2011年度 沖縄県の産業振興・中小企業政策に対する中小企業家の要望と提言

 

■ はじめに
1.東日本大震災・被災地への支援ならびに今後の震災等の対策・施策について
2.金融・円高問題について
3.県の中小企業支援策等、諸施策について
4.県の「21世紀ビジョン」・中小企業憲章・条例について
5.一括交付金について
6.観光産業の振興について
7.建設産業の振興について
8.情報産業の振興について
9.環境問題について
10.女性の地位向上・社会参画について

はじめに

私たち沖縄県中小企業家同友会は、会員企業を対象に8月9日から8月31日の期間、1「東日本大震災について」、2「金融・円高問題」、3「県の中小企業支援計画や県単融資等の諸施策」、4「沖縄振興計画と沖縄21世紀ビジョン」、5「一括交付金」、6「産業振興-観光・建設・情報・環境」、7「女性の地位向上」の7項目について、アンケート調査を実施しました(別紙参照)。
私たちは、このアンケート結果をふまえ、さらに各々の部会(観光・建設・情報・環境・女性)、専門委員会等で検討を重ねてきました。
つきましては、以下の通り「沖縄県の産業振興・中小企業政策に対する中小企業家の要望と提言」を行います。

 

1.東日本大震災・被災地への支援ならびに今後の震災等の対策・施策について


 東日本大震災は、我が国の歴史上、かつてない未曾有の被害をもたらし、あまりにも過酷で苦難の始まりとなりました。多くの国民が他人事ではなく、メディアから流れる映像に現実を直視できず、ただ、恐ろしい程の悲しみで、心が張り裂ける衝撃的な大震災でした。復興には、放射能の多大な影響もあり、何十年もの歳月がかかります。私たち沖縄県民も観光を主体として、人的に経済的にも大きな関わりを持ち、東北の方々から恩恵を受けてきました。長期にわたる今後の復興支援の取り組みも、県含め私たち中小企業家の責務と考えています。それを鑑み、アンケート結果をふまえ、次のことを要望・提言します。

 (1)被災地への支援について
 「貴社の復興支援活動について」の問いに対して、アンケートの結果、6割近くの自主的な支援活動をはじめ、8割以上の中小企業が物資や義援金・寄付などの支援活動を行っています。引き続き被災地への復興支援が求められており、沖縄県として、次のことに取り組んでください。
①被災地からの子ども達の受け入れなど、ボランティア活動をしている団体へ、県として支援してください。
②中小企業は地域の暮らしを支える根幹であり、被災地の方々は無論、被災地の中小企業に対して、中長期の支援を行う施策を講じるよう、国に働きかけて下さい。
③東北被災地から沖縄に移住され、仕事を求めている方がスムーズにマッチングできるよう、仕組みをつくって下さい。

 (2)今後の震災等の対策・施策について
 今後の大震災等に備えては、6割近くが「災害時における非難対策」で、次いで「行政による防災マップや津波等へのインフラ対策」(45.5%)、「電気等エネルギーの安定供給」(43.4%)と続いており、「震災等に対する教育」も3割近くが要望しています。また、要望・意見では、「中小企業へ災害時緊急マニュアルの教育訓練を」「危機管理に対する教育を職場や学校で徹底することが望ましい」「中小企業でも早急にBCPを作成すること」などがあげられています。これらのアンケート結果もふまえて、次のことを要望・提言します。
①災害時における避難対策や防災マップ、津波等へのインフラ整備・エネルギーの安定供給を事前にシュミレーションし、対策を定期的に、持続的に見直す仕組みを構築すること。
②中小企業に対し、BCP(事業継続計画)の策定を推進する施策を組み入れること。
③地震や津波など、震災等に対する教育を学校教育の中でも重視していくこと。
④県として、緊急時の災害対策本部の設置を政府レベルまで引き上げること。

  (3)放射能汚染への対策・施策について
①県内における放射能汚染商品等への対策を、県を上げて早急に取り組むこと。
②海外においては、沖縄県産品も放射能汚染の風評被害が出ており、県として「県産品は汚染されていない」ことを早急に海外へ強くアピールすること。
 

2.金融・円高問題について

 (1)中小企業に対する金融機関の融資について
金融機関の中小企業への融資姿勢についてのアンケートは、この4年間連続して行われ、昨年は「これまでと変わらず親切に対応してくれる」が上昇しており、「貸し渋り」についても減少していることから、金融機関の中小企業への対応が改善されてきている、としていたが、今年のアンケートからは、「親切に対応してくれる」が減り、逆に「貸し渋りを感じる」が増えており、「金融機関の姿勢が厳しくなった」という実態が浮き彫りになっています。
 一方、金融機関に対する主な意見では、「金利が他府県と比べて高すぎるので、改善へ向けて努力して欲しい」「技術、人物、アイディアを評価しての貸付優遇すべき」「地元の零細企業をサポートしてこそ地銀の役割、存在意義がある」「金融機関は担当者が変わるが、せめて3年は同じ人で対応してほしい」、などです。県信用保証協会に対する主な意見では、「保証協会は、もっと企業側に密着し情報を直に取材すべき」「金融機関が承諾した借入金額について信用保証協会が減額するのは困る、金融機関との信頼が無に帰す」「保証協会は代弁済の関係か、厳しくて借入ができない」、などです。両者に対する意見では、「100%信用保証協会の保証になったことで、金融機関は機械的にスコアを計算してクリアできない案件は、保証協会丸投げになっており、問題だ」、との指摘もあります。
 こうした中小企業・利用者の声をふまえて、次のことを要望します。
①金融機関の姿勢が、以前に比べて厳しくなっており、経営環境が厳しい時にこそ、金融機関の目的の一つである金融の円滑化を図るよう金融機関に要請してください。
②金利に対する不満が多く、ゼロ金利時代に即した金利にするよう金融機関に要請してください。
③信用保証協会の審査が厳しすぎる、申し込んでも減額された等の声が寄せられており、これらをふまえ、金融機関と信用保証協会の二重審査を緩和してください。
(2)円高対策について
  異常な円高が続く中、5割強が「影響・恩恵はない」としているものの、3割近くが「マイナス影響がある」としており、「プラスの恩恵がある」は、わずかに8%程度であり、円高による県内の中小企業への影響は、メリットよりデメリットが大きいといえます。その具体的内容では、「極端な円高は、観光客の海外流出が多くなり、トップシーズンとオフシーズンの格差が非常に大きくなった」「輸出ができなくなった」「米国企業との取引があり、円建てではなくドル決済なので円高のためマイナス計上」「海外からのインバウンドのお客さんの見込みが減少した」などがあげられています。
 このように異常な円高が続くと、県経済に及ぼす影響は、さらに大きくなります。県として、早急に円高の影響を受けている企業に対して、融資の優遇制度や助成制度を設けるなど、支援策を講じて下さい。

 

3.県の中小企業支援策等、諸施策について

(1)県の中小企業支援計画等について
県は2011年度の「中小企業支援計画」を決定し、ホームページ等で告知しておりますが、多くの中小企業が支援計画や県単融資制度について知らない状況は改善されていません。県の中小企業支援計画や県単融資について、昨年に続いて同じ質問であるが、昨年以上に「広報の方法をもっと工夫する」ことを要望しており、さらに「支援計画や融資制度を策定する段階で、中小企業の声を聞く」も、昨年を大幅に上回り5割以上が要望しています。主な意見では「施策を策定する段階で意見を聞くだけでなく、多くの意見を取り入れること、公開討論など」「現場を見ていない人が策定するので、利用しづらい」「使用使途が決められた支援事業が多く、もっと幅広い裁量の支援制度が必要」「もっと親身になって中小企業対策に取り組んでもらいたい」「もう少しPR等に力を入れると良い」「今の中小企業支援策は、融資と助成金、委託事業。他県のように直接金融に対する支援を設けて欲しい」「利用者ニーズの満足度を確認するため、対面調査を行い、その結果をふまえて中小企業団体との論議を行って最良な施策をつくることが望ましい」などです。
こうしたアンケート結果をふまえ、次のことを要望・提言します。
  1. 「中小企業支援計画」を策定する段階で、中小企業の声を聞き、計画に反映させる仕組みを構築すること。
  2. 「中小企業支援計画」の内容について、周知徹底に向けた広報の方法を研究し、強化・徹底をはかること。
(2)県単融資について
 現在の円高や東日本大震災の影響で景気が回復しない中で、県単融資制度は県内の中小企業にとって増々重要になっています。アンケート調査でも数多くの意見が寄せられており、これらの意見をふまえ、次のことを要望・提言します。
  1. 県単融資事業において、中小企業者の保証料の負担を軽減するため、沖縄県信用保証協会に信用保証料補助金の適用範囲(資金別)を拡大すること。
  2. 世界的な経済状況の悪化、長期化が全業種に急速に広がる現状に鑑みて、業種を細かく指定せず、全業種への適用を広げること。
  3. 「手続の簡素化」等について研究し、システムを再構築すること。
  4. 県単融資の利用促進を図るため、これまでの研究会に変わって、借り手側の意見が反映できるよう、県・信用保証協会・金融機関及び経済団体等で「県単融資利用促進協議会(仮称)」を設立すること。
  5. 県単融資の内容・手続等の広報・周知活動をはかるとともに、借り手がより利用しやすいように相談もできる、コールセンター的な窓口を県に設けること。
  6. 沖縄県の失業率は全国平均の約2倍で、とりわけ若年者の失業率が高く、高校・大学を卒業しても就職できない若者がいます。こうした状況を改善するためにも、新卒者を採用した県内の中小企業に対して、優遇金利等の県単融資制度を創設すること。
 

4.県の「21世紀ビジョン」・中小企業憲章・条例について

(1)県の「21世紀ビジョン」について
 1972年の復帰後、40年続いてきた3次にわたる「沖縄振興開発計画」と2012年3月末で切れる現在の「沖縄振興計画」についての評価は、5割強が「よくわからない」と、しているものの、「満足している」が、わずか2%に対して、「計画通り結果が残せず残念」が2割弱、「不満」の1割弱を合わせると、3割が評価していないことになります。そのことは、県が策定をすすめている「沖縄21世紀ビジョン」対して、実現性のある計画を望んでいることであり、そのためには、広く県民の声を反映させたビジョン・計画を作成することを求めています。
 「沖縄21世紀ビジョン」の内容について、昨年と同じように聞いた結果は、昨年よりも「知らない」が増え、「知っている」がわずかだが減っているという状況は、残念なことです。「知っているがあまりわからない」も昨年とほぼ同じく半数近くおり、21世紀ビジョンの広報と合わせて内容を広く県民に理解させることが大きな課題だと言えます。
 つきましては、「沖縄21世紀ビジョン」の内容を県民に理解できるよう、引き続き広報を工夫され、強化されますよう要望します。また、ビジョンに基づく「基本計画」についても引き続き広報を強められるよう要望します。

(2)「沖縄21世紀ビジョン基本計画」について
 県が発表した「沖縄21世紀ビジョン基本計画(素案)」についての意見・要望を聞いた結果、主な意見では、「単なる経済発展や優遇措置の継続だけでなく、沖縄県と県民の良いところを継承する内容が盛り込まれており、良いと思う」「沖縄県民の声をベースに計画立案したという県民に向き合った姿勢と、ビジョンの浸透活動を従来より積極的に取り組んでいるような感があり、身近に感じている」など、評価する意見と、「多くの業種に配慮した計画になっているが、総花的で実効性がどこまであるか、今後をしっかり見ていきたい」「感覚・情緒的で具体的な目標や姿がつかめない」など、実効性や具体的目標の明示についての意見もあります。また、「10年後、20年後の次世代の子の教育、特に第2母国語、第3母国語教育が必要」「スポーツ施設を建設して、アジア大会等の国際イベントを誘致していく」など、具体的内容についての要望や、「実施内容をもっと具体的にしてほしい、今回こそ実り多い結果を望みたい」「県民が一体となる仕組み作りが大切」など、計画に対する期待や今後の進め方についての意見が出されています。
 すでに「基本計画(素案)」から「基本計画(仮称)(案)」が策定され、パブリックコメントが実施される段階にきております。
 つきましては、中小企業の声が反映され、より実効性ある基本計画に練り上げられるよう、特に、「地域産業を支える中小企業等の振興」について、次のことを要望・提言します。

  1. 県の中小企業振興基本条例の基本方針(経営革新、創業、経営基盤強化、資金調達の円滑化等)に加えて、昨年閣議決定された「中小企業憲章」の行動指針(8項目)も盛り込むこと(行動指針には、人材の育成・確保や海外展開等が入っている)。
  2. 県の条例制定の際に、中小企業から多く出された「人材の育成・確保」は、基本方針の経営基盤強化に含まれるとの見解からすると、経営基盤強化の項目に「人材育成・確保」についても記述すること。
  3. 中小企業憲章の基本理念の「中小企業は、社会の主役として地域社会と住民生活に貢献し」の趣旨からすると、中小企業の振興は、幅広い横断的な役割を担っており、第3章の基本施策の一つとして記述すること。
  4. 上記の点からも、中小企業等の振興の項に、他の産業についての記述はなく、建設産業のみが記述されているのは、建設産業の位置づけからも問題があり、建設産業については別項をつくること。

(3)中小企業憲章について
 政府が昨年6月に閣議決定した「中小企業憲章」を国民全体の認識とし、その内容を実現するために、次のことを政府・関係機関に働きかけてください。
  1. 中小企業憲章を閣議決定にとどめず、国民の総意とするため、国会決議をめざすこと。
  2. 首相直属の「中小企業支援会議(仮称)」を設置し、省庁横断的機能を発揮して、中小企業を軸とした経済政策の戦略立案を進めること。
  3. 中小企業担当大臣を設置すること。
(4)「沖縄県中小企業の振興に関する条例」について
 2008年3月に「沖縄県中小企業の振興に関する条例」が制定・施行されてから4年目になります。条例の第7条に基づき「中小企業振興会議」が発足し、「地域部会」も設置され、この間「中小企 業者その他の関係者の意見の反映」するための取り組みが行われてきています。
中小企業振興条例の実効性をはかるためには、中小企業振興会議と地域部会の機能を十分に発揮し、中小企業の声を反映した中小企業支援施策を作り上げることが、条例の趣旨に合致するものです。
 つきましては、引き続き中小企業振興会議や地域部会等の充実をはかり、「沖縄県中小企業の振興に関する条例」を実効性あるものにするため、次のことを要望・提言します。
  1. 本条例の第7条・8条「中小企業者その他の関係者の意見の反映」を保証する場となっている「中小企業振興会議」「地域部会」を本条例の趣旨が生かされるよう定期的に開催するとともに十分な時間を確保すること。
  2. 本条例の第9条「支援計画に定めた事業の実施状況の公表」に基づき、早い時期に公表するとともに、十分に意見が述べられる機会をつくること。
  3. 本条例の第12条「財政上の措置」に基づき、とりわけ「地域部会」が、その役割を十分に発揮できるよう財政上の措置を講ずること。
  4. 本条例の実効性をはかる上で、その要の一つである「地域部会」を十分に機能させるため、とりわけ地域部会が確立されていない地域へは、県の責務として県が積極的に関与し指導されること。

 

5.一括交付金について

 県が国に求めている「一括交付金」の内容について聞いたところ、「知っている」と「知っているがあまりよくわからない」をあわせると8割を超えており、詳しい内容までは知らないが、多くの人が一括交付金については知っていることになります。また、交付金の実施については、5割弱が「賛成」しているものの、3割強が「分からない」としているのは、内容があまり知らないことから来ていると見ることができます。また、一括交付金の実施あたっても、多くの意見・要望が出されています。主な意見では、「県や市町村がお互いの思惑で予算確保をするのではなく、県民、市町村民に何が必要かを見極めた話し合いで交付実施されるべき」「各市町村長と議会議員との話し合い密にすること、特に市町村への交付方法を公平にしないと今までの国と同じになる」「もっと市町村の実態調査と議論を表にだすべき」など、県と市町村との関係に対する意見や、「沖縄の状況を分かっている者(経済団体や議員等)を集めた第3者機関を県、市町村単位で設立し、その中で使い道を議論して欲しい」「資金流用の内容を明確に詳細、表示、報告の徹底」「県内の事業については、県内企業で受ける仕組みを確立して欲しい」など、交付金の内容やあり方についての意見もだされています。さらに、「一括交付金の国に対する戦略・戦術がなさすぎる。待っているだけでは勝ち取れない」「本当に実施されるのか不透明さが残る」「今までと180度違う方法で市町村が効果的な運営ができるか疑問」など、県としての取り組み姿勢や危惧する意見とあわせて、「一括交付金に頼らず、自立することを模索するべき」などの提案もあります。
 報道によれば、一括交付金について、国は沖縄振興の新法で法制化する方向とのことであり、こうした状況と、アンケートの結果もふまえて、次のことを要望・提言します。
  1. 一括交付金の内容について、県民に広く情報を公開すること。
  2. 一括交付金の実施あたっては、県や市町村がお互いの思惑で予算確保をするのではなく、県民、市町村民に公平に実施されるよう、公開の場で策定すること。

 

6.観光産業の振興について

(1)観光産業の振興について
 県は、2011年度の入域観光客数を600万人に目標設定し、国内客だけに依存していては、観光客数の大幅増は期待できないと、海外からの誘客対策も重視しました。外国人観光客数を40万人に設定し、2010年度を「海外誘客強化年」と位置付け、香港からの定期便や中国からのチャーター便も増え、外国からの入客数を押し上げ、2011年度も引き続き海外誘客の強化に努めていますが、3.11東日本大震災の影響や円高により、海外のみでなく沖縄観光全体が厳しい状況にあります。県としては、今後も、特に中国、香港、台湾、韓国を重点地区とし誘客増につなげる予定であります。
 外国人観光客(特に中国人)の誘致について昨年は、賛成か反対かを中心に聞き、結果について「誘致に反対」は1%にも満たなく、圧倒的に賛成で「県の外国人観光客誘致策は、条件付もあるが多くが賛成していることが窺える」との見解を示しました。そのことを踏まえて、今年のアンケートでは、県の取り組みについて聞きました。「分からない」が3割いるものの、「十分」はわずか1割強で、「不十分」が5割近くいることは、県の取り組みが十分に施されてない状況を示しています。また、外国人留学生の活用については、昨年、沖縄観光を満足できる受け入れ対策や対応等の要望を聞いた中で、「外国人留学生の活用」が3割いることから、今年は賛成か反対かを聞きました。結果は、4%の反対意見もあるが、8割強が賛成で、さらに賛成の人に、働く時間について、現在の週28時間以内でいいのか、それ以上必要なのか、を聞いたところ、3割強が「以内でよい」とし、5割強が「週28時間以上でもよい」と、しています。
 以上のアンケートの結果もふまえ、沖縄観光の発展を目指すためにも、次のことを要望・提言します。
  1. 「通訳ガイドの育成」を推進すること。
  2. 「国際ターミナルの早急な整備」に取り組むこと。
  3. 「道路標識などの外国語表示」に早急に取り組むこと。
  4. 「外国人留学生の活用」についての仕組みづくりや「週28時間以内」の規定の緩和に取り組むこと。
  5. 「多言語通訳コールセンターの設置」を支援強化すること。

(2)「ニューツーリズム」の構築について
「ニューツーリズム」については、厳密な定義はなされていませんが、従来の物見遊山的な周遊型観光に対して、テーマ性が強く、また旅行ニーズの変化や7割にもなったリピーター客など、とりわけ「体験型」「交流型」旅行のニーズの高まりも踏まえ、地域資源などを活用した新な形態の旅行商品(長期滞在型観光、健康保養型観光<ヘルスツーリズム>、エコツーリズム、グリーンツーリズム、産業観光、メディカルツーリズム<医療観光>)など新たな旅行商品の創出と流通、促進が急務となっています。
その中で、昨年のアンケートでも意見・要望が多かった「健康保養型観光」も勿論ですが、新たな取り組みとして「メディカルツーリズム」の商品づくりについても検討が必要となっています。
特に中国人の富裕層や訪日外国人などの医療検診旅行、もちろん日本人も対象ですが、日本各地で取り組みが始まりつつあります。pet検診ツアーや糖尿病検診ツアー、韓国における美容整形などを見ると、検診から治療、保養の訪日インバウンド治療ツアーの開発等も検討課題であります。
シンガポール、韓国、インドなどの「メディカルツーリズム」も参考にし、温暖な気候や恵まれた自然環境、長寿など沖縄の優位性、特異性なども活かし、「健康保養型観光」や「体験・滞在参加型」などと「医療」を組み合わせた「沖縄型メディカルツーリズム」を構築し、更なる「高齢化社会」に向け、また「QOLのライフスタイルづくり」や「生きがいづくり」等に貢献する沖縄観光としての新たな観光商品「メディカルツーリズム」への取り組み構築を要望・提言いたします。

 

7.建設産業の振興について

 沖縄県内における建設業者は産業構造構成比が約8%、全就業者の11.3%と高く、沖縄の経済・雇用・社会において重要な役割を担っており、建設産業の維持・発展は、沖縄県経済の活性化に欠かせない課題だと言えます。そのため、次のことを要望・提言します。

(1)雇用の確保-経営基盤の強化策について

  建設産業は、県の雇用において重要な役割を果たしており、建設産業が引き続き雇用を確保していくには、経営基盤の強化が必要になっています。つきましては、建設産業が雇用を維持し、確保するために、県として引き続き経営基盤の強化策を推進されることを要望します。

(2)公正な市場環境の整備-入札・契約制度の環境整備について

沖縄県建設産業ビジョンの「公正な市場環境の整備」の(2)入札・契約制度の環境整備については、多様な入札・発注方式の導入推進が示されています。公正な入札競争を実現するためには、発注者の恣意性を排除し、自由な参加機会を与え、一般競争入札への拡大が必要です。また、一定規模以上の工事、高い技術力・施工力が求められる工事については、総合評価方式をはじめ、入札ボンド方式、VE提案制度など、多様な入札・発注方式の導入が必要です。
現状の総合評価方式では、新規に参加する機会(例、過去の実績、代理人実績)がなくなりますので、新規に受注参加の機会ができるよう、改善を要望します。

(3)米軍発注工事の受注機会の確保について

全国の米軍基地の75%を沖縄県民が負担しており、負担の軽減の一貫として国及び県が地元中小企業へ優先受注出来る機会を構築されるよう要望します。

  1. ボンド保証金は、地元企業を支援する制度の仕組みを構築すること。
  2. 発注金額を約8割以上確保すること。
(4)数量公開の説明書・数量書の取扱いについて

 説明書での説明主旨によると「数量書は、発注者の積算の透明性、客観性、妥当性を確保し、入札者等の積算、工事費内訳書の作成の効率化を図ることを目的に公開、提供するものであり、建設工事請負契約約款第1条に定める設計図書(図面及び仕様書等)ではなく、参考資料(参考数量)として取り扱うこととする」、としています。「参考資料(参考数量)として取り扱う」ということは、説明主旨の「数量書は、発注者の積算の透明性、客観性、妥当性を確保し」の主旨からすると、相反することになり、土木の場合は、参考資料としていません。
つきましては、建築において数量は、土木以上に価格に大きく影響を及ぼすものであり、主旨の「透明性、客観性、妥当性を確保して」に準じて、明確に提示し、明瞭に出来高で清算していただくように要望します。

(5)発注者・発注者関係の適正化について

 沖縄県建設産業ビジョンの「新たな建設生産システムの構築」(1)受発注・元下請関係の適正化-ア)受注者・発注者関係の適正化では、「受注型産業である建設産業においては、発注者の立場が受注者よりも比較的優位となりやすく、片務性が内在しやすい状況にある。そのために、設計者における設計思想や設計条件の伝達業務、施工者における設計変更や工期延長の時間調整等に対する報酬が支払ない等の指摘がある」、と明記されています。今後は、このような関係を是正し、両者がより良いパートナーシップを築いていく必要があります。そのため、次のことを要望します。

  1. 関係法令遵守の徹底
  2. 片務性に関する実態調査の実施
(6)建設工事入札参加資格審査項目へのエコアクション21(EA21)の加点について

 関係団体はEA21認証取得事業者に対する沖縄県建設工事入札参加資格審査項目への採用を要請してきましたが、2011年度から5点の加点が行われています。但し、ISO(20点)と同一評価になっていません。EA21促進のため2013年度からは同一加点を図って下さい。


 

8.情報産業の振興について

(1)「ITまつり」実施における県及び教育サイドからの支援について
 中小企業家同友会情報関連部会「eおきなわ」では、情報産業を沖縄県の基幹産業としての成長を願い、また、将来の情報産業を担う子供たちの育成を図るための取り組みとして「ITまつり」を開催してきました。昨年度は、琉球大学、雇用能力開発大学校、各専門学校、高校等の協力のもと、約1,700名の来場があり、大学生から高校生、中学生、小学生までが、ITの楽しさ、面白さに触れることができるイベントとして高い評価を受けることができました。
 今年度は、グッジョブからの採択事業で沖縄県立八重山商工高等学校、沖縄県立宮古工業高等学校の2校が参加し、オール沖縄で行います。参加校も昨年14校から今年は20校を超えそうな勢いです。
 しかしながら、その運営には多大な予算や労力、関係機関の積極的な参加が求められます。沖縄県内の中小企業が中心となる事業として継続が難しく、沖縄県として事業継続するための予算確保をお願いします。
 教育現場においては、出展のための事前研究・開発や予算の確保など、未だ十分なものとは言えません。他府県に例のない産学連携のイベントとして、さらに発展させるために、参加される教育現場への十分な支援をお願します。
 IT産業はモチベーション産業であり、本当の知的好奇心や創造の喜びが、良い製品を生み出し、産業としての成功、そして沖縄県が推進してきた「マルチメディアアイランド構想」の成功にもつながります。そのためには、子供たちの知的好奇心を引き出し、気づきとなる「ITまつり」の継続的開催が不可欠であると考えます。各部局からの支援とともに予算化を要望・提言します。

(2)地元IT企業育成支援について
近年の世界的な経済危機や東日本大震災により、多くの県内IT企業が県外企業との取引が減り、優秀なITエンジニ アの仕事が激減し、企業内失業を余儀なくされています。さらには優秀な技術者の県外への流出をも招いており、中小企業の事業継続に大きな影響を与えています。
つきましては、地元での雇用吸収ができるように、また県が「沖縄21世紀ビジョン」で掲げる「県内立地企業の高度化・活性化」をはかるためにも、以下のことを要望・提言します。

  1. 県内のIT需要を掘り起こすため、県内中小企業のIT導入のための支援制度を拡充すること。このことはIT化の遅れている県内企業の生産性を向上し、競争力を高めるためにも必要です。
  2. 地元IT企業の研究開発および新商品開発にかかる助成制度を充実させること。(少数企業の高額助成金ではなく、小額の開発助成金を多くの企業に機会を与える)
  3. CIO(Chief Information Officer)最高情報責任者の設置などの情報産業振興行政の一元化をお願いします。(県、市、町、村等の行政からの発生するITシステムの発注形態を細分化し、県内中小IT企業でも参入できるよう分離分割発注とし、大手ベンダーロックイン改めること。現状として、大手ベンダーとの直接契約が多く、地元企業の契約が非常に少ない。そのことにより、雇用創出の機会が失われている為。)
  4. 沖縄県の地理的メリットを活かした、アジアマーケット開拓のための戦略を構築し、具体的な支援策を提供すること。(例えば、アジアマーケット開拓のための人材育成事業等、ブリッジSE支援事業等)
  5. 県外若しくは国外からの取引条件をクリアするために必要な資格(プライバシーマーク、ISMS、CMMI)取得の補助を継続するようお願いします。
  6. 沖縄のIT産業が継続的・持続的に発展するには、産業を支える人材を継続的に育成・輩出することが不可欠です。そのため、高度なIT人材を育成するためにもITOP等の事業の継続またはそれに代わる事業を求めます。


 

9.環境問題について

 沖縄県では昨年3月策定の「沖縄21世紀ビジョン」に基づき、本年4月に「新たな計画の基本的考え方(案)」-沖縄21世紀ビジョン基本計画(素案)-を取りまとめた。環境に関する基本施策は「自然環境の保全・活用・再生」「持続可能な循環型社会の構築」「低炭素島しょ社会の実現」の項目の中で各種施策が述べられています。しかしながら、足元の地球温暖化の数値は、一刻も猶予できない状況になっています。2010年10月に公表された「沖縄県における温室効果ガス排出量(2000~2007年度)」は、基準年(2000年)と比較すると2007年の排出量は約141万トン(11%)増加、また2010年目標値(1,166万トン)と比較すると225万トン(19%)増加しています。そのような中、私たち沖縄県中小企業家同友会は、持続可能な環境保全型社会と循環型社会の構築をめざし、①環境保全型企業づくり、②環境ビジネスと市場創造、③環境保全型・循環型地域づくり、を基本に環境問題に取り組んでいます。
 つきましては、次のことを要望・提言します。

(1)沖縄県産業廃棄物処理施設建設の進展について
県では長年の懸案であった「沖縄県産業廃棄物処理施設指導要綱」を整備し、一昨年の4月から要綱に基づく運用を開始しました。しかしながら、民間処分場、公共関与処分場の検討や建設は、地域の住民・議会等の反対運動や一部の市では関連条例が制定されるなど、厳しい状況となっています。つきましては、産業廃棄物処理設備の検討、建設に向けて、建設計画が進められている本土の取り組み事例と比較検討し、県としての進め方の評価を行い、施設等設置事業者のみならず、市町村、市町村議会、各種経済団体および県民への説明、周知の機会を増やすことを要望します。

(2)地球温暖化対策について

  1. 県、市町村がリードする地球温暖化対策に関する各種セミナー等の開催の充実を図って下さい。特に県内にてCO2削減の取り組みが進んでいない民生系部門(家庭、業務部門)、運輸部門の温暖化対策は、県主導のもとで各市町村と連携した啓発活動を一段と推進して下さい。
  2. 県内の再生可能エネルギー導入・電力系統安定化対策については、一昨年度からの宮古島などのマイクログリッド実証事業を踏まえ、本年度からは沖縄本島を含む「スマートエネルギーアイランド基盤構築事業」がスタートします。本年度は再生可能エネルギー法の制定もあり、期待のかかる本事業については、県民に広く情報提供するシンポジウム開催など、事業の見える化の推進を要望します。また、昨年7月に策定された「沖縄県エネルギービジョン」は、ビジョン策定にとどまることなく、基本計画・実行計画などの策定により、ビジョンの具体化を要望します。
  3. 経済産業省「住宅用太陽光発電導入支援対策費補助金制度」などは、再生可能エネルギー法などと絡めて太陽光発電の一層の普及に向けて、住民、事業者対象のセミナー開催など広報の強化を図って下さい。更に、県太陽光発電補助金制度は平成24年度以降も継続と増額を図って下さい。スクール・ニューディール(学校への導入)の取り組みは、教育委員会との連携強化により、実績把握と導入促進を図って下さい。
  4. 県は本年度、公共団体、事業者など対象の「エコドライブ教習会」実施しました。受講者は1,000人を超え、教習会前後における燃費比較は、大半のドライバーで15%以上の削減効果が見られると報告されています。教習会受講者はまだ県民のほんの一部ですが、効果的なCO2削減事業です。平成24年度以降も予算措置を工夫し、県民へのエコドライブ普及の強化を図ってください。

(3)エコアクション21(EA21)について

  1. 県内のEA21の認知度はまだまだ低い状況にあります。県主催によるEA21普及セミナーは、数年実施されていますが、平成24年度以降も継続的なセミナー開催により中小事業者への一層の普及啓発を図って下さい。また、県内市町村へのEA21取得に向けた指導も図って下さい。
  2. 関係団体はEA21認証取得事業者に対する沖縄県建設工事入札参加資格審査項目への採用を要請してきましたが、2011年度から5点の加点が行われています。但し、ISO(20点)と同一評価になっていません。EA21促進のため2013年度からは同一加点を図って下さい。

 

10.女性の地位向上・社会参画について

 女性の地位向上・社会参画についてのアンケート調査を、昨年に引き続き行いました。女性の地位向上・社会参画を妨げていることついて、昨年との比較で見ると、順位はほぼ同じだが、一番高い「出産・子育てによるキャリアの中断」が昨年よりも6.9ポイント増え、63.6%強となっています。次いで昨年同様に「社会的な制度の不備」で41.4%となっています。昨年同様に3番目に高い「社内体制の不備」はわずかであるが増え35.9%です。仕事と家庭の両立支援ということで、各市町村に設置されているファミリーサポートセンターの存在を知っているかとの問いに対して、「知らない」が74.8%で、「知っている」が21.7%となっています。また、「知っている」方のうち、「利用した」は16.3%に留まり、79.1%が「利用したことがない」と、なっています。
 このアンケートの結果から、女性が社会で重要な役割を担うには、企業経営者の認識の向上と共に、社会的な制度改革が必要不可欠です。現在各市町村が運営しているファミリーサポートセンターは、育児や介護の援助を受けたい人と行いたい人が会員となって、地域で援助活動を行なっていますが、その存在は実はあまり知られていません。設立されてまだ浅いということもあるかと思いますが、広報が行き届いていないことや手続きの煩雑さも原因の一つだと言えます。毎年、沖縄県が実施している企業統計によると平均1社あたりの就業者が7人(平成19年調査)の企業が80%占める状況では、手続きにかける人員・時間に制限があり利用したくてもできない制度上の欠陥があるといわざるを得ない状況があります。
 つきましては、ぜひ沖縄県として女性の働く環境の向上へ向けて、さらなる取り組みを強化されるよう、次のことを要望・提言します。
  1. 現在の制度利用の実態と活用要件・条件と地域におけるミスマッチを分析するために、企業経営者、行政書士、税理士、各女性団体等の有識者で諮問委員会を発足すること。
  2. ファミリーサポートセンター等、女性の地位向上・社会参画を支援するための諸施設・施策等の広報を工夫・研究し、強化・徹底をはかること。
  3. 県独自の働く女性を支援する助成制度を設けること。
 
 
                                          以上。

 

 

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