第20回経営研究集会 不況の今こそ「人的ネットワークの構築」と「新しい価値の創造」を

350名の参加者、正しく学ぶことの大切さ再認識

 
講演する山口氏(写真左)と、会場の様子

 去る11月17日に沖縄コンベンションセンターで沖縄同友会第20回経営研究集会が「今こそ理念経営で企業存続に全力で取り組もう!」をメインテーマに、350名の参加で開催されました。

 基調講演では、立教大学経済学部教授の山口義行氏が「『百年に一度』の不況とどう向き合うか~今、会社と社会のなすべきこと~」をテーマに経営者の学びと新たな価値創造に向けた取り組みを提唱しました。
 山口氏は、米国のサブプライム問題から金融危機、日本の地域経済にまで影響してきた過程を分かりやすく解説した上で、「地域の中小企業でも世界の動きを理解しておかなければならない」と述べ、世界経済の動きや金融機関の動向について経営者が熟知する必要性を話しました。
 さらに、「景気の二番底」を指摘し、デフレ下の経営の大事なこととして、中小企業にしか出来ない人的ネットワークを広げ、新しい価値をつくりだすことを挙げ、社員と共に、自社の強みと顧客のニーズを徹底して問い続けることを強調しました。

 


山口氏の講演を真剣な表情で聞く参加者

 その後、7つの会場で行われた分科会は経営指針、社員教育、市場創造、事業承継、観光、建設(見学)、中小企業振興条例に分かれ、グループ討論でそれぞれのテーマについて深めました。

 懇親会には、11名の来賓をお迎えして、会員、社員、ゲストが参加しました。来賓を代表して挨拶した沖縄総合事務局の山内徹経済産業部長は、中小企業への期待を熱く語りました。その他、設営した中部支部の余興などで和やかに懇親を深めました。
 参加した会員からは、「基調講演で、正しい情報をしっかり『学ぶ』事の大切さを痛感した。講演内容には知らなかった真実が多くあったので、今後しっかり勉強していきたい」などの感想が聞かれました。また、今回は、同友会の会員外のゲストも多数参加。「基調講演が非常に勉強になった」といった感想の他にも「グループ討論を初めて体験した。異業種の皆さんの様々な意見が聞けてとても勉強になった」など、同友会の大きな魅力のひとつである、グループ討論に感動したという声も多く、基調講演から分科会、懇親会含め、非常に有意義な内容となったようです。 

 


☆☆☆ 分科会7つのテーマ、それぞれで学び深める ☆☆☆
 

【第1分科会】 会社経営は社員の為、社会の為に
(株)マルキチ 社長 木村賢治氏(大阪同友会経営指針部長)が報告

経営体験を報告する木村氏報告を聞きながらメモを取る参加者
経営体験を報告する木村氏(写真左)、報告を聞きながらメモを取る参加者

  「学ぶだけではアカンのや!実践してナンボや!」。報告者のこのタイトルにまず“商い=経営”の源を垣間見ます。
 氏は大学卒業後サラリーマンを経て420年の伝統を受け継ぐ家族の経営する会社に入社。「事業継承」を前提とした入社だった為、さまざまなセミナーや勉 強会などを受けました。ハウツーものを学びそれを会社に持ち帰っても机上の理論だけでは定着しない。一時期は知識と現実の挟間の中で悩み続け、その結果体 重が一気に10㎏も激減した事もあったといいます。そんな真摯な経営に対する思いの中から、まずは同友会で学んだ「理念」を作る。理念を基に社員と共に 「方針」を考え、そして実行に移していくようになります。
 「知識」だけの経営・机上の理論から社員と共に「得意先から求められる会社になりたい」という思いを実践に移すことで、これまで悩んでいたことを払拭し、会社経営に全力投球。
 恐らく参加者の中には(当然に私もですが)氏の話す内容を自分の立場に置き換えているに違いないと思うほど木村氏の報告中、真剣な眼差しが氏に対して注がれていました。
 氏の言葉に「学ぶだけではなく、そこから実践に移して会社を改善していく」という言葉が自社のこと・自社で働いて頂いている社員のこと、そして社員の後ろにいる彼ら彼女らの家族の事を改めて考えさせられる素晴らしい分科会でした。  会社は自分のものではない。会社は社員の為・社会の為に経営し続けるという事が大切なのではないか。氏の話を聞いてそう感じました。 (具志頭朝一)


【第2分科会】 全社員のベクトルをひとつに
住宅情報センター(株) 社長 佐和田功氏(宮古支部)が報告

報告する佐和田氏 分科会の様子
報告する佐和田氏(写真左)と分科会の様子

 第2分科会は、社員教育をテーマに住宅情報センター(株)の佐和田功社長が報告されました。
 佐和田社長は、社員教育を行ううえで「社員と同じ時間を共有することを大切にしている」とし、できるだけ社内全員での勉強会や月一回は全社や部門ごとの交流会を開催していること、また地域の野球大会やハーリー大会などにも、できる限り会社として参加している事例などを紹介し全社員のベクトルを合わせることの重要性を強調しました。
 また、社員との対話も大切にしており、月に一度は、日々の業務や夢、目標などについての個人面談を行う日を設定しているとのこと。ただ聞くだけではなく、夢の実現までのプロセスはどのようになっているかの状況確認も行うようにしているそうです。
 佐和田社長は、会社をよくするための情報を積極的に取り入れたいという思いから、時には本島へ、時には県外へ、社長自身も積極的に学び、行動しているそうです。

社員教育をテーマにした第2分科会
社員教育をテーマにした第2分科会

 座長の宮古新報㈱座喜味毅専務は、報告やグループ討論の内容を踏まえ「しっかりとした経営理念に基づき、社員教育を実践していること、全社員一丸となり業務改善に取り組む仕組みを構築していることなど、ぜひ見習ってほしい」と第二分科会をまとめました。


【第3分科会】 「失敗は一度もない。すべて経験だ」 ~本物は必ず支持される~
(株)ぬちまーす 社長 高安勝正氏が報告

報告を聞く参加者 報告者の高安勝正社長
報告者の高安勝正社長(写真右)と報告を聞く参加者(写真左)

 第3分科会は市場創造をテーマに、(株)ぬちまーすの高安正勝社長の報告でした。
 「ぬちまーす」を思い立ったのは新聞で塩の自由化の記事をよんだことがきっかけ。すぐに「常温瞬間空中結晶製法」が頭に浮かび、翌月には特許を提出します。
 ぬちまーすは「健康になる塩」である根拠として、地球誕生、沖縄台風長寿論、ミネラルの人体に与える影響、ミネラルのない地域の乳児・妊婦の死亡率など理論的にミネラルが関わっていることと話し、具体例として沖縄の草を毎日与えている牛と外国産のミネラルの含有量の少ない干草を与えている牛で出産回数の差が出ていることを挙げました。
 ぬちまーすの完成までに年間2,000万円の借金ができ8年間ずっと続いたそうですが、2,000万円の借金ができるたびに楽しくなるというくらい物事をポジティブに考えます。酔っ払った父親に湯川秀樹、野口英世、一休さん、運玉義留、モーイ親方、油喰坊主のことを聞かされ、小学校4年生で発明家になると決め、ずっと思い続けてきました。 

第3分科会の様子
第3分科会の様子

ぬちまーすは今の段階で成功。次の発明もほぼ実現化しています。今の世の中は認められ選ばれたものだけが生き残る。今後の夢はミネラルの少ない地域にぬちまーすをもって行き、食べてもらい乳児、妊婦の死亡をなくし、ぬちまーすのちからを証明することと話されました。
 グループ討論では、「お客様に目線を向け、ニーズに対応していく姿勢が重要」「スピードある対応、技術力、サービス力で差別化する」「戦略的発想、複合ショップでのサービス提供」「県内には素材資源があるのに開発できていない」等の意見が出されました。地球誕生から脳の話まで、基本と発想の大切さを再認識させられる分科会となりました。(太田一)


【第4分科会】 守り、発展させるのは、先代への感謝の気持ちと会社への思い
㈱普天間洋服店 社長 普天間直樹氏、マエダ電気工事(株) 社長 真榮田一郎氏が報告


自身の事業承継体験を報告した真榮田一郎社長(右)と普天間直樹社長(左)

 第4分科会は事業承継をテーマに(株)普天間洋服店の普天間直樹社長とマエダ電気工事(株)の真榮田一郎社長が自らの事業承継体験について報告されました。
 普天間社長は3代目、真榮田社長は2代目として事業を承継。両者とも、社員や商材、経営環境など、大きく移り変わる中で、山積みの経営課題をひとつずつクリアしてきたことについて、具体的な事例を交え説明しました。事業承継を行ううえで、守り、発展させることで、両者共通していたのは「先代への感謝の気持ち」や「先代の会社への思いが詰まった経営理念」でした。両者とも今度は事業を承継させる立場。このことを大切に次代へ事業を繋げていきたいと話されました。 

第4分科会の様子
第4分科会の様子

座長を務めた_(有)大宮工機の宮城光秀専務は、二人の報告と自身の体験、同友会での学びを踏まえ「先代が必死で儲ける、会社や社員の生活を守るために頑張ってきた。バトンを受け継いだ私たちはこれを土台に、社員やその家族が『人間らしく生きる』というところまで会社を発展させていくことが、私たち後継者に求められていることではないか」と話し、分科会をまとめました。(宮城)


【第5分科会】 沖縄観光の発展のために「ソフト面」の強化を!
沖縄ツーリスト(株) 常務 大城友宏氏が報告

報告者の大城友宏常務 
報告者の大城友宏常務

 第6分科会は、観光のテーマで沖縄ツーリスト(株)の大城友宏常務が「入域客は何を求めているか」をテーマに報告が行われました。
 大城氏は、勤務歴45年の中で数々の経験から沖縄や県外のお客様、また海外の旅行客を受け入れ、送り出した経験から、今後は、沖縄観光の真髄である、「おもてなしの心」や「サプライズ」等、ソフト面の充実を図るべきではないかと提起。また、同友会活動の一環で沖縄県知事宛に要望と提言を行っていることにも触れ、観光産業の振興について、健康保養型観光や体験・滞在参加型観光の推進、また外国人観光客の誘客とそれに伴うインフラの整備、ECO活動などについて要望・提言を行ったことなどを話されました。 

第5分科会には、観光関係の企業を中心に45名が参加
第5分科会には、観光関係の企業を中心に45名が参加

引き続き行われたグループ討論では、「あなたがプロデュースする沖縄観光に必要な仕掛けは何ですか」「差別化を図る(オンリーワン)ために、どのような取組みを進めますか」をテーマに活発な意見交換がなされました。グループ発表では、「観光関連の企業だけでなく、県民が一丸となって沖縄観光を盛り上げていかないといけない」「沖縄のルーツを探るプランがあってもいいのではないか」「沖縄観光を盛り上げるためにも、教育に力を入れる必要がある」など、様々な意見が出されました。 (宮国信勝)


【第6分科会】 時代の波、顧客のニーズに応える企業・商材づくりをめざす
㈱丸久商会 社長 永山雄一氏が報告


永山社長の説明を受けながらトタン工場を見学(永山氏は左写真の左端)

 第6分科会は、会場を(株)丸久商会に移しての見学分科会でした。
 (株)丸久商会は、トタンやフェンスをはじめ様々な建築資材を取り扱う製造・卸問屋。分科会では、初めにトタン工場や県内唯一という金網製造工場、資材倉庫を見学。ダイナミックなトタン加工の光景や整理整頓の行き届いた資材倉庫の様子に一同感心した表情を浮かべながら、説明に耳を傾けていました。
 見学終了後には、同社の会議室で、経営体験報告がとグループ討論が行われ、同社の事業や商材について、創業時から現在までの事業の移り変わり、その間の葛藤などについて報告されました。
 元々製造業に加え、公共工事を中心とした、建設関係の事業も行っていた同社。しかし、厳しさを増す建設業界にあって、製造業一本に絞ることを決断。また、県内の「流通」を守る立場という考えを社内で統一し、卸売り以外での資材販売を行わないことを宣言します。社長自身、これらの決断を行う際は、非常に迷いがあったそうですが、社員との激しいぶつかり合い、話し合いの中から生まれた方針なので、大切にしているとのこと。

 資材の付加価値を高める取組みも積極的に行っており、顧客のニーズに応える製品開発に取り組んできた事例について話されました。特にトタンについては、従来の暑い、暗いなどのイメージを払拭するような製品を開発しているとのこと。
 グループ討論では、「各社においてどのような工夫・サービスを創造・努力していますか」をテーマに活発な意見交換が行われました。
 創意工夫、社長の決断、社員の主体性の大切さなど、非常に多くの学びのある分科会となりました。(宮城)


【第7分科会】 中小企業振興条例について学ぶ

基調提起する東恩納副代表理事パネリストの稲嶺氏パネリストの大城教授パネリストの大嶺氏
基調提起する東恩納副代表理事(写真左)、パネリストの稲嶺氏、大城氏、大嶺氏(写真左から)

中小企業振興常例制定に向けて報告するパネリストの皆さん
中小企業振興常例制定に向けて報告するパネリストの皆さん

 第7分科会は「市町村での中小企業振興条例をめざして」がテーマでした。
 基調提起として㈱アイマネージメント社長の東恩納隆氏が「中小企業憲章の提起から沖縄同友会がすすめてきたこと」の経過が説明されました。その後(資)沖縄浄管センター代表者の座間味唯康氏がコーディネーターに就き、パネリストのた那覇市経済観光部部長の大嶺英明氏、琉球大学教授大嶺肇氏、㈱りゅうせきエネプロ社長稲嶺有晃氏から「条例制定の意義」や「条例制定に向けた取り組み」についてのディスカッションが行われました。

活発な意見交換が行われたグループ討論 活発な意見交換が行われたグループ討論 
活発な意見交換が行われたグループ討論

 参加者からは「条例制定の審議会のメンバーはどのような方ですか」という質問が那覇市の大嶺部長にあり、「同友会、中央会、商工会議所、学識研究者、商店街の方、税理士を予定している」との回答がありました。
 引き続き行なわれたグループ討論では四グループに分かれ「中小企業が元気になり、地域を活性化するには何が必要ですか?」をテーマに行われ、第一グループでは飛び入りで参加した那覇市の職員が発表者になる等、各グループとも活発な意見交換が行なわれました。
 各グループの意見を集約すると、①人材育成②新卒者の就業率を高める施策③社会保険料や法人税・事業税率の軽減④企業に対する助成金の事務の簡素化と情報の共有⑤ワークライフバランスの充実⑥沖縄にいる多くのタレントとに協力していただき企業間のコラボ事業等々でした。
(當山貴也)
 

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