2012年度 沖縄県の産業振興・中小企業政策に対する中小企業家の要望と提言

 

■ はじめに
1.金融問題について
2.県の中小企業支援施策等、諸施策について
3.沖縄21世紀ビジョン、中小企業憲章・条例について
4.一括交付金について
5.観光産業の振興について
6.建設産業の振興について
7.情報産業の振興について
8.環境問題について
9.女性の地位向上・社会参画について

10.教育・福祉について

 

■ はじめに

私たち沖縄県中小企業家同友会は、会員企業を対象に8月9日から9月30日の期間、1「金融問題」、2「県の中小企業支援計画や県単融資等の諸施策」、3「沖縄21世紀ビジョン」、4「一括交付金」、5「産業振興-観光・建設・情報・環境」、6「女性の地位向上」7「教育・福祉」の7項目について、アンケート調査を実施しました。
私たちは、このアンケート結果をふまえ、さらに各々の部会(観光・建設・情報・環境・女性)、専門委員会等で検討を重ねてきました。
つきましては、以下の通り「沖縄県の産業振興・中小企業政策に対する中小企業家の要望と提言」を行います。

(2012年12月4日)

 

 

 

1.金融問題について

 

(1)中小企業に対する金融機関の融資について
 金融機関の中小企業への融資姿勢についてのアンケートは、この5年間連続して行われ、昨年と比較すると「これまでと変わらず親切に対応してくれる」が51.5%から64.4%と13ポイント上昇、「貸し渋り」についても8.1%から5.9%と減少しています。金融機関の姿勢が厳しくなった昨年と比べ、中小企業への対応が改善されています。
 一方、金融機関に対する主な意見では、「政府系やJAに比べると地銀+保証協会セットでの貸し出しのため、二重金利のようだ」、「保証人や担保設定等時間がかかりすぎる。結果として決済までの諸費用が別途にかかり、全体ではかなり高額な金利ではないか」、「担保主義であり、個々の能力や将来性を加味した融資が出来ていない」、「新卒採用や障害者雇用など地道な活動をしている中小企業を支援して欲しい」、「金融円滑化法を利用した企業へ貸し渋りが見られる」などです。県信用保証協会に対する主な意見では、「保証協会は、企業の味方ではなく、銀行側についてる」、「条件を次々厳しくして、必要額が借りられない」、「本来必要とされない資料も前回出ていたからという理由で求められた」、「金融機関と保証協会で審査が遅れ気味の要因をお互いのせいにしている」との指摘もあります。また、「これからも中小企業の悩みに真摯に耳を傾け、手助けしてほしい」と期待の声もありました。
 こうした中小企業、利用者の声をふまえて、次のことを要望します。

 

  1. 金融円滑化法の期限が迫る中、円滑化法利用企業への金融機関の姿勢が以前に比べて厳しくなることが予想され、円滑化法の再々延長を国に延長を国に働きかけるとともに、円滑化法が切れた場合でも、中小企業支援のために円滑化法の趣旨をフォローするよう金融機関に要請してください。
  2. 金利に対する不満が多く、ゼロ金利時代に即した金利にするよう金融機関に要請してください。
  3. 金融機関と信用保証協会、双方での審査が厳しすぎる、申し込んでも減額された等の声が寄せられており、これらをふまえ、金融機関と信用保証協会の二重審査を是正してください。

 

 

 

2.県の中小企業支援策等、諸施策について

 

 (1)県の中小企業支援計画等について
 県はすでに2012年度の「中小企業支援計画」を決定し、ホームページ等で告知しておりますが、多くの中小企業が支援計画や県単融資制度について知らない状況は、改善されていません。同友会会員へのアンケートの結果では、県単融資の実際の利用率は回答者全体の8.9%にとどまっています。県の中小企業支援計画や県単融資について、「PRの方法をもっと工夫する」ことを要望しており、さらに「支援計画や融資制度を策定する段階で、中小企業の声を聞く」も、例年通り多くの声が上がっています。主な意見では「沖縄21世紀ビジョンを推進する主役の一人である中小企業を盛り上げる為、とても大事な支援事業だと思う」「企業の実態を見て個々の企業にあった指導をして欲しい」「中小をひと括りにするのではなく、業種ごとに課題を抽出して支援すると良くなるのでは」「中小企業者と行政が互いに意見交換すること」「もう少しPR等に力を入れると良い」「わかりやすい資料など支援の仕組みがほとんど知られていない状況ではないか」などです。
 こうしたアンケート結果をふまえ、次年度以降の策定にあたり次のことを要望・提言します。

  1. 次年度の「中小企業支援計画」を策定する段階で、中小企業の声を聞き、計画に反映させる仕組みを構築すること。
  2.  「中小企業支援計画」の内容について、広報の方法を研究し、周知徹底の強化をはかること。
 
(2)県単融資について
  現在の円高や東日本大震災、日中関係の冷え込みで景気が回復しない中で、県単融資制度は、中小企業支援計画の中核をなすもので、県内の中小企業にとって増々重要になっています。2011年度の利用率が2010年度に比べ25.1%から18.6%へ減少したことを踏まえ、今回、同友会会員を対象に、県単融資制度の利用状況を調査した結果、著しく低い利用率であることがわかりました。今年度県は、ほぼ全資金について金利の引き下げ、利子補給事業を創設するなど同友会の政策提言に対し、具体的に制度改善に取り組みました。さらに実効性のある制度となるようアンケート調査の意見をふまえ、次のことを要望・提言します。
  1. 県単融資事業において、中小企業者の保証料の負担を軽減するため、沖縄県信用保証協会に信用保証料補助金の適用範囲(資金別)を拡大すること。
  2. 中小企業金融円滑化法の期限切れの影響を考慮して、県単融資の借換ができるようにすること。
  3. 世界的な経済状況の悪化、長期化が全業種に急速に広がる現状に鑑みて、業種を細かく指定せず、全業種への適用を広げること。
  4. 「手続の簡素化」を図ること。
  5. 県単融資の利用促進を図るため、これまでの研究会に変わって、借り手側の意見が反映できるよう、県・信用保証協会・金融機関及び経済団体等で「県単融資利用促進協議会(仮称)」を設立すること。
  6. 県単融資の内容、手続等の広報・周知活動をはかるとともに、借り手がより利用しやす いように相談もできる、コールセンター的な窓口を県に設けること。
  7. 沖縄県の失業率は全国平均の約2倍で、とりわけ若年者の失業率が高く、高校・大学を卒業しても就職できない若者がいます。こうした状況を改善するためにも、現在の雇用創出促進資金とは別途に新卒者を採用した県内の中小企業に対して、さらなる優遇金利等の県単融資制度を創設すること。

 

 

 

 

 

3.沖縄21世紀ビジョン、中小企業憲章・条例について

 

(1)「沖縄21世紀ビジョン」ならびに「基本計画」について
 県民の意見を集約し沖縄の将来像、あるべき沖縄の姿(ワラビンチャ―に残したい沖縄の姿)『沖縄21世紀ビジョン』(概ね2030年)が策定され、大まかな骨格が見えてきました。内容として、大きく5つの将来像を掲げ大変魅力あふれる長期構想となっています。しかし、1972年の復帰後、40年続いてきた3次にわたる「沖縄振興開発計画」と2012年3月末で切れた「沖縄振興計画」についての評価は、昨年の調査で3割が評価していないと言う大変厳しい結果が出ています。そのことは、今回示された「沖縄21世紀ビジョン」対して、実現性のある計画でなければ、絵に描いた餅になってしまうことを示唆しています。大切なことは行政レベルの判断だけではなく、民間レベルで現場の生の声を聞き、毎年検証することが何よりも重要だと考えています。行政においては、各部局が横断的に21世紀ビジョン達成のプロジェクトチームを創り、マイルストーンを掲げ、各経済団体・組合・通り会・金融・NPO等と共に「進捗状況と検証」を進めていく、新しい産学官民が一体となって沖縄の未来づくりを進める組織の構築を提案いたします。
 「沖縄21世紀ビジョン」の内容について、アンケートの結果は、「知らない」が30%、「知っている」が21%、「知っているがあまりわからない」が47%となっています。主な意見では、「縦割り行政なので、全体的ビジョンの関連が薄く、本当にこれからの沖縄の未来を描くビジョンになっていくか、非常に疑問を持っている。横串をさしたあり方がもっと見えるようにすべき」「事業採択の際にもっと民間企業の声を聞いて各自治体は事業化すべき」「県民や企業、市町村の協同・体制がとても重要だと思います。この協同・体制を築くためにも県が何をやろうとしているのかもっとPRすべきだと思います」など、取組の体制や協力の仕組みを考え、多くの人の意見を集約し、まとめながらスピードと実効あるものにしていく事が多くの意見となっています。沖縄21世紀ビジョンの広報と合わせて内容を広く、県民に理解させることが大きな課題だと言えます。
 つきましては、「沖縄21世紀ビジョン」の内容を県民に理解できるよう、各種団体の意見も取り入れ、引き続き広報を工夫され、強化されますよう要望します。また、21世紀ビジョンに基づく「基本計画」についても引き続きPDCAを確実に回しながら、足踏みすることなく広報を強められるよう次のことを要望します。

  1. 沖縄21世紀ビジョン基本計画の進捗状況と実効性の検証結果を、ホームページ等で表示し、一括して各部局の進み具合を解りやすく見える仕組みにすること。また、評価した団体や人選も明らかにすること。
  2. 上記の実効性の検証は、各種団体(経済団体・農協・漁協・NPO・教育関係者)等より行い、各政策の実効性について幅広くアンケートを取り(予算をつけないこと・紐つきにならない)、恣意的に偏らないこと。


(2)「沖縄県中小企業の振興に関する条例」について
 2008年3月に「沖縄県中小企業の振興に関する条例」が制定・施行されてから5年目になります。条例の第7条に基づき「中小企業振興会議」が発足し、「地域部会」も設置され、この間「中小企業者その他の関係者の意見の反映」するための取り組みが行われてきています。
 中小企業振興条例の実効性をはかるためには、中小企業振興会議と地域部会の機能を十分に発揮し、中小企業の声を反映した中小企業支援施策を作り上げることが、条例の趣旨に合致するものです。
 つきましては、引き続き中小企業振興会議や地域部会等の充実をはかり、「沖縄県中小企業の振興に関する条例」を実効性あるものにするため、次のことを要望・提言します。

  1. 本条例の第7条・8条「中小企業者その他の関係者の意見の反映」を保証する場となっている「中小企業振興会議」「地域部会」を本条例の趣旨が生かされるよう定期的に開催するとともに十分な時間を確保すること。
  2. 本条例の第9条「支援計画に定めた事業の実施状況の公表」に基づき、早い時期に公表するとともに、十分に意見が述べられる機会をつくること。
  3. 本条例の第12条「財政上の措置」に基づき、とりわけ「地域部会」が、その役割を十分に発揮できるよう財政上の措置を講ずること。
  4. 本条例の実効性をはかる上で、その要の一つである「地域部会」を十分に機能させるため、とりわけ地域部会が確立されていない地域へは、県の責務として県が積極的に関与し指導されること。
     

(3)中小企業憲章について
 政府が2010年6月に閣議決定した「中小企業憲章」を国民全体の認識とし、その内容を実現するために、次のことを政府・関係機関に働きかけてください。

  1. 中小企業憲章を閣議決定にとどめず、国民の総意とするため、国会決議をめざすこと。
  2. 首相直属の「中小企業支援会議(仮称)」を設置し、省庁横断的機能を発揮して、中小企業を軸とした経済政策の戦略立案を進めること。
  3.  中小企業担当大臣を設置すること。
     

 

 

 

4.一括交付金について

 

 「一括交付金」1575億円の内容について聞いたところ、「知っている」は33%になっています。「あまりわからない」と「知らない」をあわせると67%になっています。意見をみますと、「弊社が関われることがあるとは思っていないから」「予算の使い方が行政主導だと思っているから」「一括交付金をどのように利用していくか、関わっていくのか解らない」など、私たち中小企業の中で、中小企業の発展と一括交付金の執行がリンクされていることを、理解されていない現状があります。しかしながら、これまでの行政の進め方は、中央省庁や大企業中心とした取組が行われてきた結果でもあり、中小企業との意識の隔たりと不信感を生んだ原因でもあります。行政も、沖縄県民の雇用の場である県内99.8%の中小企業に対して、告知や考え方の啓蒙を更に強化する必要が当然にあることも事実です。
 一括交付金の実施あたって、どの分野に重点的に配分したほうがよいかの質問に対し、3次産業45%、2次産業25%、1次産業と6次産業が各8%となっています。沖縄県の産業構造にほぼ似通った結果となっています。しかしながら、新しい考え方である6次産業が、今後の中小企業の発展のキーワードになり、未来への新たな取組として始まりつつあります。その他としては、子供、人材教育・福祉への予算配分をしてほしい、との意見も出ています。
 中小企業の発展のための一括交付金の使途についての考え方のアンケートを見ますと、「使い切りと言う発想から脱却し、本当に必要なモノに使われるようにすべき」「5年後、6年後と中期的な事まで考えて使ってほしい」「新しい雇用を生み出すための事業資金」等、未来への展望につながる意見が多く寄せられています。
 一括交付金がより効果的に使われ、沖縄県民の繁栄と発展につながる施策となるよう、次のことを要望・提言します。

  1. 現在ある中小企業振興会議の場で検証し、PDCAのサイクルを回していくこと。
  2. 新たに一括交付金活用県民会議を立ち上げること。
     

 

 

5.観光産業の振興について

 

(1)観光客年間平準化の取組み
 本県の観光は戦跡観光から始まり、近年は沖縄文化をコンテンツとした観光へと変化・発展してきましたが、現在なお繁忙期と閑散期の観光客数の差は大きなものとなっています。
 平年閑散期の1月、2月は、オンシーズン8月の3分の2の入域観光客しかなく、観光業の安定的な経営と観光業従事者の安定した雇用の確保が難しくなっています(参考:ボトム期入域観光客数/トップ期入域観光客数 2009年 68.7%、2010年 65.8%、2011年 61.9%)。
 本県は、地理・気候的に「春は桜、夏はラベンダー、秋は紅葉、冬は雪」といった、四季をそれぞれ異なる旅行商品として売り出すことは難しいものの、時期を区切った異なるテーマのキャンペーンを、年間を通して打っていくことが必要であると考えます。既に那覇マラソンやプロ野球キャンプの誘致など、成功事例も出てきていますが、新たな取り組みとして、次のことを要望・提言します。

  1. 県出身で全国的に知名度の高い著名人が一堂に会する芸能祭を、オフシーズンに開催するなど、年間観光客を平準化する取組みの強化を図ること。


(2)イベントリスクに対する補償制度の確立
 観光は本県においてリーディング産業として位置づけられ、観光収入は県外受取の2割を占める主要な産業となっていますが、本県の努力ではコントロールできない外的要因により入域客数・観光収入が左右される状況が、たびたび発生しています。
 過去においても、9.11事件(2001年)、SARSの発生(2003年)、リーマンショックと景気低迷・新型インフルエンザの発生(2009年)、東日本大震災(2011年)と、本県の観光産業は大きな打撃を受けています。
 こうした状況に対し、政府は景気低迷期には製造業に対してさまざまな対応策を打っていますが、景気やその他外部要因の影響を最も受けやすい観光業については、力ある施策が実施されたことはありません。こうした状況を改善するため、次のことを要望・提言します。

  1. イベントリスクに対する公的な補償制度を確立すること。
     

(3)中長期視点での外国人観光客受入れのための人材育成
 本県を訪れる外国人観光客は、この数年、県・OCVB等の行う誘客プロモーションの成果により増加を続けており、今後中長期的には人口減少などの要因により伸び率の鈍化も予想されている国内市場とは対照的な様相となっています。
 沖縄県では、2011年の外国人入域観光客数30万人から、10年後の2021年には年間200万人の達成を目標(第5次沖縄県観光振興基本計画)としており、市場の拡大、リスクの分散などから、今後も積極的に外国人観光客誘客の取組みを継続していくことが望まれます。しかし、外国人観光客の受入れ整備については、外国語のガイドをはじめとする受入れのための人材不足が指摘されており、中長期的な取組みが必要とされています。外国人を対象とするガイド業務については、その質を担保するために通訳案内士法が制定され、本県においては「沖縄地域限定通訳案内士」の導入により、他府県よりも資格取得が容易になっていますが、無資格ガイドの増加などにより、有資格者の就業機会は多くなく、また経済的にも安定しない状況となってます。
 つきましては、次のことを要望・提言します。

  1. 外国人観光客の受入れに携わる職業が、諸外国と同様に新卒学生の進路の選択肢の一つとなるような人材育成と就業機会の条件整備を行うこと。
  2.  有資格者である「沖縄地域限定通訳案内士」が優先的に就職できるようにすること。
     

 


6.建設産業の振興について

 

 

 

 沖縄県内における建設業者は、経済活動別県内総生産の構成比が8.6%、従業者数も8.0%(沖縄経済ハンドブック2012年度版に依る)と、沖縄の経済・雇用・社会において重要な役割を担っており、建設産業の維持・発展は、沖縄県経済の活性化に欠かせない課題だと言えます。そのため、昨年も下記の6つを要望しましたが、実現できるように再度要望します。

 

(1)雇用の確保-経営基盤の強化策について
建設産業が引き続き雇用を確保していくために、是非、県としても引き続き経営基盤の強化策の推進を要望します。


 (2)公正な市場環境の整備-入札・契約制度の環境整備について  
 沖縄県建設産業ビジョンの「4 市場環境の整備」の(2)入札・契約制度の環境整備について、多様な入札・発注方式の導入推進が示されています。現状の総合評価方式では、新規に参加する機会(例、過去の工事実績、代理人の工事実績等)が、なくなりますので、新規に受注参加の機会ができるよう、改善を要望します。
 

(3)米軍発注工事の受注機会の確保について
 全国の米軍基地の75%が沖縄県にあり、基地負担の軽減の一環として国及び県が地元中小企業へ優先受注出来る機会を構築されるよう要望します。

  1. ボンド保証金は、地元企業を支援する制度を構築すること。
     

(4)数量公開の説明書・数量書の取扱いについて
 説明書での説明主旨によると「数量書は、発注者の積算の透明性、客観性、妥当性を確保し、入札者等の積算、工事費内訳書の作成の効率化を図ることを目的に公開、提供するものであり、建設工事請負契約約款第1条に定める設計図書(図面及び仕様書等)ではなく、参考資料(参考数量)として取り扱うこととする」、としています。「参考資料(参考数量)として取り扱う」ということは、説明主旨の「数量書は、発注者の積算の透明性、客観性、妥当性を確保し」の主旨からすると、相反することになり、土木の場合は、参考資料としていません。
 つきましては、建築において数量は、土木以上に価格に大きく影響を及ぼすものであり、主旨の「透明性、客観性、妥当性を確保して」に準じて、明確に提示し、明瞭に出来高で清算していただくように要望します。
 

(5)受注者・発注者関係の適正化について
 沖縄県建設産業ビジョンの「2 新たな建設生産システムの構築」 ア)受注者・発注者関係の適正化では、「受注型産業である建設産業においては、発注者の立場が受注者よりも比較的優位となりやすく、片務性が内在しやすい状況にある。そのために、設計者における設計思想や設計条件の伝達業務、施工者における設計変更や工期延長の時間調整等に対する報酬が支払われない等の指摘がある」、と明記されています。今後は、このような関係を是正し、両者がより良いパートナーシップを築いていく必要があります。そのため、次のことを要望します。

  1. 関係法令遵守の徹底。
  2.  片務性に関する実態調査の実施。
     

(6)建設工事入札参加資格審査項目へのエコアクション21(EA21)の加点について
 当会ではEA21認証取得事業者に対する沖縄県建設工事入札参加資格審査項目への採用を要請してきました。2011年度から5点の加点が行われていますが、ISO(13点)と同一評価になっていません。EA21促進のため同一加点を図ることを要望します。


 

 

7.情報産業の振興について

 

(1)「IT津梁まつり2013」実施における県及び教育サイドからの支援について
 昨年度まで、沖縄県中小企業家同友会情報関連部会「eおきなわ」は、情報産業を沖縄県の基幹産業としての成長させること、将来の情報産業を担う子供たちの育成を図るための取り組みとして「ITまつり」を開催してきました。琉球大学、雇用能力開発大学校、各専門学校、高校等の協力のもと、昨年は約2,380名の来場があり、大学生から高校生、中学生、小学生までが、ITの楽しさ、面白さに触れることができる県内唯一のイベントとして高い評価を受けることができました。
 IT産業はモチベーション産業であり、知的好奇心や創造の喜びが、良い製品を生み出し、産業としての成功、そして沖縄県が推進している「沖縄21世紀ビジョン基本計画」にある「情報通信関連産業の高度化・多様化」の成功にもつながります。今年度は、これまで当会が要望してきた「IT産業人材確保支援事業」を予算化していただくことができました。つきましては、次年度に向けて次のことを要望・提言します。

  1. 次年度もIT津梁まつり開催のための予算の継続を行うこと。
  2. 学校現場(専門高校だけではなく普通高校も含む)の情報関連及び進路指導の先生方が子供(生徒)たちにIT業界の情報(世界・日本・沖縄のIT産業の流れ)や県内のIT関連企業、最新のIT技術を指導できるよう、IT関連イベントへの参加や会合・勉強会への参加に対し、これまで以上に協力支援を行うこと。
     

(2)地元IT企業育成支援について
 地元での雇用吸収ができるように、また県が「沖縄21世紀ビジョン」で掲げる「県内立地企業の高度化・活性化」をはかるためにも、以下のことを要望・提言します。

  1. IT化の遅れている県内企業の生産性、競争力を高め、県内のIT需要を掘り起こすため、県内中小企業のIT導入に対する支援制度を拡充すること。
  2. 少数企業の高額助成金ではなく、小額の開発助成金を多くの企業に機会を与えるなど、地元IT企業の研究開発および新商品開発にかかる助成制度を充実させること。
  3. 県、市町村等の行政から発生するITシステムの発注形態を細分化し、県内中小IT企業でも参入できるよう分離分割発注とし、大手ベンダーロックインを改めること。
  4.  県にCIO(Chief Information Officer=最高情報責任者)の設置などを行い、情報産業振興行政の一元化を行うこと。また、人選については、公職の方ではなく、外部からITに精通していて、沖縄経済の発展に思いのあることを基準に選定すること。
     

 


 

 

8.環境問題について

 

 

 沖縄県では今年5月に「沖縄21世紀ビジョン基本計画(沖縄振興計画)」を公表した。環境に関する基本施策は、「自然環境の保全・再生・適正利用」「持続可能な循環型社会の構築」「低炭素島しょ社会の実現」の中で各施策が述べられています。しかしながら、足元の産業廃棄物管理型最終処分場の残余容量ひっ迫問題や、地球温暖化問題の数値は、一刻も猶予できない状況になっています。地球温暖化問題については、今年8月に公表された「沖縄県地球温暖化対策実行計画進捗管理報告書(暫定版)」によると、2008年度における県内の温室効果ガスの総排出量は、1,390万トン(二酸化炭素換算)で、基準年度(2000年度)の総排出量1,249万トンと比べ、141万トン、11.3%増加しています。2020(平成32)年度目標の1,251万トンを達成するためには、2008年度実績値から139万トン(11.1%)の削減が必要となっています。そのような中、私たち沖縄県中小企業家同友会は、持続可能な環境保全型社会と循環型社会の構築をめざし、①環境保全型企業づくり、②環境ビジネスと市場創造、③環境保全型・循環型地域づくり、を基本に環境問題に取り組んでいます。つきましては、次のことを要望・提言します。

 

 

(1)沖縄県産業廃棄物処理施設建設の進展と資源リサイクル施策の具体化について

  1. 県では長年の懸案であった「沖縄県産業廃棄物処理施設指導要綱」を整備し、2010年の4月から要綱に基づく運用を開始しました。しかしながら、民間処分場、公共関与処分場の検討や建設は、地域の住民・議会等の反対運動や一部の市では関連条例が制定されるなど、厳しい状況となっています。鋭意、産業廃棄物処理設備の検討、建設計画が進められていると思いますが、県民への一層の情報開示に努め、早期の施設建設を図ることを要望します。
  2. 「日本の廃棄物処理」(2010年度版)によると、一般廃棄物のリサイクル率は全国平均20.8%に対して沖縄県のリサイクル率は12.7%と全国に比べ資源リサイクルへの取り組みが著しく遅れています。沖縄県廃棄物処理計画(第3期)(2011~2015年度)では、2008年度実績(12.3%)を踏まえた2015年度目標値を22%としていますが、具体的施策が乏しい状況です。打開策としてそのほとんど焼却されている「その他プラスチック製容器包装」について、一括交付金などを活用した市町村での分別・収集の推進策の実施を要望します。

 

(2)地球温暖化対策(省エネ事業推進、新エネ事業導入の強化)について

  1. 県内でもエコ住宅(スマートハウス)が建ちはじめてきた。その中心技術はHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)によるエネルギーの見える化である。見える化機器は数十万円の投資が必要です。県、市町村の住宅用太陽光発電事業への補助金制度は定着してきていますが、エコ住宅への補助金制度は充分とは言えません。エコ住宅建設促進のため、太陽光発電事業と同様に「HEMS・見える化機器」と「太陽熱利用設備」への補助金制度の導入を要望します。
  2. 県内の新エネ事業は宮古島などのマイクログリッド実証事業を踏まえ、昨年度からは沖縄本島を含む「スマートエネルギーアイランド基盤構築事業」が行われています。同事業課題の電力系統安定化については、今年7月から開始された再生可能エネ固定価格買取制度により一層拡大します住宅用、産業用太陽光発電など再生可能エネ導入の阻害要因にならないよう適宜、技術的情報開示を願いたい。また、昨年の東日本大震災により見直されることになった沖縄県エネルギービジョン策定は、産官学の英知結集と工程の開示、その後の基本・実行計画の策定は一層の具体化を要望します。

 

(3)エコドライブの推進とエコアクション21(EA21)の普及強化について

  1. 県は作年度に公共団体、事業者などを対象にした「エコドライブ教習会」を実施しました。受講者は2,000人を超え、教習会前後における燃費比較は、平均値で18%削減が報告されています。教習会受講者はまだ県民のほんの一部です。効果的なCO2削減事業、しかも交通事故防止にも繋がる事業ですので、関係部署が連携し、養成したエコドライブインストラクターが活躍、就労継続できるよう、2013年度以降も支援策を図ることを要望します。
  2. 県内のEA21の認知度はまだまだ低い状況にあります。県主催によるEA21普及セミナーは、数年実施されていますが、2013年度以降も継続的なセミナー開催により中小事業者への一層の普及啓発と、県内市町村へのEA21取得に向けた指導を図ることも要望します。


 

 

9.女性の地位向上・社会参画について

 
 
 少子化問題は、社会問題であり、国の存亡に関わる重要な課題です。出産率の低下の問題は多岐にわたりますが、女性が安心して出産でき、安心して育児ができ、安心して働ける社会環境や職場環境作りは、少子化打開策においては必要不可欠な条件だと言えます。ひいては女性の社会参画、女性の地位向上を押し上げることへもつながります。今回のアンケート調査でも49%(去年48.5%)の方々が出産や子育てによるキャリアの中断をあげているのが現状ですから、いくら声高に女性の地位向上を叫んでも、現実とのギャップはいかんともしがたいものがあります。
 つきましては、是非沖縄県として女性の働く環境の向上に向けて、さらなる取り組みを強化していただきたく次のことを要望・提言いたします。
  1. 女性が安心して働けるように、企業相互が連携する企業間保育や企業内保育を推進する支援制度の設定。
  2. 女性の地位向上・社会参画に向けた諮問機関のメンバー構成と実効性の可視化。
  3. 女性起業家に対する県単融資の利用促進。
     

 

10.教育・福祉について

 
(1)インターンシップの充実を
 同友会のアンケート調査では6割以上の会員企業が大学生・高校生等のインターシップを受け入れています。県内の多くの中小企業が学生・生徒のインターンシップに対する姿勢や態度の問題、受け入れる企業の理解不足等の問題が指摘されています。インターンシップをより充実させ、本来の目的に沿った内容にするためにも、送り出す側と受け入れる側の定期的な懇談の場を設けることが必要になっています。とりわけ、高校においては、県教育委員会の下で、全高校でインターンシップ実施されており、教育委員会による定期的な懇談の場の設定を提案します。

(2)認可保育園と認可外保育園の格差是正等、待機児童の解消を
 子供が健全に育つとともに、安心して働くことができる環境を確保するためにも、待機児童の解消は、緊急を要する課題になっています。認可保育園の増設や認可保育園と認可外保育園の格差是正等、抜本的な改善に向け、財政措置を含めて思い切った施策を要望します。

(3)障がい者雇用の促進を
障がい者と健常者が垣根なく共生できる社会の実現こそ真に豊かな社会といえます。県内の中小企業においても、法定未満の企業で、積極的に障がい者雇用に取り組んでいます。多くの中小企業が障がい者の雇用をしやすい環境づくりが求められており、次のことを要望・提言します。
  1. 法定未満の企業での障がい者雇用の実態を調査し、公表すること。
  2. 法定未満の企業で障がい者を雇用する場合の奨励金制度を創設すること。
  3. 障がい者雇用に関わる関係団体等のネットワークをつくること。
     
                                          以上。

 

 

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