンケート調査では、これまで産休や育休に関する助成金を利用したことがあるかの設問に対し、「利用したことがない」の回答が71.3%と多数を占め、多くの支援施策があるにかかわらず、末端の企業へ十分行き届いていない状況が明らかになりました。今後は官民一体となり、より多くの企業が求める支援施策づくりを行うと共に、その制度をいかにして広報・周知していけばよいかを検討していく必要があります。
自由意見からは、「企業のトップ(男性)が女性の継続雇用の重要性を認識してほしい」、「女性職員のキャリア継続への啓蒙」、「子育てへの会社ぐるみの積極支援」等、助成制度だけでは、「子どもを産みやすい社会づくり」には結びつかないという懸念も寄せられています。「育児は女性の役割」という意識の改革、女性労働や育児政策に向け、行政と中小企業が綿密に連携したワークライフバランス促進と強化が求められています。
県より提供された「平成25年度本県管理職に占める男女の割合について」の資料によると、沖縄県内事業所における管理職の男女比で男性78.4%に対し、女性が21.6%と前年度より増加傾向にありますが、まだまだ歴然とした差があります。女性管理職が少ない理由は多い順に、「必要な知識や経験、決断力等を有する女性がいない」「在籍年数が少ない」「女性が希望しない」であることが分かりました。同友会アンケートからも女性の離職によるキャリアの中断を注視する声が多く上がりました。「育児休暇中に自宅でも仕事ができるような環境整備への支援(パソコン・ネット環境整備)」、「休暇中にも在宅でスキルアップできるプログラムの開発と実施支援」等、中小企業における女性の継続雇用に向け、復職につながる新たな施策のニーズも高まっています。
こうした状況を克服するには、家庭、企業、地域社会による支援が柔軟かつ有機的に連携できる仕
組みが必要です。そのために、行政、同友会、他の関連・経済団体で、社会で整備しなければなり
ません。つきましては、これらを踏まえ、次のことを要望・提言いたします。
 
 
(1)以下の課題を抜本的かつ真剣に話し合えるワークショップ(もしくは円卓会議形式)を立ち上
げること。
  <主な課題>
①中小企業で働く女性に行きわたる必要な制度への意見交換と、施策の立て方への検証。
②外部専門家のノウハウを利用し、企業負担が軽減できる企業内保育のあり方と県の援助(横浜
市の事例等参考)。
③育児と仕事を両立できる仕組みづくりへ向けた沖縄県の方針もしくはガイドラインのあり方を検討し、全体を市町村任せにしない取り組みについて。
④「子育てを社会全体で支えるためにも、子育て助成制度の活用状況や子育て世代の就労成果の
振り返りと改善方法の検討。
⑤国民の生活を豊かにするワークライフバランスの推進について。
 
(2)認可保育園と認可外保育園の格差是正等、待機児童の解消を
子供が健全に育つとともに、安心して働くことができる環境を確保するためにも、待機児童の解消は、緊急を要する課題になっています。認可保育園の増設や認可保育園と認可外保育園の格差是正、民間企業の参入等、抜本的な改善に向け、財政措置を含めて思い切った施策を要望します。

 

10.福祉について

 
(1)障がい者雇用の促進を
 障がい者と健常者が垣根なく共生できる社会の実現こそ真に豊かな社会といえます。この間、県担当部局との懇談会において、1年間の県内の障がい者企業規模別就職件数の結果が公表(沖縄労働局)され、企業規模別就職件数では、全体の50%以上が法定未満の中小企業に就職している現状が明らかになりました。今回実施したアンケートでも、法定未満の企業で積極的に障がい者雇用に取り組み、また今後雇用を検討している企業も多くあることがわかります。多くの中小企業が障がい者を雇用しやすい環境づくりが求められており、次のことを要望・提言します。
①障害者雇用納付金制度の要件を緩和するなど、法定未満の企業で障がい者を雇用する場合の奨励
金制度を拡充するよう、国にはたらきかけること。
②京都府で取り組まれている障害者施設、行政、学校、医療機関、企業のネットワーク(通称:は
ちどり)を参考に、障がい者雇用に関わるネットワークを構築し、機能させること。
③障がい者雇用後のサポート体制(ジョブサポート等)の実施状況を公表し、拡充すること。
④「沖縄県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例」の認知度を高めるため、積
極的な広報・周知活動を行うこと。
  ⑤沖縄同友会が推進している障がい者問題を考える「雇用・就労フォーラム」への県の積極的な参
画を通し、中小企業の障がい者雇用についての認識を高め、中小企業がより一層障がい者雇用を
進められる環境をつくること。
 
 
(2)介護職員の労働環境と働く介護者への行政支援の充実を
 今後、高齢化が進む社会にあって、益々必要となる介護職においては人材確保や定着が非常に困
難な状況となっています。また、働きながら高齢者を介護する介護者を支える仕組みづくりが、求められており、次の事を要望・提言します。  
①働きながら在宅介護をしている介護者への企業の取り組みに対して行政支援の制度を増設す
ること。
②民間・行政と一体で介護職員の労働環境についての問題解決の手がかりを探す為のネットワー
クをつくり、労働環境と処遇改善に向けて取り組む体制を構築すること。
 
 



                                          以上。

 

 

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