後継者問題(事業承継)調査に結果について

 

沖縄県中小企業家同友会は、4半期ごとの景況調査を実施し、その結果についての見解を、その都度発表しています。今回(2013年1月-3月期)の景況調査の中で、特別調査として「後継者問題(事業承継)」についても実施しました。後継者問題(事業承継)については、5年半前の2007年9月実施以来のことであり、当時の結果との比較も含めて、今回調査の結果について見解を発表します。

                                                                                                                                                                        (2013年4月18日)

(2013年5月1日)

 

 

■ 回答企業の概要 
                                     <今回(2013年)>    <前回(2007年)>
   1.企業             160社(396社中)          193社(425社中)
                     回答率 40.4%           回答率 45.4%

   2.業種別 (  )は実数

 

製 造 業 13.8% 12.1%
建 設 業

18.7

13.1%
流通・商業 23.1% 25.3%
サービス業 37.5% 39.5%
その他 0.0% 10.0%

 

   3.規模別 従業員数  (  )は実数

 

<正規>

平均 35名 平均 29名
1~5名

13.1

11.8%
6~10名 22.5% 19.7%
11~20名 23.7% 25.3%
21~50名 26.9% 29.2%
51~100名 6.3% 8.4%

101名以上

7.5% 5.6%
<臨時・パート・アルバイト> 平均 23名 平均 19名

 

(1)今回の結果と前回の比較 ( )は前回の数値

①経営者の経営経験年数(図1)

 5年未満16.6%(22.1%)、5年以上10年未満16.6%(24.6%)、10年以上20年未満27.8%(23.9%)、20年以上30年未満19.9%(19.0%)、30年以上19.2%(10.4%)となっています。
 前回と比較してみると、10年未満が減少しているのと反対に10年以上が増加し、特に30年以上は、約2倍にもなっており、この5年半の間にも同友会会員の経営経験年数も高くなったことがわかります。
 

 

 

②経営者(代表取締役)の年齢(図2)

 40歳未満2.6%(10.3%)、40歳以上50歳未満21.7%(15.5%)、50歳以上60歳未満26.3%(50.3%)、60歳以上70歳未満40.1%(20.7%)、70歳以上9.2%(3.2%)となっています。
前回との比較をみると、前回は最も多い年代は50歳台の経営者が半数を占めていましたが、今回は60歳台が最も多く4割を占めています。40歳台が前回に比べて増えているのも特徴と言えます。
 

 

 

③後継者の決定状況(図3)
 「すでに決まっている」31.7%(31.9%)、「決める時期にきているが決まっていない」18.6%(15.7%)、「未だ決める時期ではない」43.4%(45.2%)、「一代限り(後継者不要)と考えている」3.4%(3.6%)、「その他」2.8%(3.6%)となっています。
 前回の数値から、どの質問も今回大きく変わっていないことがわかります。この5年半の経過で経験や年齢は高くなっているものの、後継者の決定は、あまりすすんでないことが数値から読み取ることができます。
 
 
 
④後継者はだれか(図4)
 後継者が決まっている企業の内、「子供」57.1%(40.6%)「子供以外の身内」8.2%(13.0%)、「役員・従業員」30.6%(44.9%)、「その他(社外の人物)」4.1%(1.4%)となっています。
 前回との比較でみると、「子ども」が前回の4割から6割と大きく増えている反面、「役員・従業員」が4割強から3割に減少しています。この5年半で誰を後継者にするかという点では変化していると言えます。
 
 
 
⑤後継者が決まらない理由(図5)
 「適任者がいない」84.4%(58.8%)、「適任者が応じない」3.1%(5.9%)、「その他」12.5%(35・3%)となっています。
 前回から大きく変化しているのは、「適任者がいない」が、約6割弱から8割強に増えていることです。実際は後継者を決めなければならない時期に来ているのに、その適任者がいなく困っている経営者が多いという実態が窺えます。
 
 
 
⑥見つからなかった場合の対応(図6)
 「可能なら譲渡・売却したい」78.9%(48.7%)、「廃業する」21.1%(20.5%)、「その他」0.0%(30.8%)となっています。
 前回からの変化では、「可能なら譲渡・売却したい」が5割弱から8割弱に増えていることです。これは、前回までは後継者を決めなければならない課題が、まだ時期的にも余裕があり、先送りされていたことが窺えます。その点、今回は「譲渡・売却」か「廃業」か、判断せざるを得ない状況になっていると言えます。
 
 
 
⑦事業承継の際に想定される問題 上位3つ(図7)
 第1位は「後継者の力量」63.1%(56.5%)、第2位「事業の将来性」50.0%(40.4%)、第3位「取引先の信頼維持」31.9%(32.1%)、第4位「借入の個人保証」、第5位「候補者の不在」10.0%(9.3%)と続いています。
 上位4位までは、率の差はあるものの、順位は同じなので、ほぼ同じ傾向が窺えます。前回からの変化では、前回「先代の影響」(11.4%)が第5位にあげられていましたが、今回は5.6%で第7位と低くなっているのが特徴と言えます。
 
 
 
以上は、2013年4月18日発表。
 

以下は、2013年5月1日発表。
 
 

(2)全国との比較から見る沖縄の特徴

①経営者の経営経験年数(図8)

<前回>
 全国の場合、20年以上30年未満が最も多い(24.0%)のに対して、沖縄は5年以上10年未満が24.6%と一番多く、20年以上は19.0%で、10年以上の23.9%に次いで3番目となっています。また、30年以上が沖縄では9.2%と少ないのに比べて、全国は21・4%(他に40年以上8.6%)と高いことがわかります。
 
<今回>( )は沖縄の数値
 全国の場合、10年未満28.9%(5年未満+10年未満33.2%)、10年以上20年未満25.2%(27.8%)、20年以上30年未満21.0%(19.9%)、30年以上24.9%(19.2%)となっています。
 全国の場合、前回との比較での特徴としては、20年以上30年未満と30年以上が減少し、10年未満と10年以上20年未満が各々増えていることです。沖縄の場合は、図1でも明らかなように、逆に20年以上30年未満と30年以上が増え、10年未満(5年未満含む)が減少し、10年以上20年未満が全国と同じように増えています。
 
 
 
②経営者の年齢(図9)
<前回>
 どちらも、50歳台が一番多く、次いで60歳台で、50歳台と60歳台をあわせると、いずれも7割を超しているが、沖縄は50歳台が50.3%と半数を超え、60歳台が20.7%に対して、全国は50歳台が39.4%、60歳台が33.8%で、沖縄に比べて60歳台の比率が高いことがわかります。
<今回>( )は沖縄の数値
 全国の場合、40歳未満5.3%(2.6%)、40歳以上50歳未満16.5%(21.7%)、50歳以上60歳未満32.9%(26.3%)、60歳以上70歳未満36.7%(40.1%)、70歳以上8.6%(9.2%)となっています。
全国の場合、前回との比較での特徴としては、50歳台が微減し、60歳台が微増して前回と順位が逆転していることです。沖縄の場合も50歳台と60歳台の順位が逆転しているが、50歳台が半減し、60歳台が倍増していることです。
 
 
 
③後継者の決定状況(図10)
<前回>
 全国では、「すでに決まっている」が45.2%に比べて、沖縄は31.9%と低く、逆に「未だ決める時期ではない」は、沖縄が45.2%に対して、全国は29.7%となっています。これは、後継者をどうするかの分岐年齢が50代から60代で、前問の経営者の年齢の構成とのかかわりからきていると推測できます。
<今回>( )は沖縄の数値
 全国の場合、「すでに決まっている」44.3%(31.7%)、「決めるべき時期にきているが決まっていない」19.8%(18.6%)、「未だ決めるべき時期ではない」32.5%(43.4%)、「一代限り(後継者不要)と考えている」1.9%(3.4%)、「その他」1.5%(2.8%)となっています。
 全国の場合、前回との比較での特徴としては、「すでに決まっている」はほぼ同率だが、「決める時期にきているが決まっていない」と「一代限り(後継者不要)と考えている」が微減し、「未だ決めるべき時期ではない」が微増していることです。沖縄の場合、前回との比較では各項目とも大きく変わってはいないが、全国とは逆に、「決める時期にきているが決まっていない」が微増し、「未だ決めるべき時期ではない」が微減していることです。
 
 
 
④後継者はだれか(図11)
<前回>
 全国では、「子ども」が63.6%に対して、沖縄は40.6%と低く、逆に「役員・従業員」について沖縄44・9%に対して、全国は24.0%と低いことがわかります。「子ども以外の身内」を含めての親族内継承は、全国が75%に対して、沖縄は53.6%と低い状況です。これは、経営者の経験年数の違いだけではなく、沖縄の風土的なものも影響しているのではないでしょうか。
<今回>( )は沖縄の数値
 全国の場合、「子供」64.8%(57.1%)、「子供以外の身内」9.4%(8.2%)、「役員・従業員」24.0%(30.6%)、「その他(社外の人物)」1.8%(4.1%)となっています。
 全国の場合、前回との比較での特徴としては、前回と大きな変化はなく、「子供」が微増した反面、「子供以外の身内」が微減し、「その他(社外の人物)」が微増している程度です。沖縄の場合、図4でも明らかなように、「子供」が1.5倍弱(16.5ポイント)増え、逆に「役員・従業員」が14.3ポイントも減っていることです。全国の「子供」と「子供以外の身内」を合わせた74.2%に対して、沖縄は65.3%と、まだまだ低いが、前回の53.6%から11.7ポイントも増えており、「子供」等への後継が大きくすすんでいることを示しています。
 
 
 
⑤後継者が決まらない理由(図12)
<前回>
 「適任者がいない」は、全国の62.5%に対して、沖縄は58.8%で、「適任者が応じない」は、全国6.8%、沖縄5.9%、「その他」は全国30.7%、沖縄35.3%となっています。
<今回>( )は沖縄の数値
 全国の場合、「適任者がいない」61.5%(84.4%)、「適任者が応じない」6.7%(3.1%)、その他31.8%(12.5%)となっています。
 全国の場合、前回との比較での特徴としては、前回とほぼ同じような数値となっています。沖縄の場合、図5でも明らかなように、「適任者がいない」が6割弱から8割強と25.6ポイントも大幅に増えていることです。
 
 
 
⑥見つからなかった場合の対応(図13)
<前回>
 「可能なら譲渡・売却したい」は、全国の55.7%に対して、沖縄は48.7%で、「廃業する」は、全国の9.0%に対して、沖縄は20.5%と、約2倍以上の数値、「その他」は全国35.3%に対して、沖縄30.8%となっています。これも、後継者はだれか、の場合と同じように沖縄の風土的な特徴と言えるのではないでしょうか。
<今回>( )は沖縄の数値
 全国の場合、「可能なら譲渡・売却したい」61.8%(78.9%)、「廃業する」10.0%(21.1%)、「その他」28.1%(0.0%)となっています。
 「可能なら譲渡・売却したい」は、全国の場合、前回より6.1ポイント増えているが、沖縄の場合、30.2ポイントも大きく増えています。「廃業」は、全国の場合、1ポイント増えているが10%であり、沖縄の場合は、前回同様に全国の2倍以上の21.1%と高い数値となっています。全国の中小企業経営者に比べて、沖縄の中小企業経営者はM&A(合併と買収)に対する抵抗感が少ない、ということが窺えます。
 
 
 
⑦事業承継の際に想定される問題-上位3つ(図14)
<前回>
 上位3つの順位は、率の差はあるが、全国も沖縄も同じで、一番が「後継者の力量」で、次いで「事業の将来性」、「取引先の信頼維持」と続いています。
<今回>( )は沖縄の数値
 全国の場合、「後継者の力量」71.9%(63.1%)、「事業の将来性」62.9%(50.0%)、「借入の個人保証」30.7%(15.0%)、「取引先の信頼維持」29.1%(31.9%)、「候補者の不在」15.5%(10.0%)、「個人資産の取り扱い」13.8%(5.0%)、「社員の不平・不満」12.4%(8.8%)の順となっています。
 全国の場合、前回との比較で見ると、1位と2位の順位は変わらないが、1位の「後継者の力量」が減り、2位の「事業の将来性」が増え、前回3位の「取引先の信頼維持」が4位に落ち、前回4位の「借入の個人保証」が3位に上がっているのが特徴です。全国との比較では、沖縄の場合、前回同様に「取引先の信頼維持」が前回とほぼ同率の3位、「借入の個人保証」が微増しているものの第4位と変わりません。また、「先代の影響力」が沖縄は大幅に減っているが、全国は対照的にわずかながら増えていることです。
 
 
以上。

 

 

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