2013年度 沖縄県の産業振興・中小企業政策に対する中小企業家の要望と提言

 

■ はじめに
1.金融・円安問題について
2.県の中小企業支援施策等、諸施策について
3.沖縄21世紀ビジョン、中小企業憲章・条例について
4.一括交付金について
5.観光産業の振興について
6.建設産業の振興について
7.情報産業の振興について
8.環境問題について
9.女性の地位向上・社会参画について

10.教育・福祉について

 

■ はじめに

私たち沖縄県中小企業家同友会は、会員企業を対象に8月13日から8月23日の期間、1「金融・円安問題」、2「県の中小企業支援計画や県単融資等の諸施策」、3「沖縄21世紀ビジョン」、4「中小企業憲章」・「中小企業振興基本条例」5「一括交付金」、6「産業振興-観光・建設・情報・環境」、7「女性の地位向上」、8「教育・福祉」の8項目について、アンケート調査を実施しました。
私たちは、このアンケート結果をふまえ、さらに各々の部会(観光・建設・情報・環境・女性)、専門委員会等で検討を重ねてきました。
つきましては、以下の通り「沖縄県の産業振興・中小企業政策に対する中小企業家の要望と提言」を行います。
 

(2013年12月3日)

 

 

 

1.金融問題について

 

(1)中小企業に対する金融機関の融資について
 中小企業に対する金融機関の融資姿勢について、昨年と比較すると「これまでと変わらず親切に対応してくれる」が64.4%に対し、今年度は「これまでと変わらない」が72.2%と7.8ポイント上昇、さらに今年度新たに追加した「これまで以上に親切に対応してくれる」という回答も13.6%となり、「これまでと変わらない」と「これまで以上に親切に対応してくれる」を合計すると85.8%となります。「貸し渋り」についても5.9%から2.3%と減少しています。金融機関の姿勢が厳しくなった一昨年と比べ、昨年、今年と中小企業への対応が改善されています。

一方、金融機関に対する主な意見では
・「担保の取りすぎ」
・「公庫並みに金利を下げるべき」「銀行は保証協会のOKが出ないといい、信用保証協会は対象
企業の地域性等全く考慮しない。メインバンクの役割をしない地域銀行ってなに?」
・「単なる金貸し業でなく経営者、企業育成のための金融機関であってほしい」「事業創造支援に向けた事業主と一体となった専門家集団としての体制作り」「融資実行までのスピード化」」「融資手続きの簡素化」
・「数字だけで将来性等に対して融資が少ない」「担当者のレベルの差がある。研修や新たな採用、専門家等との提携によりレベルを上げて欲しい」
などです。
県信用保証協会に対する主な意見では、
・「保証料を考えると実際の金利は高いのでは。保証協会を通さず金融機関から直接借入できないか?」「保証料高すぎ。無事返済の時はある程度返済されるべき」
・「一定期間で何度も同じ書類を提出するのは大変。工夫してほしい」
・「保証取り付けは廃止すべき。但し、そのことにより金融機関からの融資が困難にならないことが前提。保証取り付けが生じた場合でも、返済が出来た場合は何らかの恩典(支援金)があってもよいのでは」
・「信用保証協会はマンパワー不足。金融機関の目利き能力がないために信用保証協会に丸投げしていることが原因ではないか。結果的にあと一歩でビジネスが成就する企業に資金を提供できず、産業振興の足を引っ張っている」などです。
こうした中小企業、利用者の声をふまえて、次のことを要望します。
① 中小企業支援のために円滑化法の趣旨をフォローするよう金融機関に要請すること。
② 金利に対する不満が多く、ゼロ金利時代に即した金利にするよう金融機関に要請すること。
③ 金融機関と信用保証協会、双方での審査が厳しく時間がかかる等の声が寄せられており、これらをふまえ、審査期間を明確化するとともに、 金融機関と信用保証協会の二重審査を是正すること。
 

(2)円安に対する原料費補助及び負担軽減について

・県が7月に実施した円安の進行に伴う原油・原材料の価格高騰に関する影響調査を踏まえ、原油高騰の際に県が独自に創設した県単融資(保証料を県が負担)のような制度を設けること。また国のセーフティネット保証の要件を緩和した内容で融資対象を追加したことを、県内中小企業に向けて積極的に周知すること。

 

 

2.県の中小企業支援策等、諸施策について

 

 (1)県の中小企業支援計画等について
 県はすでに2013年度の「中小企業支援計画」を決定し、ホームページ等で告知しておりますが、多くの中小企業が支援計画や県単融資制度について知らない状況は、改善されていません。同友会会員へのアンケートの結果では、県単融資の実際の利用率は回答者全体の6.3%にとどまっています。県の中小企業支援計画や県単融資について、「PRの方法をもっと工夫する」ことを要望しており、さらに「支援計画や融資制度を策定する段階で、中小企業の声を聞く」も、例年通り多くの声が上がっています。主な意見では「良い制度なので色々な情報を得ながらうまく活用したい」「周知の取り組みが弱い。中小企業の『困った』を拾う仕組みがない。県と市町村が一体となって、中小企業者を訪問し、『お困りごとなないですか』と聞く仕組み、制度を作ったらどうか」、「小規模・零細企業が利用しやすい施策にしてほしい」「金融機関や、経営革新支援機関との連携を図るべき」「業種により設備資金よりも人材育成のための運転資金が必要なのだが…」「来る人を待つのではなくもっと地域に出向いて事業、施策を広げて欲しい」「広報不足」「周知が弱い」などです。

こうしたアンケート結果をふまえ、次年度以降の策定にあたり次のことを要望・提言します。
① 次年度の「中小企業支援計画」を策定する段階で、中小企業の声を聞き、計画に反映させる仕組みを構築すること。
②「中小企業支援計画」の内容について、広報の方法を研究し、周知徹底の強化をはかること。
 
 
(2)県単融資について
  沖縄21世紀ビジョンや一括交付金の活用により、東日本大震災や日中関係の影響から脱しつつある景気の中で、県単融資制度の利用率は2011年度の18.6%から2012年度は26.2%と2010年度の25.1%並みに回復しました。また、中小企業振興会議等での同友会の提案を受け、具体的に制度改善が進められてきています。しかし、同友会では昨年度と同様に、県単融資等の諸施策の利用状況を調査した結果、著しく低い利用率であることがわかりました。さらに実効性のある制度となるようアンケート調査の意見をふまえ、次のことを要望・提言します。
① 県単融資事業等において、中小企業者の負担を軽減するため、沖縄県信用保証協会の保証料を  低減すること。
② 金融円滑化法の期限切れの影響を考慮して、金融機関等の経営改善支援をさらに強化すること。
③ 景気回復の機会をとらえ、中小企業者がさらなる成長・発展できるよう、業種を細かく指定せず、適用枠を広げること。
④ 「手続の簡素化」を図ること。
⑤ 県単融資の利用促進を図るため、これまでの研究会に代わって、借り手側の意見が反映できるよう、県・信用保証協会・金融機関及び経済  団体等で「県単融資利用促進協議会(仮称)」を設立すること。
⑥ 県単融資の内容、手続等の広報・周知をはかるとともに、借り手がより利用しやすいように
 相談もできる、ワンストップセンターの窓口を県に設けること。
⑦ 若年者の失業率改善のため、新卒者を採用した県内の中小企業に対して、さらなる優遇金利等の県単融資制度を創設すること。
 

 

 

 

 

 

3.沖縄21世紀ビジョン、中小企業憲章・条例について

 

(1)「沖縄21世紀ビジョン」について

1972年の復帰後、41年続いてきた3次にわたる「沖縄振興開発計画」と2012年3月末で切れた「沖縄振興計画」についての評価は、昨年の調査で3割が「評価していない」という大変厳しい結果が出ています。そのことは、今回示された「沖縄21世紀ビジョン基本計画」に対して、実現性のある計画でなければ、絵に描いた餅になってしまうことを示唆しています。大切なことは行政レベルの判断だけではなく、民間レベルで現場の生の声を聞き、毎年検証することが何よりも重要だと考えています。行政においては、各部局が横断的に21世紀ビジョン達成のプロジェクトチームを創り、マイルストーンを掲げ、各経済団体・組合・通り会・金融・NPO等と共に「進捗状況と実効性の検証」を進めていく、新しい産学官民が一体となって沖縄の未来づくりを進める組織の構築を提案いたします。
「沖縄21世紀ビジョン基本計画」の内容について、アンケートの結果は、自社の経営に「活かしている」が15%、「活かしていない」が45%、「読んでいないので分からない」が40%となっています。主な意見では、「県民は何をして良いか分からない。特に若い世代の人達への目の留まり方、告知の仕方を工夫してほしい」、「中小企業も具体的に取り組めるイメージが必要ではないか。企業・経営者向けの説明会を実施してほしい」、「実施計画、進捗管理、節目での評価、最終的な評価・総括をしっかりと行なってほしい」など、告知の仕方に対すること、基本計画・実施計画の進捗管理と評価についての意見が多く寄せられています。
つきましては、「沖縄21世紀ビジョン」の内容を県民に理解できるよう、各種団体の意見も取り入れ、引き続き広報を工夫され、強化されますよう要望します。また、「沖縄21世紀ビジョン基本計画」についても引き続きPDCAを確実に回しながら、年次、中期の結果と評価を県民に広く広報するよう次のことを要望します。
・沖縄21世紀ビジョン基本計画の進捗状況と実効性の評価・検証の結果は、ホームページ等で表示し、一括して各部局の進み具合を解りやすく見える仕組みにすること。且つ、各政策の実効性の評価・検証については、各種団体(経済団体・農協・漁協・NPO・教育関係者)等から幅広くアンケートを取るなど庁内だけの評価・検証にとどまらないよう工夫すること。
 


(2)「沖縄県中小企業の振興に関する条例」・「中小企業憲章」について
 2008年3月に「沖縄県中小企業の振興に関する条例」が制定・施行されてから6年目になります。条例の第7条に基づき「中小企業振興会議」が発足し、「地域部会」も設置され、この間「中小企業者その他の関係者の意見の反映」取り組みが積極的に行われ、具体的な成果も生まれるなど、条例の実効性がすすみつつあります。今後は、これまでの成果や、行政、中小企業、県民など、それぞれの立場での検証を改めて行い、具体的に分かりやすく発信し、本条例に対する認知度を高めると共に、より実効性のある条例にしていくことが求められます。今回、中小企業振興基本条例ができることによって自社にどのようなメリットがあるか調査したところ、第1位に「中小企業の声が具体的に施策に反映される」(43.9%)、第2位に「行政マンの目線が中小企業者の視点に」(19.5%)、第3位に「地域の実体や課題を把握できる」(14.6%)、第4位に「地域の発展に具体的に寄与できる」(14.0%)、第5位に「自社の経営に活かせる」(6.7%)という結果になっています。

また、2010年6月に閣議決定された「中小企業憲章」についても、示された8つの行動指針のうち、特に力を入れてほしい取り組みを調査したところ、第1位に「経営支援の充実」(53.2%)、第2位に「人材育成」(52.2%)、第3位に「政策評価に中小企業声を生かす」(25.8%)という結果で、2つの調査から、多くの中小企業者が「行政と一体となり、自社や地域を発展させること」に関心を寄せている状況が明らかになっています。
 つきましては、上記を踏まえ「沖縄県中小企業の振興に関する条例」、「中小企業憲章」について、次のことを要望・提言します。
<沖縄県中小企業の振興に関する条例について>
①本条例の認知度を高めるため、改めて、これまでの取り組みや成果の検証を行い、各種広報媒体を活用し、具体的に分かりやすく中小企業  者及び県民に広報・周知を行うこと。
②年度終了後、中小企業振興会議構成団体をはじめ、中小企業者を対象にした成果報告会を実施すること。開催にあたっては、中小企業振興  会議議長(知事)が出席し、他府県の事例報告会を併せて実施するなど、有意義な内容にすること。
③本条例の実効性をはかる上で、その要の一つである「地域部会」を十分に機能させるためには、事務局を1年交代するのでなく、安定的な運   営ができるよう改善すること。また、各地域部会に対して、本条例及び「地域部会」の意義・目的・役割等についての事前学習会を実施するこ  と。
<中小企業憲章について>
政府が2010年6月に閣議決定した「中小企業憲章」を国民全体の認識とし、その内容を実現するために、次のことを要望・提言いたします。
①県担当部局が「中小企業憲章」を県内中小企業及び県民に普及・啓蒙するとともに、「沖縄県中小企業の振興に関する条例」に基づく施策に活かすこと。
②以下の3点を政府・関係機関に働きかけること。
 ・中小企業憲章を閣議決定にとどめず、国民の総意とするため、国会決議をめざすこと。
 ・首相直属の「中小企業支援会議(仮称)」を設置し、省庁横断的機能を発揮して、中小企業を軸とした経済政策の戦略立案を進めること。
 ・中小企業担当大臣を設置すること。
 

 

 

 

4.一括交付金について

 

 「一括交付金」1575億円の経済的効果について聞いたところ、「実感あり」と「多少実感あり」を合わせると、45.8%で、「実感なし」と「その他」をあわせると54.2%になっています。また、「沖縄型自立経済の構築に寄与していると思いますか」との問に対し、「寄与している」が26.7%で、「寄与していない」が18.9%、「どちらともいえない」が51.7%、「その他」2.8%となっています。
一括交付金の評価や検証についての意見をみますと、「県民、地域の代表や中小企業の経営者、利害関係のない県外の人に評価を行って頂ければ」等の意見があります。また、「単年度の評価だけではなく、3年~5年のスパンでの評価が必要」「雇用や賃金のアップ、企業業績の向上の実態をみて」など、中小企業の振興と、一括交付金の執行が益々リンクされていくことが望まれています。
中小企業の振興のため、一括交付金の評価や検証に対し、アンケートを常に行うことによって、PDCAをしっかりと回すことが大切です。予算の執行状況ではなく、補助をしても、「うまく売れなかった」等の事業を検証し、どのようにすれば、「売れていくのか」を官民一体となって話し合い、未来につなげていくことが最も大切な事です。
つきましては、一括交付金がより効果的に使われ、沖縄県民の繁栄と発展につながる施策となるよう、次のことを要望・提言します。
・県民全体で、一括交付金の評価・検証が行える仕組みを構築すること。
 

 

 

5.観光産業の振興について

 

 沖縄県の入域観光客数の増加に向けて、特に力を入れるべき取り組みについてアンケート調査を

行ったところ、第1位に「文化・芸能・スポーツ等での観光体験を含めた、従来の枠組みにとらわ

れない新しい企画・行事の検討」(63.4%)、第2位に「接客技術の向上」(35.0%)、第3位

に「インフラ整備」(31.2%)、第4位「新しい超大型イベント施設の建設」(20.4%)という

結果が出ました。新しい企画・行事については、温暖な気候を活かし、マラソン、プロ野球、空手、

サッカー、トライアスロンなど、スポーツイベントに関するアイデアが多数寄せられています。また、

沖縄県で開催されたイベントでの課題についての調査では、「交通渋滞」、「駐車場の不足」、「全天候型の大型施設がない」などの課題が多く出されています。中長期視点での外国人観光客受け入れのために必要なことについての調査では、第1位に「外国語ガイドなどの有資格者の就業斡旋」(33.0%)、第2位に「専門学科での人材育成」、第3位に「観光関連の従業員に対するセミナー、研修の開催」と人材の活用や育成に関する回答が多数を占めています。つきましては、上記を踏まえ以下のことについて、要望・提言いたします。

(1)沖縄観光の課題解決に向けての観光関連産業のネットワークの強化について

   ・研究会や連絡会などを設置し、観光産業に関わる課題や展望などについての研究や情報共有を積極的に行うこと。

 

(2)入域観光客増加、平準化に向けてスポーツを軸にした新たな観光商品の検討について

   ・例えば、年紹介されたプロモーションの内3世代家族をターゲットにした「春の親子孫旅」をベースに、閑散期の目玉イベントであるNAHAマラソンにウォーキングコースやショートコースも加え親子3世代で参加できるようにする。

 

(3)全天候型の超大型施設の整備について

  現在沖縄県でも多くのライブイベントやスポーツイベント、祭りなどが企画されていますが、数万人規模を収容する全天候(ドーム)型の施設がなく、天気(特に台風の影響)などで中止となるケースが多く見られ、中止になった場合の損失は、はかりしれません。それらを解消するためにも、早急に全天候型の超大型施設の整備が求められます。

   ① 現在公募がスタートしている大型MICE施設整備と街づくりへ向けた基本構想策定事業を早急に進めること。構想を進める際には、県内中小企業や県民などからも意見を聞くこと。

   ② 2万人以上を収容できる全天候(ドーム)型のスポーツ施設を整備すること。

 

(4)観光客受け入れのためのインフラ整備について

  ① LRTの導入など、交通渋滞の緩和に向けた取り組みを早急に検討すること。

  ② 県内の要所に大型の公共駐車場を整備すること。

 

(5)中長期視点での外国人観光客受け入れのための人材育成について

  ① 外国人観光客の受入れに携わる職業が、諸外国と同様に新卒学生の進路の選択肢の一つとなるような人材育成と就業機会の条件整備を行うこと。

  ② 有資格者である「沖縄地域限定通訳案内士」が優先的に就職できるようにすること。

  ③ 観光施設や飲食店での外国人の採用を奨励するなど、外国の食文化等を身近に学ぶ機会を増やすこと。

 


6.建設産業の振興について

 

(1)建設産業の繁忙について

    現在県内の建設業界は構造的な人手不足により、工事量の急激な増加に建設業界が対応できないことや、労務費・原材料費の上昇等による収益の悪化などが懸念されています。つきましては、次のことを要望します。
   ① 完成引渡し時期の集中化を避けていただくこと。(例※工期の3月末)
   ② 落札と実施着工時期の差を60日以内にすること。
   ③ 共同企業体構成委員の主任技術者資格者の就任について、建設業法で認められている資格者であれば、特に他の要件を求めないこと。
   ④ 賃金の変更について、契約書の変更内容を示す基準が不明確で請求が困難である実状を解消すること
 
(2)ものづくり産業(建設産業)を支える技術者・技能者・労働者の確保・育成について
    県内の特に建設現場では、技術者・技能者は必要不可欠な存在ですが、現在、若年労働者の建設産業への新規就職者は減少し、将来の建設産業を支える人材の不足が懸念され、人材の育成・確保が強く求められています。つきましては、下記のことを要望します。
   ① 建設産業の魅力・存在意義について、小学校から普及・啓発を行うこと。
   ② 技術・技能の喪失防止と、次世代への承継等に対応できるような、育成期間奨学制度及び育成する企業に対する助成制度を創設すること。
 
(3)受発注・元下請関係の適正化について
    受注型産業である建設産業においては、発注者の立場が受注者よりも比較的優位となりやすい状況(片務性)が認識されています。このような関係を是正し、両者がより良いパートナーシップを築けるために下記のことを要望します。
   ① 県が発注した工事に関して、竣工検査合格日から支払までの期間を明確にし、現在の「請求を受けた日から40日以内」となっている期間の短縮をはかること。
   ② 社会環境に応じた適正な労務費が確保できるような、適正価格での発注内容に改善すること。
   ③ 受発注間の関係の適正化について、検証できる場を設けること。
 


 

 

7.情報産業の振興について

 

(1)「IT津梁まつり2014」実施における県及び教育サイドからの支援について
   昨年度より、これまで当会が要望してきた「IT産業人材確保支援事業」を予算化していただき、今年度も引き続き予算化いただきました。お  かげをもちまして、昨年度のIT津  梁まつりは、会場をこれまでの沖縄産業支援センターから沖縄コンベンションセンターに移し、5,084名  という昨年度の倍以上の来場者があり、盛況のうちに開催することができました。今回実施したアンケート調査でも、情報産業の未来について「高校生へのIT教育の推進」、「若年層のITへの興味関心を普及すること。IT人材が枯渇しないよう、企業、行政、教育機関の連携した取り  組みが必要」などの意見が出されています。IT産業はモチベーション産業であり、知的好奇心や創造の喜びが、良い製品を生み出し、産業と  しての成功、そして沖縄県が推進している「沖縄21世紀ビジョン基本計画」にある「情報通信関連産業の高度化・多様化」の成功にもつながります。つきましては、次年度に向けて次のことを要望・提言します。
   ①次年度もIT津梁まつり開催のための予算の継続及び増額を行うこと。
   ②県(教育委員会)からも、各学校へIT津梁まつりへの参加を呼び掛けること。
   ③学校現場(専門高校だけではなく普通高校も含む)の情報関連及び進路指導の先生方が子供(生徒)たちにIT業界の情報(世界・日本・沖縄のIT産業の流れ)や県内のIT関連企業、最新のIT技術を指導できるよう、IT関連イベントへの参加や会合・勉強会への参加に対し、これまで以上に協力支援を行うこと。
 
(2)地元IT企業育成支援について
    中小企業においても戦略的IT経営が求められており、県が重点的に支援すべき取り組みについてアンケート調査を行った結果、第1位に「業務効率化を図るためのソフトハードの導入」、第2位に「IT化のための社員教育」、第3位に「ホームページ等を利用した販売促進、企業PR」という結果となり、情報産業発展のために、行政や支援機関に求められることについての調査では、第1位に「IT技術、実務、沖縄の現状に精通した人材の登用」、第2位に「IT人材の育成」、第3位に「本土マーケットへの販路開拓」という結果が出ました。また、情報産業についての要望・意見で特徴的なものとしては、「沖縄は人件費が安い事を売りにして企業誘致してはダメで、優秀な技術者と環境があるから沖縄に進出したいという県外企業マインドを変えていく必要がある」、「IT業界と沖縄の事情の双方に精通した人材がわずかしかいない」、「本土企業と積極的に交流すべき」などです。
    つきましては、上記を踏まえ、県が「沖縄21世紀ビジョン」で掲げる「県内立地企業の高度化・活性化」をはかるためにも、以下のことを要望・提言します。
    ①IT化の遅れている県内企業の生産性、競争力を高め、県内のIT需要を掘り起こすため、県内中小企業のIT導入に対する支援制度を拡充すること。 
    ②少数企業への高額助成金ではなく、小額の開発助成金を多くの企業に機会を与えるなど、地元IT企業の研究開発および新商品開発にかかる助成制度を充実させること。
    ③県にCIO(Chief Information Officer=最高情報責任者)の設置などを行い、情報産業振興行政の一元化を行うこと。また、人選については、公職の方ではなく、外部からITに精通していて、沖縄経済の発展に思いのあることを基準に選定すること。
    ④技術習得に時間を要するIT企業が、積極的に高卒生の採用に取り組めるよう、高卒生を採用したIT企業に対する助成制度を創設すること。
 

 


 

 

8.環境問題について

 

 

 環境問題は地球温暖化問題などで近年関心が高まっていますが、今を生きる我々、子や孫、何代も先の子孫が健康で幸せに暮らせるように、持続可能な社会の構築に取り組み続けなければなりません。そのため、環境問題は非常に重要なテーマです。沖縄県においては昨年5月に発表した「沖縄21世紀ビジョン基本計画(沖縄振興計画)」において、環境に関する基本施策として「自然環境の保全・再生・適正利用」「持続可能な循環型社会の構築」「低炭素島しょ社会の実現」を掲げています。素晴らしい内容であり、実現のために着実に施策が実施されることが望まれます。しかしながら、地球温暖化問題の数値は、今年10月に公表された「沖縄県地球温暖化対策実行計画進捗管理報告書(改定版)」によると、2010年度における県内の温室効果ガスの総排出量は、1,399.5万トンで、基準年度(2000年度)の総排出量1,254.8万トンと比べ、144.7万トン(11.5%)増加し、2020年度の目標である1,251万トンを実現するためには148.5万トン(11.9%)の削減が必要とされています。そのような中、私たち沖縄県中小企業家同友会は、持続可能な環境保全型社会と循環型社会の構築をめざし、①環境保全型企業づくり、②環境ビジネスと市場創造、③環境保全型・循環型地域づくりを基本に環境問題に取り組んでいます。ついては、次のことを要望・提言いたします。

(1)地球温暖化防止対策、クリーンエネルギー推進、低炭素都市づくりの推進について
  ①2008年に始まった住宅用太陽光発電導入支援対策費補助金、2009年11月から始まった「太陽光発電の余剰電力買取制度」、2012   年7月から始まった「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」などの相乗効果により、近年太陽光発電は急速に導入が進んでいます    が、一次エネルギー供給量に対する再生可能エネルギーの比率は0.5%(2012年度推計値。沖縄県エネルギービジョン・アクションプラン【報告書】)にしか過ぎません。再生可能エネルギーによるエネルギー供給拡大を進めるために、太陽光発電システム・太陽熱利用設備などへの助成金の拡充、沖縄の気候にあった洋上・陸上風力発電の研究開発、波力・潮力などの海洋エネルギーの研究開発の実施を要望します。
  ②公共交通システムが脆弱な沖縄では、移動手段として車に頼らざるをえません。そのため、那覇都市圏における渋滞が問題になっています。また、自動車の二酸化炭素排出量は県全体の12.7%にもなり、自動車に代わる環境負荷の低い公共交通システムの導入が必要です。県においては「鉄軌道を含む新たな公共交通システムの導入」を検討されていますが、渋滞緩和が期待できるLRTなどの低コストなシステムを採用し、中南部を広くカバーしつつ北部までつなぐ公共交通システムを実現するよう要望します。
 
 
(2)資源リサイクル施策の具体化について
 「日本の廃棄物処理」(2010年度版)によると、一般廃棄物のリサイクル率は全国平均20.8%に対して沖縄県のリサイクル率は12.7%と全国に比べ資源リサイクルへの取り組みが著しく遅れています。沖縄県廃棄物処理計画(第3期)(2011~2015年度)では、2008年度実績(12.3%)を踏まえた2015年度目標値を22%としていますが、具体的施策が乏しい状況です。打開策としてそのほとんど焼却されている「その他プラスチック製容器包装」について、一括交付金などを活用した市町村での分別・収集の推進策の実施を要望します。
 
(3)エコドライブの推進とエコアクション21(EA21)の普及強化について
  ①県は2011年度に公共団体、事業者などを対象にした「エコドライブ教習会」を実施しました。受講者は2,000人を超え、教習会前後における燃費比較は、平均値で18%削減が報告されています。今年度は環境省補助により実施されていますが、教習会受講者はまだ県民のほんの一部です。効果的なCO2削減事業、しかも交通事故防止にも繋がる事業ですので、関係部署が連携し、養成したエコドライブインストラクターが活躍、就労継続できるよう、2014年度以降も支援策を図ることを要望します。
  ②県内のEA21の認知度はまだまだ低い状況にあります。県主催によるEA21普及セミナーは、数年実施されていますが、2014年度以降も継続的なセミナー開催により中小事業者への一層の普及啓発と、県内市町村へのEA21取得に向けた指導を図ることも要望します。
 


 

 

9.女性の地位向上・社会参画について

 
 
 会員企業の経営者が女性を雇用するうえでの課題についてアンケートを行ったところ、第1位が「課題はない」(46.5%)、第2位が「専門性・技術力の高い人材が少ない」(23.2%)、第3位が「産休や育休等で継続的にスキルが向上しにくい」(16.8%)という結果になっています。
 産休や育休にかかわる助成金等の活用状況においては、「使ったことがない」が71.3%で、「ある」は21.6%と開きが生じています。助成制度への要望には、「助成制度の周知」や「申請手続きの簡素化」、子育てと就労を両立させられる施策への要望としては、「保育所の充実や増設」「休業中の本人への金銭支援」「産休補助員の身分保障や次の職場紹介」「人材育成支援」「永年勤務表彰制度」「人材派遣支援」等が上がりました。
「ファミリーサポートセンター」について、当会におけるその利用状況を調べたところ、「知らない」と答えた経営者が最も多く54%で、「利用している」と答えたのは、わずか11%にとどまっています。「必要がなく利用しない」は33.0%。アンケート結果からみると、保育サポートによる女性の就労支援として全県的に施行されているファミリーサポートセンターが「子育てしながら働く親たち」へ直接的に役立っているか不透明であり、利用実態の検証が必要と言えます。一方、センターへの要望について、自由記述で答えた内容では、「サービスの充実・改善・企業とのタイアップ等」と建設的な意見が最も多く、続いて「周知を求める」、「センターを増やす」となっています。
中小企業における女性の継続雇用に関する制度充実への期待は大きく、そのためには、産業と行政の協力で共に取り組む、実践的なワークライフバランスの推進が不可欠です。中小企業における女性の継続勤務を実現し、さらには先進国並みに女性が社会参画できる社会創りを進めるために次のことを要望します。
 
(1)中小企業における女性の継続雇用に向けた(実践的なワークライフバランス)協働の取り組みが  できるシステムを構築すること
  ①各地のファミリーサポートセンター等の育児支援システムを検証するワークショップを開催す
   ること
  ②ファミリーサポートセンターをはじめ、女性の就労支援の諸施策の改善提案ができる場を設け    ること。
 
(2)県内企業の女性管理職の割合について実態調査をすること
 

 

10.教育・福祉について

 
(1)認可保育園と認可外保育園の格差是正等、待機児童の解消を
 子供が健全に育つとともに、安心して働くことができる環境を確保するためにも、待機児童の解消は、緊急を要する課題になっています。認可保育園の増設や認可保育園と認可外保育園の格差是正、民間企業の参入等、抜本的な改善に向け、財政措置を含めて思い切った施策を要望します。
 
(2)障がい者雇用の促進を
 障がい者と健常者が垣根なく共生できる社会の実現こそ真に豊かな社会といえます。昨年度の県担当部局との意見交換会において、1年間(平成23年度)の県内の障がい者企業規模別就職件数の結果が公表(沖縄労働局)され、企業規模別就職件数では、全体の50.6%が法定未満の中小企業に就職している現状が明らかになりました。今回実施したアンケートでも、法定未満の企業で積極的に障がい者雇用に取り組み、また今後雇用を検討している企業も多くあることがわかります。多くの中小企業が障がい者を雇用しやすい環境づくりが求められており、次のことを要望・提言します。
 ①法定未満の企業での障がい者雇用の実態を継続的に調査し、公表すること。
 ②法定未満の企業で障がい者を雇用する場合の奨励金制度を創設すること。
 ③障がい者雇用に関わる関係団体等のネットワークをつくること。
 ④障がい者雇用後のサポート体制を構築(ジョブサポート等)すること。
 
(3)介護職員の労働環境と働く介護者への行政支援の充実を
今後、高齢化が進む社会にあって、益々必要となる介護職においては人材確保や定着が非常に困
難な状況となっています。また、働きながら高齢者を介護する介護者を支える仕組みづくりが、求められており、次の事を要望・提言します。  
 ① 働きながら在宅介護をしている介護者への企業の取り組みに対して行政支援の制度を増設す
   ること
 ② 民間・行政と一体で介護職員の労働環境についての問題解決の手がかりを探す為のネットワー
   クをつくり、労働環境と処遇改善に向けて取り組む体制を構築すること。
 


                                          以上。

 

 

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