青山喜佐子の知って得する

転勤拒否は理由が必要-人事異動のねらい

 

「転勤・異動に応じない社員に困っている」。今月の相談。
 会社が社員に人事異動命令を行う場合は、原則として「就業規則への定めがある」、「業務上の必要性がある」ことが求められます。
 規則は「会社は業務上の必要がある場合は、配置転換、転勤、または従事する職務内容の変更を命じることがある。命令を受けた社員は正当な理由なくこれを拒むことはできない」。この記載から、社員は相当な理由がなければ異動を拒むことはできません。
 人事異動は企業の経営計画に基づく人事施策の目的があります。①人材育成のためのジョブローテーション、②適材適所配置、③社員の業務範囲拡大の能力向上、④マンネリ化防止等が業務上の必要性として認められます。
 ところが社員が異動拒否をすると、他の社員を配置しなければならないため、人員計画に支障がでます。
 異動拒否社員に対し、規則に基づき懲罰に処することも可能ですが、粘り強く転勤に応じるよう説得することが現実的です。
 会社からは、異動の目的、この社員を選んだ理由について説明し、また社員からも転勤拒否理由を確認し、問題が生じていれば早めに解消しなければなりません。
予防策として
 定期的な人事ローテーションを行なうことです。これにより社員の異動への抵抗を事実上弱めることができ、納得性も高まり、職場活性化も実現できます。
 社員が多くの業務を経験することで、知識・経験の偏り解消、社内相互の業務理解につながります。
 多能化時代の人材育成に向けて計画的人事異動をお奨めします。
 
シリーズ74(ニライみらい279号掲載)

厚生労働省能力開発基本調査から 能力開発は全体重視へ 即戦力より長期的人材

 

 「選抜した社員を教育するよりも、社員全体の能力を高めることを重視する」企業の割合が上昇。(平成22年度能力開発基本調査…53・.5%、前回49.5)厚生労働省が毎年実施している企業調査です。
 今回の調査結果では、正社員だけでなく、正社員以外の能力開発を実施する企業は51.8%で、社内全体のレベルアップに積極的な姿勢がうかがえます。
 教育訓練の方法は、OJT重視が74.5%ですが、OFF-JTも重視する傾向にあります。
 社員に対する自己啓発支援は、「受講料等金銭的支援」「通信教育等情報提供」「自主勉強会への援助」となっています。
 ただ、社員の立場からすると、自己啓発を行った社員は41.7%で、平成20年度の58.1%から大きく落ち込んでいます。自己啓発できない理由として、「仕事が忙しい」「費用がかかる」「自己啓発が社内で評価されない」となっています。職場環境が課題でしょうか。
 社員の能力開発と企業の業績は比例するといわれていて、計画的な人材育成が求められる所以です。
 企業研修というと以前は、「即戦力」というイメージが強かったのですが、最近は「長期的な人材育成」「管理職層の能力向上」「若手社員の能力向上」と続いています。少子化が急速に進む中で社員の戦力化は「即」から「長く根付く人材育成」が重視されています。
 長期的な人材育成計画に取組みましょう。
 
シリーズ75(ニライみらい280号掲載)
 
 

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